日々の研究

日々の研究(リスト)

6月30日 (水)

蔵本退官記念論文:これは、講義準備や推薦書書きや論文査読や各種会議と同じく 義務に相当する仕事なので、やめるわけにはいかない。introを書いたのが 2週間前で、今日はひさびさの更新で、ひと息で本文草稿を書いた。 分量はもう指定上限近くになった。残る白紙部分は Discussion だが、 さてと... 何を書こうか。Intro とのわりふりも問題だな。この論文 は、 Intro とdiscussion を書くために書いているようなものだから、 ここから時間がかかるであろう。

6月28日 (月) 〜 6月29日 (火)

摂動論演習セミナー:集中講義の準備のためキャンセルしていたのでひさしぶり だった。前回みおとしていた「発散」があって、それをどう考えるべきか?... というのが問題の焦点だった。結局、明快な結論になり、 物理的にも大変すっきりした。

エネルギー解釈の階層移行:今月にはいって、林さんが原点にかえって素朴な測定 でつみあげてきたもろもろを踏まえて、深みにはいっていくためのアイデアを検討 する。4月移行、断片的に色々やっていたことを総動員しながら考え、いけそうで いけなさそうで、というきわどいあたりか。このあたりは、脳味噌をちゃんと つかっている気分にもなるし、大変楽しい。もうひとふんばり集中して考えないと、 みえてこないとも思う。今日は寝るまでこれを考える予定。

集中講義:何人かの方から「よかったよ」とmailを頂き、正直、喜んでいます。 (ややシニアーの方から頂いた)「講義とはこうあるべきだと思いました。」 というのは褒めすぎですが、お調子ものなので、疲れもふっとびました。 講義の議論を踏まえた「研究レベルのコメントや展開」も2箇所からいただいており、 おおいに刺激をうけています。非平衡統計をさらに考えていくきっかけになれば 嬉しいかぎりです。各々の mail では、褒め言葉に対してはノーコメントで、 本文だけに反応しているのですが、この場をかりてお礼申し上げます。 (みてないかな?)

6月26日 (土) 〜 6月27日 (日)

蔵本退官記念論文の続きやら研究の再立ち上げやら、色々と気になっている のだが、さすがに疲れているので、この休日は原則休養日にするつもりだった。 しかし、休日中にしないといけないことが結構あったので、それらを順にやって たら、結局、長時間の作業になってしまった。ただし、肩がいたくなったり、 途中で疲れて眠ったりしたから、集中力はなかった。(日曜の朝は、 宿舎の除草だったし。) きちんとやすんで、集中力を高めて、 短時間作業にすればよかったが、そう簡単にできれば苦労はしない。

6月24日 (木) 〜 6月25日 (金)

疲れたので休憩.... できるはずもなく、今週にまわしてしまった諸事を 順にこなそうとするも、全然おわらない。土曜、日曜に仕事をだいぶ 残してしまった。

集中講義で皆さんにいただいた有益なコメントについて考える。僕がまったく 知らなかったこととの関連を指摘してくれた岡さんに、そっち方向の文献を 教わり、ぱらぱらみる。うーむ。(少なくとも)教養として面白そうだ。 斎藤さんの指摘は、手をうごかす練習問題として最適だと思うけれど、 誰かやんないのかなぁ。町田さん他何人かに質問された、local detailed balance condition を pure Hamilton 系 からみることは、やはり真剣にやりはじめる 時期だと感じてきたので、その攻略方法を考える。どうしたらいいかなぁ、、 と林さんにいっていると、ほぼ同時に Zwanzig model のNESS 版できないか、 と浮かんだ。考えるべき論点は明瞭になったし、少なくとも projection を 自分なりの視点で考察するよい練習にはなるだろうな。玩具すぎるか... といったん 棄却されたが、金曜日にはまた再浮上。

6月21日 (月) 〜 6月23日 (水)

