日々の研究

日々の研究(リスト)

4月30日 (金)

ちょっと肯定的なこともないと苦しいので、多体系の測定データを整理して、 最初の関係式を検討する。お、いけてるかな。。。ほっとしたが、よく考えれば 面倒な導出が必要ないあたりまえの式ではないか。ええと、このあたりの関係 なら自明ではないな.. という次の手を考える。GW 中には測定しておこう。

1体 非平衡Langevin 系の Zubarev 表現は、いよいよパラドックスが生じてしまった。 長時間/長距離のふるまいの議論の部分を前の論文の手続きにしたがっておこなって 処理すると、どうも矛盾した式がでてしまう。算数として矛盾しているので、 そこでそういう摂動を使うのが間違い、というのがもっとも冷静な判断だが、 この間違いに物理の香りがプンプンする。90年代の終りに関本さんと何度か議論 した「エネルギー論の階層移行がよくわからない」ということと今の算数としての 矛盾が同根のような気がする。楽しい考え方がおちてきたらいいな。一般的な問題 を動機にもちつつ、目前の算数やデータと闘うのが僕の標準的なやりかただし、 そういうのが好きだし。 (first passage time をつかった攻め方の気分もわかってきて、そっち方向から の本格的突入の準備もしようかと思ったりしたが、やはり、ここは素朴な方針の パラドックスときちんと向かいあうべきかな。) [多体系のZubarev 表現における マクロ化の扱いも もっと慎重にならないといけない部分もある。これは別口で丁寧に考察中。]

すでに金曜日は4回目の講義で例年よりペースが早い。だけど4月なので、 なんとなく先にすすみたくなかったせいか、僕のリズムも悪く、学生も やや GW 気分のような雰囲気があったので、予定していた U のT 依存性や V 依存性のきめかた、断熱曲線をもとめかた、などの項目は全部来週に まわして、・ ジュールの実験のどこに感動するのか。・ 内部エネルギー というからには外部エネルギーはあるのか。 ・ そもそもエネルギーって? ・外部エネルギーと内部エネルギーのまじりかた .... で、はねかえりの 話やらをしていた流れで、振動板にボールを ぶつける話になってしまい、レポートは (i) はねる玉の 漸化式をだせ (ii) 解け、というのをだした。昨年のカオス講義でやったとおり、 これは決定論的に運動がかけてカオスになるもっとも初等的な例題である。 どういうレポートがでてくるかな。。

4月29日 (木)

ある指数 q に依存する関数があって、q=0 のまわりの振舞がカレントの平均 やらカレント揺らぎのマクロな輸送特性をきめ、q=1 の値が変数の定常分布の形 をきめれる。例えば、外力のかかった周期ポテンシャル中のランジュバン粒子 の運動の場合、定常分布(周期関数)も 移動度も拡散係数も I_+ だの I_- だの でかけるのだが、それをひとつの関数からみわたせる。その一般的公式が正しいのは 自明なのだが、もうすこし深く理解したく、簡単なモデルで具体的に閉じた 表現としてみせたい。 輸送と定常分布の両方を同時にとらえる表現っての は面白そうなのでやっていて、だいぶなれてきたが、まだできない。うーん。 ちなみにこれをいじりたおしていると、数値計算のアルゴリズム (= population MC というより、replication method というのが適当だとおもう。MD にも使えるから。) の気持ちもよくわかってきた。

非平衡多体系の 確率分布のZubarev 表現。これも使えるところまでひっぱり たいのだが、微妙な混乱があって右往左往。

4月28日 (水)

根性をいれてある例題にとりくむ。ぱっとみて t が無限で0になりそうな ある積分が有限になる仕組みをちゃんと理解すること。数値計算をすると たしかに有限になるが、すこしでもパラメータをいじるとゼロになることも 確認ずみで、きわめて「もろい積分」である。日付がかわったのに(自由粒子系以外は) おてあげ。今までの経験でしっている漸近解析の話で理解できるものではない。 悔しいのう。

4月27日 (火)

非平衡定常分布の Zubarev 表現 (= 面倒なので、僕がいままで呼んでいたのを そのまま呼ぶ) をつかった考察にはいる。いくつか賢くなったが、わからんことも 多い。関連して、Derrida らの2ヵ月前の論文の理解がすすんだ。彼らの 作業仮説はうけいれることにしても、結果の式が変に思える。僕の計算間違いかも しれないが。

