5月28日 (金)
昼食を加藤さんととる。講義の小道具をたくさん考えられているのに関心した。 各教官が講義に色々と工夫しているのを聞くのは大変刺激になる。また、 そういう話しをきくと、つい、教育評価のありようについて考えてしまう。 大学教官は、研究だけでなく、教育についてもきちんと評価されるべきである、 とする意見には賛成である。しかし、それは、各講義を(予告なしで)みて、 それを評価するのが基本ではないのか? 大変な作業だと思う。しかし、 そもそも評価というのは、大変な作業なのである。だから、評価をする、 と腹をくくるなら、それにともなうシステムをきちんと整備しないと意味がない。 「我々は教育に関して、こんなことやあんなことをしている」という報告書を だして、それを閲覧してどうのこうのとか、特定の選択された講義だけを参観 してどうのこうのというのは、全く無意味な茶番である。 そんなのならやらない方がましだし、ましてや、その茶番評価にもとづいて、 予算がどうのこうのになっていくとしたら、呆れるばかりである。 [授業評価に関する学生アンケートは、それなりの意味があると思う。 その結果の過度の尊重はおかしなことになるが。]
5月27日 (木)
午前、会議;午後、KISS ふくしまさんのカイラルオーダーの話し、研究室セミナー、 摂動論演習セミナー のあいまに、 駒場相関自然部会に新しく着任された栗栖さんによる談話会「複合たんぱく質の X線構造解析」にでる。この分野が活発であることは、漠然としってはいたが、 たしかに迫力を感じた。構造をあばくたびに、それに付随した動的側面や機能を 推測する題材を与えれるわけで(= もちろん構造とそれらの対応は本来簡単では ないが)、結果に興味をもつ人も多いだろう。自然と競争的になり、活発化して いるのだと思う。栗栖さんは、その中で次々と業績をあげられており、素晴らしい方が こられたのだと納得した。その一方で、このような競争型の研究(= ゴールが 共通化されていて、それにいちはやく到達することに大きな重みがある研究)は、 僕は好きではない。科学としての重要性もわかるし、研究業績の評価もわかり やすいが、 もしそのような研究だけを重宝がる雰囲気が蔓延してきたら、それには抵抗したい。
5月26日 (水)
ランジュバン2体長距離相関の摂動計算: 手も足もでないわけではなく、 幾通りかの計算方法があるのは明らかなのだが、それらをすすめるのに抵抗を感じ、 うだうだする。(自分がかってにつくった)時間制限が近付いているので、ピンチ の状態なのだが、まだ真っ白なレポート用紙が目前にある。気分的には、 激しい計算はいらなくて、いまあるのをちょっとひねるだけで、 摂動最低次ででてきた遮蔽を遮蔽することができるはず。 それを素直に表現すればよいだけのことで、こんなことは今までに何度も あった小さい山にすぎないと思うのだが、のたうつのはやはりしんどい。
深夜:どうも、摂動的には、対数発散がでる.. というあたりが最初のおちつき先に 思える。[電磁気の言葉でかくと、空間の歪みを電荷分布の歪に写して考えたいの だが、その歪んだ電荷分布が charge neutralityをもっていないようにみえる。 何か変なので、charge neutralityを保存した範囲で任意に歪める... というあたりに自然に落ち着いてくれれば、正解のような気がするのだが。] とにかく、これをきちんと確定させよう。で、次の課題が、数値的にみえている 振るまいを、これとむきあって理解するのことか? まるで、摂動演習セミナーで やっていることを、真っ暗状態でやっているようなものか。
5月25日 (火)
朝、市来さんがこられて、非平衡統計で僕等がめざしていることを話をする。 夕方から田中研でのセミナー。コロイド分散系の非一様非平衡状態の アンサンブルを数値的につくる話だが、原理的なところで大きく疑問 をもったので、激しく質問させていただいた。議論をとおして、working hypothesis の位置付けと有用性と限界について、僕なりに理解したつもり。
5月24日 (月)