集中講義。個別的な質問時間をいれて18時間くらいか。後半にいくにつれて 準備不足が顕著になってきたが、予定どうり、黒板だけでとおした。 (3日目だけとか、1日目だけとか)人はいれかわっていたが、常時50人程度 以上の参加があったように思う。聴く方も大変だったと思うが、少なくとも 何らかの「印象」は残せたのではないかな。とにかくも聴きにいらしてくださった方、 ありがとうございました。

途中でばてないように、睡眠と食事はいつも以上にとる。講義中にも水分を とりつづけ、計 4.5 リットル 講義中に飲んだ。また、講義への集中力が消 えないように、本郷近くのホテルに連泊し、ホテルでは何もせずに寝ていた。

講義最後の言葉: 「いまは、偏見にとらわれたまま、ありとあらゆる可能性を 考えている。いまやっている研究が本当に結実することがあるとしたら、 そのときは、きっと、いま抱いている偏見が消えるときだと思う。そういう瞬間 がくるときを楽しみにしている。しかし、偏見をいだいたままつかれはてるかも しれない。そのときは静かに消えていくので、大きな声で喋り続けたこの3日間 をたまには思い出して下されば幸いです。」... というようなことをもつれた舌で いったと思う。

6月20日 (日)

集中講義の 目次 を改訂。 第2部は、あくまではじめて聴く人を対象にするので、 黒板で理解できる範囲のことに絞る。そのかわり、その 理解は深くありたい。計算できたらよし、というのではなく、何が何からの帰結で 何が自然な推測で、何を前提としたときに何を得るのか... ということをおさえる。 第3部の準備にはいるが、入口で考え込む。もう考え込む時間は残されていない ので、途中で放棄して、第1部の最終準備にもどる。なんとか第1部の最低限の 準備はまにあいそう。(つまらなければ、あと1時間くらいでできる。) 第2部、第3部の準備はまだ残しているが、今日はぐっすり寝ないといけない。 [寝不足で講義やプレゼンは絶対にやってはいけない。]

6月19日 (土)

大学院入試説明会:裏方としてのささやかな仕事を院生のみなさんとしながら、 長時間の研究室訪問を院生室でおこなう。 「質問があれば答えます。」という 冷たい攻撃にめげずに、3時間あまり頑張りつづけた訪問者もいた。

非常に疲れているのだが、やすめない。電車の中で第II篇の計算をしていたら、 スムーズに主張がだせないではないか。(誰や、難しくない、、などと書いている のは?) このペースだと講義の途中で考え込むことになりそうだ。。。

6月17日 (木) 〜18日 (金)

キャンセルできるものは全てキャンセルし、あとまわしできるものは 全てあとまわしにし、集中講義の準備をしているつもりだたが、 全然おわらない。やっと 目次 (案) ができた。 ええと、いつはじまるのだっけ....。

6月16日 (水)

ひたすら集中講義の準備。といっても、講義ノートをばしばしつくって、 パワポをがんがんつくる光景とはまるで違う。基本的には寝ながら もだえていた。まず、講義は全部黒板に書く。パワポはおろか、OHP も 使わない予定。(OHP を使ったら、準備がまにあわなかった、ということ。) 第3部(研究展開篇)や第2部(知識伝授篇)は難しくはない。(はやい話、 第3部だけで15時間くらい簡単につぶせる。それなら準備はほとんどいらない。 パワポをがんがんつくる路線もありえる。) ただ、そんな講義だと講義する 僕が楽しくない。

第1部で、何からはいって、どう展開して、何を伝えればいいだろう。。。 と、何度も構成をくみなおした。おそらく今日が第1部のデッドラインなので、 寝るまでには筋をきめないといけない。たとえば、今回、第1部で非平衡熱力学に ついて言及することにした。ひとつの例題だけで、非平衡熱力学が目指したもの とその失敗と残したものをうきぼりにするようにしたい。ただし、 キルヒホッフがどうしたとか、プリゴジンがどうしたとか、◯◯の原理がどうした、 ということはいっさいいわない。(巷の本に書かれている)それらに価値が あると思っていないので。