4月26日 (月)

朝のうちに科研費書類関係をおわらそうと集中するもミスの連発で、田崎さんが くるだろう頃にはまだおわってなかった。と、「清水さんとご飯たべにいくので、 またあとで」と田崎さんから電話があり、ラストスパートで書類をおわらせる。

で、田崎さんと話しをしていてわかったこと:この日記で最近賑わしている、 非平衡定常分布の Zubarev 表現に関して、鈴木さんの本やMaclenan の本に 書かれているのは、僕がおもっているのと違う式が書かれていた。ええと、 その式は... ああ、ほれ、あれだ、量子系からみた古典と同じ。。ちゃんと みないとわからないが。

4月25日 (日)

定常状態分布の Zubarev 表現のノートをかきはじめる。まずは個人用にひたすら うちまくる。自分が知っていることは全て前提にして、何が問題で何をしたいか、 という自分のための論点整理である。時間制限なしで、ときおり長考モードに なったりする。ひととうりできたら、近いひとたちに配布できるように構成 しなおした版をつくる予定である。あ、4月上旬までに紙の裏に書き散らしていた FRR に関する考察もtex 化しないと来月には忘れてしまいそうだ。しかし、 この時間配分のペースだとうちこむ時間がなさそうだな。せめてホッチキスで とめてどこかにおいておかないといけないが、そういう整理はもっとも苦手な 部類の仕事だしな。(tex 化しても発掘するのに膨大な時間がかかる。それでも 計算機のどこかにファイルがある、というのはすばらしく有用な情報である。) [う。ええと... とまっている論文たちも意識下にはあるのだけど。。。。]

科研費交付申請書作成開始。文章の部分は昨秋の申請書のcut-paste でいいはずだが、 分量が違うし時期も違うのでちょっとだけ構成をいじらないといけない。これに時間を かける意味はないので、時間制限をつけて草稿をかく。

4月24日 (土)

境界で粒子が生成消滅する非平衡格子気体の Zubarev measureの 数値的構築をはじめる。 (数値的につくった)Zubarev measure が正しく measure であるためには、 まずは足して1にならないといけない。明示的には書かれた文献はしらないが、 この条件がflucutation theorem (のひとつの表現)に他ならない。 fluctuation theorem は10年前だが、Zubarev measure は40年前! その必要条件のチェックを基準にしながら、効率のよい計算パラメータの選び方 の勘を養う。

こういう多体系の Zubarev measure をみるのに、普通の数値計算では 手も足もでない。それに対し、population MC は、Zubarev measure をみるための道具ではないか、というくらいうまく働く。非平衡定常下 でエントロピーをはきだしつづける典型的なサンプルは、measure への 寄与が少ないので世代交代によって(自動的に)死んでいって、めったに でないが measure にとって大事なものは(自動的に)複製していく。 そういうことをしても、ちゃんとその分の補償をきちんと勘定にいれているので、 ある極限で正しい計算になっている(はず)。

非平衡多体系で Zubarev measure を数値的に構築して、いったい何をするのか、 というのが本当の問題なのだが、まぁ、それはそれをするときに述べよう。

4月23日 (金)

とにかく、当面、Zubarev measure について具体的に調べることにきめた。 そのためには数値的なこともおさえておきたい。ところが、 "大きな寄与をもつサンプルがまれにしかおこらない " というこの手に 特有な統計平均を考えないといけない。普通にやると話しにならないのだが、 昨日ふくしまさんにおしえてもらった population MC の方法を丁寧に 考える。なるほど... これはうまいし、方法としても面白い。 もっとも簡単なLangevin 系に早速実装してみる。おぉ、感動的に精度が 改善される! まだ物理的な ことははじまってもいないのだが、具体的に計算できるだけでも嬉しい ではないか。(白板に書いた証明はまだ不十分。もうちょっと落ち着いて考えよう。)

今日の講義で、びっくりすることを知ったのだが、ちょっと書く時間的 余裕がない。(メモとして残してあらためて書こう。) 科研費交付内定を めぐってばたばた... 。夜、自宅のパソコンがダウンして半泣きになる。 深夜、津田さんにおくると約束した文献がみつからず困り果てる。