Langevin 2体 長距離相関:計算機実験と摂動計算のどちらが先に最初の結果を だすかと(自分の内部で)競争していたが、今朝、計算機実験で巾領域がひとけたに 到達した。うぬぬ? バグか? 今の摂動計算では、御目にかかっていない半端 なものだし、外力駆動型非平衡多体系の fluctuating hydrodynamics で常識だとされている 1/r^2 とも違う。謎は謎をよぶ結果になった。 摂動計算の方もはやくやっつけないといけない。
5月22日 (土) 〜 5月23 (日)
摂動論演習セミナー第2ステージの方針がやっとみえた。なかなか楽しみな計算に なりそうだ。ついで、長距離相関の摂動論を気合いをいれて考える。うーん。 なかなかいいのができない。基本的には、ゼロ固有関数の漸近形を摂動的に求める だけの話のはずだが、なぜこんなに混乱するのか、もうひとつ理解できない。 この二日で時間をかけて色々なことになじんできたので、 もうすぐゴールだとは思う。そろそろゴールしないとこれ以上時間をかけたくない しなぁ。
5月21日 (金)
どうもここのところ金曜日はばて気味である。摂動論演習セミナー第2ステージの 構想をねったり、rate function の閉じた式のチェックを試みたり、長距離相関の 摂動論のくみかたを考えたり....。が、どれもいまいち。
5月20日 (木)
場の自由度をもった確率過程の摂動論演習セミナー: 第5回目にして、 ある例題での時間相関関数の非線形性に関する最低次の摂動計算の結果に 到達する。[とどめの計算は中村君。] ほんのわずかでも非線形性がはいると、 時間相関関数が時間の関数としてある巾で発散していく漸近領域が生じる。 つまり、特異摂動問題になっていて、大学1年レベルの力学の本でも 議論されている非線形振動の非線形性に関する摂動展開の異常性と同じ構造 をもっている。MSR やら MCT やら DRG やらの3文字略語専門的雰囲気高等技 を習得して賢くなったと錯覚する前に、そういう基本的な事項を確実に皮膚に やきつけるのが演習の第1ステージの目標だったので、第一ステージは終了 したことになる。[この大事な基本事項を書いている本や文献を知らないのだが、 誰か知っていますか? ] で、次から 第2ステージにはいって、 その異常性に正面からたちむかっていく。 3文字略語専門的雰囲気高等技にはまだ入らない。
5月19日 (水)
2体非平衡ランジュバン系の長距離相関:月曜も火曜もちょこちょこと 書き殴った計算をいくつか行い、日曜深夜の自分の違和感どおり、 遮蔽がない、という感触が日々強まってきていた。ただ、それをちゃんと 示すためには、摂動そのものを組み直す方がいいと判断して、 方針から再考する。そのついでに、数値実験もはしらせておく。 巾がどうのこうのといえるサイズではないが、相関長が系のサイズとともに 増大している様がちゃんとみえるので、バグでなければ、 遮蔽がないのが正しいことになる。ちなみに、同じ系で駆動力をゼロにおくと、 相関は系のサイズに関係なくストンとおちる。
5月18日 (火)
DNA 凝縮転移と1分子計測に関する review と研究について 4時間半の セミナーを村山さんにお願いする。参加したスタッフは、はたのさん、ふくしまさん、 くぼたにさん、こまつさん、ささ という駒場では 初組合せであらう。(認知する 限り、高塚研、金子研、田中研 の院生/ PD の方がいらしていた。) 研究そのもの は何度か聞いたことがあったのだが、背景まで含めてかなりの精度で理解できた ので、実に有意義だった。古くからある問題と最新の実験技術をつかった結果を まじえた review も大変勉強になった。無理をいってお願いしてよかった。 [6月9日には、樺島さんの同じスタイルの長時間セミナーが予定されて います。]
5月17日 (月)
昨夜、深夜まで天井を睨んでいた。違和感が残るのである。計算上は、(色々な 方法で摂動を組み直したりしたが)、どうやっても遮蔽がでる。水曜日の僕の ミスもはっきりしている。しかし、物理として何かを完璧にはずしている気が してならないのだ。こういう感覚は今まで大事にしてきた。結果として、その感覚 が僕の理解不足や勘違いだったときも多い。そのときはそのときで、 修正すればよいだけのこと。ともかく、気持ちの悪さの原因をはっきりしないと、 計算で何かがでたからといっても全然すっきりしない。