6月15日 (火)

おおおおぉ。講義の準備がまにあわない。(講義の準備をしないといけない、 という緊張感がありつつもちっともすすまないので)、集中力をかきながら、 Kawasaki-Sasa 論文とHayashi-Sasa 論文の草稿改訂をして、川崎さんと 林さんにおくる。Otsuki 論文に月曜日にコメントをおくったら、火曜日 に再度原稿がきたが、コメントは延期させてもらう。加藤さんと風船問題の mail のやりとりを色々する。気になったので、風船の張力の実測データを 探したがでてこない。大学の部屋のどこかにあるはずだが。

6月14日 (月)

ふしきさんとChapman-Enskog 展開等の議論。原理的なことはわかっている つもりだが、皮膚にやきついていないので、焦点があうまでしばらくの 時間がかかる。ふしきさんが問題にしたところは、僕にはクリアーに なったが、関連事項で気になることがひとつ。いずれゆっくり考えよう。

田崎さんとEinstein 論文の話やら佐藤の話をきいたり。佐野研であった 柴田さん(広島)の話は帰宅寸前に林さんから間接的に2分要約をきく。 来週おちついたら10分要約をきこう (それまで林さんが覚えていれば....)。

6月13日 (日)

昨夜遅くからはじめた、ランジュバン2粒子系での相関の摂動計算のくみなおしが、 昼過ぎに終了。摂動の組み方の考え方は複雑になるが、計算量は激減し、平衡での 長距離相関のFDT によるキャンセルも明示的になった。NESS で FDT がなければ、 1/r^2の 長距離相関が残る。今度こそいけるはず。間違ってなければ、やっと、 蔵本退官記念論文の本文も書ける。(間違いでないように...。)

そういえば、「特異摂動のくみかたは、特異摂動の本質とは関係のない部分なので、 本来自由な部分である。」というのは、蔵本さんの教えである。もっと明示的には、 「全ての特異摂動は、slow manifoldの同定とその座標のはりかたを摂動的に 構成しているにすぎない。そして、その摂動的構成で必ず生じる手続きと摂動の 組み方に依存する手続きをわけないといけない。摂動の組み方は一意ではないの だから、そこの優劣について議論することにたいした意味はない。また、 摂動の組み方に付随する問題は、各論で議論すればよい。」と主張する。 この主張は目から鱗だった。特異摂動の本や論文で勉強すると、まず、 「◯◯の方法」という摂動の組み方の部分がやたら 丁寧で、◯◯の方法と◯◯の方法の違いについて議論する論文や本もある。 こういう方法論からはいってしまうと、柔軟性がないばかりか、そもそも違う 流儀の計算は何もみえなくなってしまう。今回、計算しやすいように摂動形式 をさっさとかえれたのはこの教えがあったからであろう。

最新の 集中講義構成案 を書いた。前回書いた 構成案に意見をいってくれたのはひとりだけで、その意見の影響が多分にあるかも しれない。

6月12日 (土)

Kawasaki-Sasa 論文:川崎さんの草稿をいじる。なんとか川崎さんがstat-phys で発表する前には投稿したいものだ。

気分はのらないが、2粒子ランジュバンの摂動の組み直しをする。平衡での LRC の明示的キャンセルがみえるようにするのが目的である。今の案でうまく いけばまぁいいが、そうでないときには、摂動の抜本的組み直しが必要になる。 いま頭の中で考えている抜本的組み直し案は、発想はそれなりに面白いとも 思えるが、技術的にはしんどい話になるので、7月にはまにあわないだろうな。

集中講義の準備は、歩きながら構成は考えているが、紙に書いて準備する 時間はいつとれるのか? 準備時間としてあてにしていた来週土曜日は、 大学院入試説明会とかで、終日大学で仕事らしい。

6月11日 (金)