4月22日 (木)

朝から色々。諸事で立川君のセミナーはパスして、ささ研セミナーから。 中村君のstick-slipに関して、Barabasi らの論文紹介と中村君の結果との 類似と相違について。林さんが、先週の補足として、非平衡条件下のマクロ な振るまいに格子依存性があるべきでない、という基準をかすと update rule がしぼられる、という報告。(主に僕の動機から) population MC について ふくしまさんに教えてもらう。その後、Langevin 摂動演習セミナー。素朴 摂動最低次が完了とおもいきや、あれれ?...次回につづく。 柴田君に ご飯をもらって、中村君と SST 実験に関連する話しをして、林さんと Zubarev measure の展望について話しをする。24時をすぎた電車で 森田君にあったので、今後の展望などを聞く。

4月21日 (水)

なるべく簡単なことからおさえようと、tilted periodic potential の 定常分布の Zubarev measure をはかってみる。そのモデルの定常分布の 解析的表現は簡単な練習問題であり、それをわざわざ Zubarev 表現で 計算する必要はない。Zubarev 表現をつかうと、定常分布の非平衡補正 を物理的な言葉でかけるので、その扱いになじみたいためである。(証明 できることと測定できることの間にギャップがあるから。) 色々な工夫 をしたが、結局、直接はかっても今の場合は大きな問題はないようで、 強い NESS でも正しい定常分布を与えている。しかし、ここからが問題 で頭を抱える。

多体系の場合、非平衡の2次まででいいや... とわりきってもなんだか おかしい。ええい、small noise で漸近評価してしまえ... とすると、 adjoint technique に 帰着される。間違った道をいっているのかもしれぬ。

4月19日 (月) 〜 4月20日 (火)

(林さんの)「ななめ格子による SST 関数+有効温度」: 議論する材料がそろってきて、さぁ... という絶妙のタイミングで、田崎さんが駒場にきたので、一挙に消化した。 「その有効温度と整合するSST関数を構成可能なのはほぼOKだが、そうするだけの 強い意義がない」という結論で3人が一致した(と思う)。研究としては、一旦、 うちきり。しかし、こういうことは確実に体にしみついていくので、決して 無駄なことではない。

それに対して、僕が最近やっていること( = 非平衡格子気体で Zubarev 表現 を積極的につかうこと)は糞づまり的でよろしくない。朝の電車で、 系の分割/合成の視点から再考していたが、なかなか難しい。

林さんが 拡張 Einstein 論文 の投稿をおえた。

4月18日 (日)

東京にかえってきて、京都にいくまえにとばしていた精密データの結果をみる。 あれ? この方式だとチェック不能だということを納得して、再考する。 うむ。同じ考え方にたつ別の表現があることにきづいたので、それをつかって、 揺らぎのポテンシャルの表式として使えるかどうかの検討をはじめる。 が、どうも何やらおかしい。眠いせいだ、ということにして、今日の作業は うちきる。

4月17日 (土)

蔵本さんの退官記念講演会にいく。どこに泊まるのだっけ? あ、予約していない。。。朝、あわててネットで調べても空いているはずもない。 宿がないので、朝まで何人かの人につきあってもらう。(これは八条のネット カフェでputty を down load して書いている。)

4月16日 (金)

朝食をとりながら、境界駆動型 NESS について、(モデルから証明可能な) Zubarev measure から出発して、マクロ変数の揺らぎのポテンシャルを書き下す。 問題は、それが使えるかどうかを検討することで、いくつかの諸事を挟みながら、 講義までのあいだに、何とか最低のめどをたてた。しかし、まだまだ論点が多い。 [おまけとして、境界駆動型の Green-Kubo の証明もふたたび書いて、 今度は数値的にもチェックしておく。]

ああ... negative なことも含めて色々わかりそうなのに、明日は早朝に 京都にむかう。どうもタイミングが悪いな。

4月15日 (木)

午前、庶務仕事。午後、KISS(僕がNakagawa-Komatsu のラフな紹介をする)、 ささ研セミナー (林さんが SST 関数 + 有効温度 に向けての話しをする)、 非線形Langevin摂動論演習 (色々なことを確認しながらやっているので、 課題0 である 特定モデルの 素朴な摂動最低次の計算結果がまだでない。 まぁ、ゆっくりいこう)、拡張Einstein 論文のほとんど最終うちあわせ。 そのあいまに、昨日の間違いをなおす。ヘボをしていたのは、証明ではなく プログラムの方だった。