朝おきて、外をぼーとみていると、気持ちの悪さの正体がわかった。 電車で考えると、昨日の遮蔽が遮蔽される気がするが、勘違いか? 午後に田崎さんがくるまでにつめておこう。
午後は、ふしきさん、田崎さんと議論。↑ は勘違いだった。ふしきさんの やられていたボルツマンの解析をきいたり、熱伝導系やボルツマンの話など。 もちろん、長距離相関のことも。
やっぱり違和感が残るので、あれこれ考える。違和感は、問題になっている ”遮蔽”がなんか脆い気がする、という一点に尽きるのだが。
5月16日 (日)
あちゃ〜。 朝、昨夜おくられてきた田崎さんの mail をみる。 「長距離相関が遮蔽されるように思える。漸近形の係数までちゃんとみた?」 というようなことがかかれていた。 「初等的な積分とかで求まる係数の計算はまだしていないが、 日をあらためて清書したときでいい。」と日記に書いたのが木曜日だったが、 まだその係数の計算をしてなかった。
朝食をとりながら、「そんな阿呆な...」 と思いつつ、朝食後にノートを広げる。 電磁気の問題に帰着させた後の話である。田崎さんのmail の表現と 微妙にちがっていて、ほれ、このとおり、ちゃんと 相対座標の原点近くに 1/r^d をつくる電荷分布がある。遠くからみたらそれが重心座標に関して一様に ならんでいる。あ、一様ではないか、、いちおう周期関数か。んなもの、 1周期分で平均したらいいので、問題なし。。う? げぇげぇぇぇぇぇぇ。
平均したらゼロではないか。 で、田崎さんの mail をみなおすと、なるほど、 多分同じ事情だ。落ち着いてちゃんと計算する。今まで長距離相関 を生み出すと思っていた源の寄与はゼロになる。これを拡張していくと、leading order は 指数減衰にみえるが... ええと、まてよ、次の寄与の計算は簡単では ない。全部定式化しなおした方がいいかもな。ううう〜。やりなおし中。
5月15日 (土)
先週導いた 1次元非平衡Langevin の rate function のclosed formula のチェックを しようと、グラフを昨日から書いているのだが、おかしい。積分評価がちゃんと できていないところまではつめた。公式の導出が間違っている可能性もあるしなぁ。
5月14日 (金)
何故か4時間半の睡眠でめがさめてしまったので、そのまま大学へいく。 結局、集中力をかき、うまくいかないことが多かったので、もうちょっと 寝とけばよかった。朝方に用事があったわけではなかったのだから。
今週にぎわしていた話をやわらかくいうと「外力駆動+基盤ポテンシャルの下に ある2個の粒子に局所的な弱い相互作用をいれると、粒子間に 1/r^3 に 比例する力が働いているように見える」ということになる。 (流体効果とかではない。) [注1: 実際は、相互作用力を計算しているのでなく、定常分布を計算している。 粗くみているのでつぶれた部分をガウスノイズであつかえるとすると、 散逸とノイズと1/r^3 の力の結果でその定常分布がみえるからである。 ] 「注2: (密度のような) collective mode にみられる長距離相関と同根だと思っている が、粒子対でみえるのが新鮮である。粒子対でもみえるよ、というのが田崎さんの 先週土曜に格子/メトポリスによる主張のひとつ。]
さて、たしかに運動をみると、1/r^3を力とよんでもいいのだが、その力を生み出す ポテンシャルは真のエネルギーなのか? かりにエネルギーだとしてみよう。 十分大きい面積 V の箱 にそんな粒子たちを一様につめこむと、全エネルギーは V log (V) に比例する。箱を半分にすると、V log (V) -V/2 log (V/2)-V/2 log (V/2)= V log 2 だけエネルギーが開放されるので、爆弾をつくれてしまう。 次元の問題ではない。3次元にすると 1/r^4 の力が働くので面積を体積によみかえる だけで同じ話になる。クーロン相互作用に対する量子効果みたいに、そのような異常性 を遮蔽する効果があれば面白いので、月曜日の段階では、その可能性も期待していた が、そうではなかった。おそらく、その遠距離力を生み出すポテンシャルに関する エネルギー概念については素朴ではいけないことを意味しているのだろう。 これをどう考えるのか? というのがエネルギー論側からの問いである。