昨日ぐっすり寝たので、疲労はだいぶ回復した。 蔵本退官記念論文の introduction 原案は書いたが、他の宿題はたまっている。 来週、discussion 原案を書く予定。main body を書く前に計算をちゃんとしない といけないのだが。

この2日で3つの会議があったのだが、委員長の議事進行が素晴らしいもの ばかりで感心した。ほう、独立行政法人化でメリットもあるようだ。

6月10日 (木)

蔵本退官記念論文を書く。今週中にintro の原案をつくるのが目標。 1974年の蔵本さんの論文には、「NESS の揺らぎを熱力学 由来のものとそうでない長距離のものに分けて考えましょう。後者には "long range coherence" がある。」と表現されている。開放化学反応系を考えているので、 long range correlation (LRC) はないが、まぁ、同じ精神の話だ。今、思い出したが、 たしかその前後に、熱対流系のFH で揺らぎを議論している論文も書いていたはず。 それなら LRC についても言及しているかもしれない。調べないと。ちなみに、 標準的には、LRC が明示的に計算されはじめるのは、1970年代末だとされて いるので、それより数年前の話。[蔵本さんにとって、1970年代中盤以降は、 複素GL / Kuramoto 方程式 /coupled oscillators model 等の(時代背景的に) 独創的な対象が次々と提案される時期で、揺らぎどころではなかった。 むしろ、上の 1974 年の論文を境に、いったん、揺らぎの考察を切り捨てる方向に 転回した結果として、これらが生まれたのだけど。] また、文献によると、1970年代前半頃に川崎さんがLRCを言及しているらしいが、 その該当文献をみても明示的にはみえなかった記憶がある。 これも再調査しないといけない。

6月9日 (水)

樺島さんに長時間セミナー(休憩をいれて約5時間)をお願いする。 スピングラスのあるクラスのモデルの相図がレプリカでは(まだ)解け ないけれど、情報科学から輸入した方法(信念伝搬法)で解けている(かも)よ、 という話。とくに、信念伝搬法というアルゴリズムを時間変化をみなし たときの不安定性と AT 不安定定性という熱力学的相が対応している らしい、という予想の背後にある算数技術を理解することを目的にした。 しっかりした講演だったので、目的は達成できたとおもう。また、それが 成立しそうな雰囲気もだいぶわかった。ただ、その雰囲気が正しいなら、 モデルのクラスに特有な事情かもしれない。とにかく頭のすみにおいておこう。 (10年以上前に、Evans たちの FT 論文を最初に読んだとき、特定の人工的 なモデルのクラスにしか使えないだろう、と判断してしまった間違いは よい教訓になっている。非平衡統計の研究にはいる前のことではあったが。)

6月8日 (火)

蔵本退官記念論文をかきはじめる。ええと、蔵本さんの1974 年の論文は... 1時間さがしてもでてこない。web でdown load もできない。図書にいけば あるけれど、遠い。僕の講義ノートや Van Kampen の本の引用をみて、話を 思い出す。で、introduction 1行目から書き始める。

6月7日 (月)

ぐぅ。非平衡Langevin2体系の相関の摂動計算で、また、ミスをしていた。 田崎さんに説明していたら、「あれ? 初歩的なことだけど... 平衡の場合には?」 と聞かれて、「え? ... アウトです。」 単純な見落しではあるが、確実に計算 間違いをしている。帰りの電車で、項の見落としをみつけた。が、その項をあわせて、 平衡の場合にFDT の成立のおかげで長距離相関がキャンセルすることをみせて、 非平衡の場合に長距離相関のキャンセルがないことを示さないといけない。 これは易しくはない。(数値積分した結果をみせることはできるが。) 同じ精神の別の摂動の組み方を考えた方が賢いな。ここでダウン。

6月6日 (日)