4月14日 (水)

.... 色々あって、1次元DLG はおたくすぎる... ときめつけることにした。 [異常な系ばっかりやっていると通常感覚がなくなってしまう。] で、夕方から、 開放境界のモデルにのりかえる。Bertini et al や DLS との関係もあるので、 まずは格子気体系からだが、調整にてまどる。平衡で完全に調整しておかないと 後でいたいめにあうので、今日中に平衡の厳密解と数値解との差を0.1 % 程度 まで抑えきる予定にしていた。が、日付がかわる頃になっても 2%も差がある。 数値計算上の問題ではなく、モデル化のミス の可能性がたかい。2年程 前にも悩んだ、粒子浴ルールと粒子間相互作用のかねあいの問題だと思う。 境界だけで粒子の出入りがあって、かつ、(平衡状態では) 系全体で grand canonical が実現するルールになっていればいいので、そうしているつもりだが、 証明の方がおかしいのかいな。

4月13日 (火)

帰宅するまで手を動かす時間はとれなかったが、あれこれと方針はねった。 きっと面白いと思う。(何でも面白いと思うからはじめるので、最初に 面白いと思うのはあたりまえ。で、やっているうちに、盛り上がってこない ことはままあり、継続するかどうか悩む。何でもひきぎわが難しいのだ。)

最初にすべきことを深夜になってから手をうごかして検討する。巨大な系 で試行数を抑えるのがイメージに近いし、そういうことも可能な計算方法 なのだが、どうしても小さい系から定常状態をきちんと確認しながらサイズ を大きくかえていく(今までの)流儀の方が気持ちがいいので、それで計算する 方向を模索する。よし! これでいこう... とみえたところで、目がおちる。

4月12日 (月)

朝の電車でふと思ったことがあって、3年前のノートをさがしだす。 詳細つりあいが成り立つ系から線形だけはなれた領域では、定常分布 をきめる変分原理をつくることができて、その変分方程式をとくことにより 定常分布のある表現をかきくだせる。定常分布に対するZubarev表現と 似ているし、過剰熱と解釈できる寄与が明示的にみえるので、魅力的 だったが、所詮、線形領域の表現なので忘れていた。また、そのころは、 Zubarev表現に対しても不信感しかなかった。いまや、マルコフ確率過程 でかける系における Zubarev 表現は完全に納得している。というので、 昔導出した表現とZubarev の表現の関係をさぐってみる。

お、たしかに、Zubarev 表現で 線形領域に限定すれば、3年前のノートの 表現に帰着される。ここまでは生産的。ついでに Zubarev 表現をつかった 変分原理をかんがえてみっか.... で泥沼。色々妥協して問題設定を やりなおして試行錯誤しても全てだめ。風呂にはいりながら、 「まずはマクロな密度揺らぎに対する測度がわかればいいやん。」 と開きなおる。ええと...速攻で多分「これ」。念のために数値実験で 確認するとして、いったいこれはなんだろう? 密度揺らぎは、 fluctuating hydrodynamics の adjoint dynamics でも記述できるし、 2次元系の外場垂直方向は SST 熱力学関数でもかける。 DLS 解との関係もきになる。しばらくこっちを追求するか。

FRR はどうも面白くならない。断片的には色々と知見がたまってきて、 紙の裏は膨大になってきたが、まとめのノートを書く気力がわかない。

4月10日 (土) 〜 4月11日(日)

玩具系の計算をながめて色々な誤解がわかった。この1ヵ月こだわってきた 随伴応答を前にだすのは捨てると(ほぼ)決断した。ひとつみえたことがあって、 条件 ☆ [Langevin の dual が Langevin] がなりたつときの FRR や関係式に ついてだいぶすっきりしてきた。しかし、いまいち釈然としない部分もある。 また、条件☆のstatus もすっきりとはわからない。

4月9日 (金)