こういう病的振るまいは、分布の議論でもおかしなことになる。マクロ部分系Iと マクロ部分系II の合成系をつくるとき、全体系の分布に対してふたつの部分系の 直積がdominannt になってこない。(ラフにいって、こういう 分布を non-Gibbs という。) こんな系に対する統計力学がもしあるなら、それは合成系の定常分布と 部分系の定常分布の関係を明示するものでなくてはならない。そんな都合のいい話 があるのか? これが統計からの問い。[Derrida らの additivity principle は、 そういう足し算ルールを厳密解でつくっているから驚きだし、僕がずっと気に している結縁である。]
朝のうちは、それらの問題に対する攻め方について、うとうと考えていた。
5月13日 (木)
「2次元2体 driven Langevin 系の定常分布には、1/r^2 の長距離相関がある。」 というのが事実になった。朝の会議前に手を動かした途端、問題の係数が ゼロでないことは速攻でわかった。後回しにしていたいくつかの点をいっきに つめて確認は終了。初等的な積分とかで求まる係数の計算はまだしていないが、 日をあらためて清書したときでいい。
さてと、DLG 対称法 よりも自然に思える driven Langevin eq で 1/r^2 がでたので、色々と困ることになった。まず、DLG 対称法 が 特殊すぎることを意味している、と解釈するのが自然であろう。 [Langevin eq の妥当性に色々問題があるのは明らかだが、例えばノイズの強さを どうのこうのというレベルだと相関はかわらない。] そうなら、自然の 2次元 driven 系では 1/r^2 の相関 があって、(数学的な意味で)Gibbs measure にはならない、というのがもっともらしくなる。 (本当は、実験で測るべきなんだが。) そうなると、 Hayashi-Sasa I の 数値実験の結果の一般的妥当性の根拠がやばくなる。 もちろん、その結果を捏造しているわけではないので、 何かの真実を掴んでいるのは間違いないのだが。速攻で考える道は色々あるのだが、 いまあせることでないので、しばらく冷却期間をおこう。
5月12日 (水)
どうも体調が1日おきに低空飛行になっている。寝込むほどではないので、 緊急案件から順に作業する。予定していた研究はできず。
ただし、2次元2体Langevin 系の定常分布の遠距離振舞を明示的に計算する 方針だけはたてる。計算方法はちょっと汚いが、答えを具体的にだすにはこの 方法以外はしんどいだろうなぁ.. というところまで決める。振るまいは、 火曜日朝の電車で暗算したとおりの 1/r^2 以外がでるとは考えられず、 その前の係数がゼロになる理由がない。その係数まで計算して確かめるけれど。 しかし、このまま計算がおわってしまうと、色々と考え込まないといけなく なるかもしれない。
5月11日 (火)
たっぷり寝て、熱をおさえる。 朝の電車で、2体Langevin の長距離相関の算数をあたまでくる。うーむ。 一般には、1/r^2 の 長距離相関がでそうだなぁ。係数の計算は紙に 書かないとわからないが、キャンセルする特別な理由があるのかなぁ。 書類かいて、竹川君、岩田さんと話をして、windows に cygwin をいれる。 日本語がうまくはいらんところで、会議。
2体Langevin の長距離相関の計算が大事におもえてきたので、紙の上の 計算を日付変更あたりから開始。ぬぬ。
5月10日 (月)