非平衡Langevin2体系の相関の摂動計算の紙レベルの清書。今度は手をぬかず、 1/r^d の係数の閉じた表現までちゃんと導出しておく。今考えている状況では、 1/r^d がもっとも自然な理由もはっきりした。ただ、以前にかいた、1/r^d の相関を生み出す変な力が生じる、とか、非示量的なエネルギーが生じる、 とかいう素朴な解釈は、おそらくはずしている。物理はこれからゆっくり 考えないといけない。とにかく、これで、蔵本退官記念論文を書きはじめる ことができるので、ほっとした。(0行であることいは変わりはないのだが。)

今日〆切の仕事をして、論文改訂の作業にはいったところで睡魔がおそって きたので、もう寝る。あ、集中講義...。

6月5日 (土)

半泣き状態で、非平衡Langevin2体系の相関の摂動計算をする。 昨夜からやっていた方針でそこそこまでいっていたが、途中で大きな 壁があって撤退せざるをえなくなった。夕方になって、完全に イライラ状態になってきた。かかえている〆切仕事がたまりに たまっているので、ここで突破してくれないと、本当に困る。 「くそ!」とか「う!」とかいう声がではじめた。こうなったら ろくなことがないのが普通だが、今日は、神様がいてくれた。 絶望したままもういちど6/2の計算をみていると、なぁーんだ、 まったく単純な話をみおとしていた。6/2の最後の部分を 丁寧に計算しなおすと、1/r^d の長距離相関がでているではないか。

この問題に対してはミスをしつづけているので、再検討したら また穴が見つかるかもしれない。しかし、これで穴がみつかったら、 ちょっとめげるだろうな。

6月4日 (金)

朝おきると、どうもいかん、という気分になった。〆切におわれて とける課題を設定するのは(たまには)よいとしても、その質がやはり 悪すぎるなぁ。もうちょっとましな設定ができないか、と考え込む。 木曜日が非常にハードなので、金曜日はどうもつかれぎみになっていて、 考えごとをしていても講義が気になって、集中力にかける。講義終了後の 学生との1時間の話をおえて、放心状態のまま院生たちと議論して いるとあっというまに時間がすぎた。

気になっているもうひとつの事項である集中講義について、 集中講義構成案 を書いてみた。 うーん。いまいちか。受講希望の人が意見をいってくれると 考えやすいのだが。

学会申込み〆切が近いので、題目/著者/内容 などのうちあわせを あちこちとするが、自分の発表分がまだ優柔不断。

深夜、ふたたび、摂動計算をにらむ。やはり、計算できる設定は、 たいして計算しなくてもわかるものになっている。計算する意味が あるのは、計算しないとわからないものだから、やっぱ、普通の2体系 でおしきろうか...。普段の研究生活で、優柔不断になることは ほとんどないのだが、〆切がかかわるとだめだな。

6月3日 (木)

いきなり昨日の記述だと、ランジュバン2粒子系での長距離相関の現状が どうなったのかわからないか。いちおう今の時点での整理を書いておこう。

まず、数値実験。先週の試行にエラーがあることが日曜日に発覚。エラーを訂正 したら、「統計精度の範囲で、相関の減衰の仕方に関して、何もわかりません」 というふざけた状況になった。もちろん、精度をあげるだけでなく、量を考えたり、 とりかたを考えたり、工夫はあれこれしている。ただ、相関はあったとしても 非常に小さいことだけは間違いない。何もしらなかったら、その小ささだけをみて、 指数減衰といってしまうだろう。(ただ、指数減衰の証拠も捕まえれていない。 そいつをつかまえる方針にきりかえたのだけど、それすらうまくいかない。)