早朝から2自由度非線形 Langevin 系をながめる。うーん。色々混乱しているが、 多体系をマクロでみたときに 条件☆がなりたつときの感覚はわかってきた。 (条件 ☆とは、Langevin モデルの 確率過程としてdual モデルが、Langevin モデルになること... というのがもっともすっきりしている。) 揺らぎの ポテンシャルをふらふらしているのだが、ポテンシャルの山をのぼったときに は循環が生じて山の横すべりがはじまる。ポテンシャルの底では循環は消えるので、 Tomita-Tomita の不可逆循環やら Onsager 係数の非対称成分はない。時間相関 関数は、そういう運動も全てひろっている。他方、応答関数は、ポテンシャルの 底の方での微小な動きをみているのにすぎない。

場のLangevin系の摂動論入門演習セミナー (?): 素朴版(その1)という 感じ。僕自身も再確認できた点がいくつもあったので有意義だった。先は まだまだ長いのだが、ゆるりといこう。

講義も会議もはじまっている。新 M1も活動しはじめている。 ばたばたばた.....

4月8日 (木)

2自由度非線形 Langevin 系による FRR の調査。朝の電車でイメージづくり をするが、色々とおかしいので、モデルをちょいと変更したり、もどしたり。

H-S III a の論文が掲載受理されたようだ。Phys. Rev. では、editor が 複数のreferees に査読を依頼し、その意見分布をみて掲載の可/不可を 判断する。[ちなみにJPSJ は随分と異なるシステムになっている。] この論文は、当初、PRL に投稿したが、○、×、△ にわれた。 × をつけた referee A とは、「意義」に関する価値観が僕等とわかれたために、 長い返事を書いて、やりとりをした。referee A 氏のいっていることも 理解できるので、そのやりとりは不毛なものではなかった。 △をつけた referee B が、論文の主張をうらづける技術的な詳細と実験で 測れることの証拠をだせ、といってきたので、改訂増補版をつくって、PR E に再投稿した。今回の再査読はreferee B 氏だけで、氏が内容を褒める レポートを書いてくれたので、受理になった。最初の書き方次第では、PRL で受理だったかも.. とはちらっと思ったが、あとのまつり。

4月7日 (水)

非線形確率過程の摂動論入門へむけて、ちょこちょこ手をうごかす。 ふぇー、ほう。初歩的なことから再構成していくのはそれなりに楽しい。

FRR : 形式論で考えることは全て考えたと判断。いまのところ測定量の関係としては、 泥臭いものしかない。[形式論的に綺麗なのはいくつもあるが。] 泥臭い関係式を DLG で すすめるかどうか悩んだすえ、結局、2自由度非線形 Langevin 系を 調べることにした。これは、driven diffusive system を 2モード近似したものとも解釈できるが、そういう解釈は当面必要ない。 独立パラメータはふたつしかなく、ひとつは定常分布のガウスからのずれを あらわし、もうひとつは詳細つりあいからのずれをあらわすので、いまの 動機には最適なparamterization が最初からできている。 まずは、(普通の意味の) FRR の破れかたを感覚的につかもうとするが、 今日のところは、よくわからない。

4月6日 (火)

「形式論は測定量と関係しないと無意味である。」というあしかせのもとでの格闘を つづける。ようやくなれてきて、色々な関係式を頭の中で動かせるようになってきた が、測定量間の関係がどうもしょぼい。間接的すぎるのだよなぁ。

歩いていると、摂動展開の枠組がちらついてしかたないので、紙の上に かきはじめる。

4月4日 (日) 〜 4月5日 (月) [休暇]

毎年恒例の春の休暇。温泉にはいって、ぼーとしていると、問題の全体像に 関わる大きな視点にきづく... ということもなく、2日間が過ぎた。技術的に 細かいことにきづいて、それに関する手書きノートだけはつくる。

4月3日 (土)

わからんずくしでは気分がわるいので、とりあえず、多体系で条件☆だけを 課したモデルを「根性いれて」いじりはじめる。FRR の拡張やら Tomita-Tomita の不可逆循環の拡張やらを導出する。[手法的にはワンパターン。条件☆と随伴概念 を最大限につかうだけ。] ただし、まだ「形式論」レベルなので測定量で閉じる 段階にはなっていない。測定量間の関係も、なにかはだせそうだが、どれだけ綺麗で、 かつ、実際に有用に使えるかが問題であろう。DLG で実際に測定して、 関係式をみせるところまでいったらとりあえずひとだんらく。