朝、ばたばた。午後、田崎さんの DLG での長距離相関の up date rule 依存性の2体解析をきく。なーるほど。Langevin の解析がどっちにころぶかで、 考える方向がわかれるぞー。摂動で計算できるなぁ。夕方、摂動演習ゼミでは、 いよいよ最初の山場が近いか。途中、いばさんから population MC に関して mail をいただき、ちょい議論。関連して、川崎さんに mail をおくる。 夜、研究室計算機環境変更に関する話あい。深夜、熱がでたので寝る。
5月9日 (日)
driven 系での長距離相関の巾指数に関して、非常に重要な知見が田崎さんの 日記にこっそり書かれている。(こっそりではないか..; preprint による公化 以前という意味。) 格子系の up date rule に選択原理がいるのではないか、、 というのは前から気にしていたところだが、巾指数の差とはもっとも明瞭な量 である。ただし、対称法が妙に綺麗すぎるのは気にしているし、格子系の特殊 性も気になる。さいわいなことに、柴田君が off lattice driven 系 で諸量 を調べる準備が整っているので、早速それで速攻チェックだ... というmailを書く。 田崎さんの計算そのものは信頼しているけれど、僕の知っている点から気に なる点もすぐにうかぶので、近日中に考察にはいろう。[特殊な事情がないかぎり、 driven 系で 1/r^d が generic であるのは間違いない。問題はその特殊な 事情を自然が選んでいるかどうかである。例えば、微分方程式で運動を 記述したときに、エネルギー保存やシンプレクティック構造などは一般的 でない。しかし、その特殊な性質をもっている力学系クラスの 重要性はいうまでもない。」
昨日の自分の結果もチェックしたいのだが、今日は、たまっている 非研究・学問的仕事をつぎつぎとこなしていく。全部終了!とおもいきや、大学に 忘れてきたのがあった。うーん。明日は午前中に庶務があるし。
5月8日 (土)
外力駆動1体Langevin系で、十分長い時間間隔 δt での移動距離 δx の分布関数 (の large deviation function) を求める。厳密な表式だと思えるのがでたが、 あまりに簡単にでてしまうので、間違っているかもしれない。簡単といっても、 最初の方針は微妙に狂っていて、散歩しながら考え込んでいたのだけれど。 当然ではあるが、非ガウスで fluctuation theorem (FT) をみたしている。 色々なチェック事項を 確認すればよいので、間違いかどうかはそのうちにわかるであろう。
何でそんな量を求めたかというと、直接的には、昨夜の風呂で計算方針がみえた からだけど、計算の動機もたかまっていた。前にやった摂動計算のように時間と 空間の両方の粗視化をいれて Fokker-Planck 化してしまうと、それはそれで美しい 話なのだが、安易にそれを先にしてしまうと、例えば、エネルギー論とか Zubarev 表現とかで、おかしなことになってしまうのである。[たまにおきる 大きな揺らぎが定常分布のzubarev表現に大きな寄与をする。エネルギー論と階層移行 の相性の悪さはずっときになっていて、昨日も林さんがどうすべぇという話 をしていた。そういえば、今思い出したが、大きな揺らぎをつかったエネルギー 論の生き生きとした話は、関本さんがよく言及していた。] 非平衡定常系でカレント揺らぎが FT に従うのは、いまや常識なので、そういうの を保持したままの階層移行を明示的に考える必要があると思ったからである。 FT のパラメータとしての温度の変更はそこでおこりえるのだが、 それは ミクロFTとマクロ FT の移行を介して明示的にしたい。 [FTのパラメータとしての温度と有効温度の関係を論じる論文もはや複数でている。 にぎやかになってきたものだが、いまの時点では、まだ余裕をもってそれらの 論文を読める。]
5月7日 (金)
睡眠5時間での講義はきつい。字を間違えまくった。[ことしのクラスは、 最前列で個性的な人達が頑張っている。「熱容量の温度依存性を実感できる 現象を示してください!」... 内部エネルギーの温度依存性の話をしていたときに、 学生から僕にでた質問。素晴らしい! 即答できません。臨界点でどうしたこうした ....って、臨界点の様子なんて実感できないし。 悔しいので、全員へのレポートにした。]