つぎに、摂動計算。気分としては、遮蔽がでても、長距離相関がでても、 おかしくはない、という marginal point にあるけれど、ちゃんとした 計算枠組を組めない。こんなに難しくなるとは思ってなかった。計算の立場では、 特異部分を分離して扱って摂動展開をくむ、という単純な特異摂動展開に できなくて、特異部分とnormal な部分がつねにまじってしまう。 (昨日書いたようにすれば、単純な特異摂動問題になるが。) 似たような状況は、 大学院時代に1ヵ月くらい集中してやったパタンの中の欠陥の相互作用でも 遭遇した。パタン中の欠陥1個の運動は解決済で、これは典型的な特異摂動 の問題にはいる。だが、2個になって相互作用がはいると、困難が生じる。 多くの研究者がとりくんで、論文もいくつかかかれているが、いまだ、 ちゃんとした理論はくめていない。(数値実験では、そこそこ変な相互作用が みえるので、そういうのだけにターゲットをあてた各論的理論はあったが。)

6月2日 (水)

さすがに、〆切付き論文の腹をくくらないといけない。(i) 揺らぎの局所と 大域の兼ね合い (ii) 特異摂動法の計算技術 (iii) 非平衡性が介在する長距離力 の3点を、蔵本さんの70年代、80年代、90年代の論文を参照しながら書く、 という案にした。[蔵本退官記念特集号だし。] この半月苦しんでいる Langevin 2体系の解析は、実は、特異摂動の典型的問題でもある。そこで、特異摂動が もっともつかいやすい設定に変えた。(相互作用長が基盤周期より長い、というと ころだけに摂動展開パラメータをいれる。) この設定で摂動計算をすると、通常の 2粒子系では長距離相関はでないようだ。うーぬぬ。 だが、もう論文を 書かないといけないので、そこには踏み込まず、電荷が異なる2粒子の問題に スイッチする。これは、もう変てこな力がぼろぼろでてくる。係数に特別な 関係がない限り、でてくる相関は 1/r^d っぽいが、まだ、ごちゃごちゃしている。 こいつらが間違ってキャンセルしたら........まぁ、論文をおとすということで。

ちなみに、ここでの特異摂動のくみかたは、蔵本さんにおそわったものに従順に している。昨年の林さんとの論文も特異摂動の問題なのだが、あれは、林さんが うまく処理したので、多少アクロバティックな要素があって、汎用性には欠けて おり、技術的なことを補足するのにもいいタイミングだろう。ちなみに、 「蔵本さんにおそわった」といっても、ほとんどが会話だった。技術やその背後に ある考えかたについても、僕は僕なりに多少の理解はあったので、 それにもとづいて、あれこれ質問するなかで、蔵本さんの特異摂動に 対する考え方を、完璧に理解したつもりである。 で、今回もその恩恵をうけている。(蔵本さんの考え方は、 非常にクリアーでありながら、まとまった文献にはなっていない。 もったいない。) とにかく、はやく計算をおえて、書きやすい筋にして、さっさと 論文を書きはじめよう。(〆切にあわせて、解ける課題をつくって論文を書くのは、 はじめてのこと。ま、一度くらいはいいか。)

6月1日 (火)

6月。集中講義があるのにまだ準備はゼロ。〆切付き論文の投稿〆切が 来月にせまったのにまだゼロ行。毎年、いまごろ、体調をくずすのだが、 今年は元気にいこう。

長距離相関があるぞ、と宣言した後、そいつが遮蔽されてしまって、おお、と わめいたあと、遮蔽の脆さをついて長距離相関の可能性が復活したところまで は日記にも書いた。じつは、その後、大変なことになっているのだが、、 そのまま書き続けると、まるで馬鹿なので、しばらくは沈黙。おちついたら書きます。

余談:こどものとき、メタモルホーゼ(変態)という現象に大変ひかれた。; 「雨ふって地固まる」というが、地が固まるのに雨は必要なのだろうか。; ドラマ/物語は、第一回より最終回が難しい。終ったなぁ、という感慨と新しい 何かが始まりそうな期待感の両方が必要だから。; みえるときにはくっきりみえる 風景が、みえないときには呆然とするくらいに曇ってしまう。 ほんの少しの差でしかないはずなのに。スキル(技術)ではどうにもならないから、 真に難しい。.... 等々。 書いていても青臭く感じるが、40にして惑うっぽくていいかな。

先月の日々研究