4月2日 (金)

adjoint 世界についての 計算法の確立と測定量との関係について、多体系 と1体系をいったりきたりしながら悩む。多体系の場合、ある条件☆ を 多くのモデルがみたしているらしい。その場合は、adjoint は形式的に さっとかけるが、条件☆の物理的意味がさっぱりわからない。 [何かの変分原理か? 実は、30年近く放置されているのだよなぁ。] で、とりあえず測定量との関係の線を攻めてみる。イメージはあるのだが、 算数としてはまだみえない。1体系の場合も、できると思っていた計算に 勘違いがあったので混乱中。しかし、この場合、条件☆ をみたさないのが 普通なので、混乱がとけても、単なる計算技術になってしまう。はてはてはて。

林さんが fluctuating hydrodynamics で (MCT を含む) diagramatic な計算が できるようになりたい、という。定常状態まわりの線形応答理論をまとめたい というが、「まとめる」どころかまだ構築のスタートラインにたったばかり なのだが。より具体的な動機をきくと、「当面の目標として、数値実験でみた long time tail のあらわれかたや消え方を理解したい。」という。こういう 明確な動機がある場合のアドバイスは的確にできる。「それなら、 Martin-Siggia-Rose とか、Zinn-Justin とか、Mazenko とか....... からはいるのではなく、どの文献にもない僕の考えるプログラムが最適でしょう。 既知の計算法を速攻で習得するのでなく、時間をかけて計算にともなう感覚を つかみ、あわよくば新しい計算法の開拓をめざすことも可能ですよ。」 といって、そのプログラムの第0課題を紹介する。当面は研究と切り離して ゆるりと僕も準備しよう。

4月1日 (木)

Landauer が 1975 に、定常状態を特徴づける状態量なんてない、と主張する 論文を書いた。彼の論旨は以下のとおりである。反応座標を対称双安定系で モデル化できる場合を考える。このとき、定常状態に相当する底には、まったく さわらず、反応座標のある領域(山の片側中腹あたり)だけあたためる。 すると、あためられた側から他方への遷移率が逆過程の遷移率より大きくなり、 分布に歪みが生じる。 状態間をつなぐ道の途中でわるさをするだけで、定常状態の性質をかえることが できるので、定常状態を特徴づける状態量なんてない、という主張である。

はじめてこの話しを聞いたとき、SST の動機はゼロだったし、まぁ、運動論的には あたりまえかな.. と思った。[SST との関係は別の機会に。ちなみに、 Landauder の熱力学拡張の表式(1978)は、Oono-Paniconi に非常に近い。Hatano-Sasa で 引用していないのはまずかった。Oono-Paniconi でも引用されていないが。] 今日の話しの論点は、「あためられた側から他方への遷移率が大きくなり」 の部分が、「運動論的にあたりまえ」かどうかである。色々な考え方があろうが、 あためられた側から他方への遷移率が逆過程の遷移率より大きくなる、、 と想像したのは、遷移過程の道のポテンシャル増分に逆温度の重みをつけた 足し算てバリアーができている、、と思ったからである。(論文では、定常状態の バランスの考察から、類似のことを随筆風に議論している ようにみえる。)

さてさて、今日はじめて、この問題での遷移率の表式を書き下してみた。すると、 "遷移過程の道のポテンシャル増分に逆温度の重みをつけた足し算でバリアーが できている”以外の寄与があって、その余分の寄与こそが詳細つりあいの破れ を明示的に担う項になっている。いうなれば、遷移過程を局所平衡でつなぐ以外 の寄与がある。符号をチェックすると、あたためた方からの遷移率が逆過程の 遷移率より大きくなるとは限らないようにみえる。ふぇー。 具体例をつくればちょっと面白いか。。こんなことは もうとっくに計算されているとおもいきや、しらべたかぎりでは、1999 年に SUSY テクの応用としてのデモがあるだけだった。しかも、サドルから離れたところ を温めるとよりいいぞ、、というしょうもないところが物理のうりらしい。

しかし、簡単な例題で計算してデモをつくるだけでは、いまいち面白みにかける。 ここででてくる「詳細つりあいの破れ」の項は、ポテンシャルから adjoint 世界 のポテンシャルの引き算なんだが、これを他の物理量と関係づければいいのだが、 FDT violation かなぁ...うーむ。

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