それにしても、何やら意味不明な書類をだせ... というのが多くて面倒だし、 それらが全部 windows 添付でくるから、そのたびに、対応しないといけなくて、 つかれてきた。もうwindows につなぐしかないかな。
定常分布の表現のweak noise limit :今度こそもとまったはずだが、式が 複雑なので、一応グラフでも書いておいて確認しといた方が無難だな、 と暢気なことを予定していたら、別の考察から、どうも、そもそも極限の とりかたに不信感を覚えはじめて来た。う〜、と苛立ちながら風呂で 再考していたが、ずっと前に考えてボツにしたことがここで復活してきた。 ちょっと面白いかも。明日、あさってはこっちをやろうか。
5月6日 (木)
朝の電車で、昨夜できなかった積分をする。なるほど、わかれば簡単だ。 (こういうのは紙に向かうより、目をつむって頭でするのがいい。) weak noise limit の主要項の具体形を求めれるので、あいた時間にやっていたが、 場合わけがヘタクソで、こんがらがって、結局、帰宅してからやりなおす。 一応でるにはでたが....うーむ, 間違いなく間違っているな。
同じく朝の電車で、〆切論文の案をねる。Physica D から Kuramoto 退官記念 特集号がでるそうで、そこに投稿しないといけない。"chemical turbulence に おける揺らぎと応答" あたりが無難で、〆切も守れて、そこそこ新しいことも 書けて、近年実験的にも制御できるようになって実験への提案もできるし、 健全かつ堅実で、reject されることもないはずだが、なんか気がのらない。 パタン摂動論の特殊な話題についてはいくつかネタはあるが、 それはもっとひどいしなぁ。数値実験の replication technique が気にいっていて、 カオスに使いたいと思っていたので、そっちにしようかな。 "replicating chemical turbulence"... ? いや、真面目な話で... (しかし、間に合うかな。ゼロから調べないといけないことがたくさんあるが。)
へぇ。C. Maes が "Hatano-Sasa identity" と名付けているらしい。
5月5日 (水)
GW中の学問的な進歩がゼロではつらいので、覚悟をきめる。午前、家族で バトミントン;午後、家族で買物のあいまに最後の挑戦課題をみすえ、帰宅後、 紙の裏に書きまくる。εくらいの進歩か? driven Langevin の 定常分布の Zubarev 表現の small noise limit の評価の仕方がわかった。あとひとつ積分計算をみきわめないと いけないが。嬉しいのは、この定常分布の表現が、補助場による表現になって いて、DLS 的なものを連想させるからである。多体系で、(さきにfluctuating hydrodynamics に移行した場合には)、類似の表現になるのは間違いないが、 まずは、残った積分計算の処理をちゃんとみきわめないといけない。
5月4日 (火)
非研究学問的仕事。。。。その後、Zubarev表現を粗視化の視点から 徹底的に考察して、難しいので撤退をきめる。
よいreferee report を書くのは簡単ではないし、review する論文にもよる。 ただし、悪いreferee report を書かないようにするのは、それほど 難しいことではない、と思う。まず、referee は匿名であるがゆえに、 客観記述を基本にするのは当然である。[論理的な妥当性;結果の新しさ; 科学的価値など] ただし、萌芽的な研究の場合、 科学的価値判断の部分で主観が大きくはいる のはやむをえないので、その部分は、明示的に「自分はこう思う」という自分の 価値判断であることを明示し、客観的な部分と分離してかきわけたい。 とくに、reject 判断 のreport や 要大幅修正 判断のreport を書くときには、 「なぜその判断をしたか」を著者に伝えないといけない。 (著者の力量にも依存するので、referee だけの問題ではないが、 すくなくともreferee は 伝える努力をしたい。) それだけをきちんと意識していれば、あとはrefereeの力量に応じて、 普通のレポートにはなるはずである。 そこから先の学問的な価値判断の相違とか、主張を とりちがえられた... とかは、まぁ、色々あるから、重みをつけた 意見分布に従ってeditor が判断する、というシステムで悪くないと思う。 あたりまえのことだと思うのだが.... そうでないレポートが結構な 割合であって、かつ、判断主体のシステムがよくわからない某雑誌とかは 僕には理解不能である。(僕がその某雑誌に投稿しないのは、理由がある。)
