平成16年度 東大院理学研究科 集中講義の構成(予定)

講義題目     現代非平衡統計力学
講演者       佐々 真一 
     
日時:         6月21日(月) 10:15 〜 23日(水) 
場所:        理学部1号館 201b 

第I部 動機篇

1章 general introduction 

1. 動機と目標
2. 偏見をもつとき、偏見がきえるとき
3. 対象 〜 simple and deep 〜
4. 課題の設定をめぐって 〜 理論物理とは何だった? 〜
5. 時代的背景 

2章 古典的現象論

1. Einstein の遺産
3. 非平衡熱力学   〜 ダメな理由
4. 線形応答現象論 〜 単なる線形関係に尽きない非自明さ
5. 流体方程式     〜 方程式の形を縛るもの

3章 現象論 v.s.ミクロ世界の動力学

1. 古典力学/量子力学との関係について
2. 何を目標にして、何を考察するのか
3. 第II 部、第III 部で考察するモデル

第II部 知識伝授篇

4章  設定 (モデルにもとづいてがっちり復習)

1. 熱力学変分原理
2. Einsteinの揺らぎの式
3. 詳細つりあい
4. 局所詳細つりあい

5章 揺らぎの定理 (いわれてみれば自明な恒等式)

1. 揺らぎの定理の導出
2. 非線形応答関係式 
3. 定常状態測度のひとつの表現

6章 線形応答理論 (多体系モデルからの導出)

1. Green-Kubo 公式
2. 相反定理
3. 揺動応答関係
4. 多体系Einstein 関係式
5. 普遍的関係式群の関係

7章 非平衡定常状態の基本事項 ( 非平衡の常識は平衡の非常識)

1. 分布の非カノニカル性
2. FDT の破れ
3. 長距離相関

8章 非平衡定常状態の基本事項 (中級コース)

1. 詳細つりあいの破れ
2. 不可逆循環
3. 随伴動力学


第III部 研究展開篇

9章 21世紀における展開

1. 相加性原理は一般的か?
2. SST 計画の動機と基本戦略

10章 SST : モデル研究の成果と問題点

1. 拡張された熱力学関数の構成
2. Einstein の揺らぎの式の拡張
3. 拡張路線はどこまで続く?

11章 Sasa-Tasaki の 現象論

SST関数をつくる処方箋とその問題点