5月3日 (月)
贅沢に時間をつかって考える。[なりゆきで Hill's equation の一般論を みなおしていて、僕の本棚にある Hill's equation というタイトルの本は、 17年前に足立さんから借りたものだよなぁ....と発見したり、可解条件に 関するある知見を思い出して、「こういう技巧は何かのときに使えるかもな」、 といったん感心したが、今の場合は阿呆なことだと気づいたり、、初期値問題 を含んだ系をnormal form technique で記述縮約する方法を定式化したが、 そういう摂動では初期条件をちゃんと回復するには、無限オーダーいるから 使えないことを確認したり(= 間違いなく昔やったことがある) ....。] 色々なことがわかったが、研究としてはいまいち、というまとめが 的確であろう。まったく冴えない一日であった。
5月2日 (日)
色々なことを GW 中の仕事としてわりふってしまっていたことに気がついて、 慌ててそれらの処理をする。 夕方の外出をはさんで、ずっと時間をつかって 「GW中に予定していた非研究総仕事」の 1/3 くらいは終了か。経理とか 庶務とか見回りとかの仕事でなく 学問的な仕事なので、楽しくできる仕事の範囲ではあるけれど、興奮する 仕事ではない。 〆切のある論文とか、苦手そうなものを GW 中に立ち上げる 計画もあったのだが、このペースだとそこまでいかないか? こりゃ、まずいな。
で、非研究日のままおわるのは精神衛生上悪いので、昨日の続きを布団で やろうと思っていた矢先に、学問 mail が田崎さんからとんできた。うぬ。 それも考えるべきだなぁ...。
5月1日 (土)
明け方、「あ、そうか、数値実験では population dynamics としてやっている のだから、その時間発展をかきくだして、それを出発点にしたらいいのでは...。」 と思った。昨日の帰り際に「途中で粗視化いれるのでなく、最初からいれる方法 はないものか」と林さんがいっていたこともひっかかっていたのであろう。
数値実験でみている 1体系の場合の population dynamcis に対応する分布の 時間発展を書き下すのは簡単であった。複製/死亡に対応する項がちゃんとつく。 この動力学の一般的知見から、こいつが定常分布を正しく与える数学的な 理由もすぐにわかったが、そういう一般論ではなく、具体的な計算として みせたいのだが、それはすぐにはみえてこない。そのpopulation dynamics に粗視化 いれる技術はもっているのだが、それをいれてしまうと定常分布の計算ができなく なってしまうように思える。うーむ。(ええと、たしか、粗くみたときの 初期条件に相当するようなものを固定する条件がでてくるはずで、それが、 今の場合は、定常分布を決定することになっているはずだが.... ? で、 その粗くみた系では輸送特性が簡単にみえてくる。 昔、にたような論旨の計算をしたことがあるような記憶もあるのだが、何だっけか?)
上を書いてだいぶ時間が経過した。「うまくいく楽観的なシナリオ」が あるかもしれない、という気がしてきた。目論見どうりだと、定常分布と 輸送特性が同時にもとまっていくはずである。(1体系の場合、定常分布を もとめるだけだと阿呆みたいな話で、こんな面倒なことはいらないし、輸送 特性も計算ずみ。ここでしたいのは、定常分布と輸送特性を同時にもとめる 考え方と計算方法を鍛えることである。両者を同じ土俵で眺めたい。) 具体的な計算とりかかると、まだまだスムーズにはいかない。