10/31 (金)
水曜日の証明の未完の部分を速攻でやろうとしたができなかった。勘違いで なければ、あとは普通の線形応答の話と同じはずだが、、、そういやぁ、 そういう計算をまじめにやりこんだ記憶がない。[本や論文のフォローは しただろうが、自分が興味をもってどんどん展開していくことをしていない、、 ということ。] 寝る前に、あれれ (数値実験でも問題になった) factor 2 は大丈夫だっけ ? と急に不安になる。 ちゃんと計算しないといけないなぁ。(きっと林さんがおわらせているだろう。)
論文用の精密データの測定は順調にとっているが、肝心の物理的位置付けが 不明になってしまい落ち着かない。SST の現状の全体像を的確に絵にして、 今回のH-S III a 多体系の結果をはめこむと、まるで展望がないように思えてきた。
Einstein のブラウン運動の論文を学部セミナーでよんでいるが、面白く なりそうな気配になってきた。「式を追えました!」というレベルでなく、 自分の興味にもとづいて自分で問題提起しそれを自力で発展させていけるか ... というのを狙った題材だが、今問題になっているひとつのネタは、 専門研究者をちょっとびっくりさせれる程度までもっていけるかもしれない。 詳細はいずれ書く。
10/30 (木)
昨日の証明のtex化。つめないといけない箇所がいくつかあるが、きっと 大丈夫であろう。(このあたりは勘だが、定石的な部分なので、時間が あればすぐにでもつめれるはず。) 1d-DLGの数値実験の結果は, 連続場の 解析の範囲では、全て説明できる。(技巧的ではあるが)たいした手数ではないし、 基本的には80年代に知られていたことに尽きるし、その証明に面白みが あるわけではない。SSTの描像にもとづいて予想をたてて、数値実験でたしかめて、 理論物理的な証明もできそうだから、ハッピーか.... というと、全くそうでない。 事態は深刻になった。
この証明をする途中で意識しはじめて、今や完全に理解したのだが、 「研究前に朧ろげにいだいていて、数値実験の試行錯誤の途中でも しょっちゅう参照系として白板に書いて議論してきた SST にもとづく 描像は全く違っていた。」 つまり、間違った描像にもとづいて、 正しい予想をしたことになる。それで、描像の修正にはいるが............ うーん。
10/29 (水)
1次元DLG の密度揺らぎを記述するだろうと予想されている連続場の解析をする。 すっかり勘がにぶっていて初歩的なところで渋滞しまくって、全くすすまないまま 別件の仕事の予定時間になってしまった。が、ここでやめては何も残らない 気がして、予定を変更して、解析を最後までやってしまう。ふー。でた。 モデルの特殊性が「ありあり」の解析をつかったが、ともかく、数値実験で みいだしたのと同じ内容の公式が成立する。細かいチェックやどういう条件 が背後にあるか、、、とかは後から考える。
10/28 (火)
古典的な nonlinear resopnse theory: 有限時間平均のカレントの分布が ガウスならGreen-Kubo の素朴な拡張になることは式の上では間違いない。 ところが、データをみるとほぼガウス分布にみえるのに、伝導率とカレント 揺らぎはGreen-Kubo の素朴な拡張になっていない。どうやら分布の裾で みえるガウスからのずれが重要らしい。(たしかに指数的なtail にかわる 傾向はみえる。)ともかくそういうのが効くような式だから、恒等式として 成立するが、実際には使いにくい。(実験では絶対に使えない。)
で、我々が数値実験でみている Green-Kubo の非線形拡張を理解する方針 を考える。格子系でなく連続場で理論物理的証明をするのがよかろう、、 とふんぎりをつける。(臨界現象も Ising より、GL の方がやさしい。 厳密数学は格子系の方が易しいだろうが。 格子系と連続場の等価性はおいておく。) 手はまったく動かしていないが、記憶のかなたにあった技術を頭に load しはじめる。ふたつのアプローチがあるかな... さてと。
H-S III a 多体系 :投稿用の計算にむけてのチューンは、トラブルがあるものの 順調にすすむ。
10/27 (月)
色々なことが並列ですすみ疲労感がある。
H-S III a 多体系 :投稿用の計算にむけてチューンをはじめる。 寝る前に前からおかしかったエラーバーの表示に関するバグをとる。
10/26 (日)
H-S III a 多体系: nonlinear response theory の範疇でいじってみる。 最初にできそうなこととして、外場に関して形式的巾級数で展開して情報を とりだそうとする。カレントの有限時間平均の揺らぎは、平均時間が充分 ながければガウスに近いだろう、、と仮定して評価すると、そこからでる 矛盾のない式は、線形応答公式しかない。そういう negative なことしか 出せなくて、不毛な気がしてやめた。(何か間違っているのかもしれない。)
これをいじった後で、自分らが提案しようとしている式をみると、大変素晴らしい ではないか。(もちろん、数学の証明がまだないので、嘘かもしれないが。) その素晴らしさを伝えるには、nonlinear response theory もきちんと紹介して、 対比させた方がいいかな... と思いはじめてきた。
散歩しながら数値実験の結果の解釈を模索する。ラフにいうと、外から変調 として加えた力と"自由エネルギーを減らそうとする力"がつりあう、、とい うことで、平衡ならあたりまえのことだが、今の場合、その自由エネルギーを SST 的につくったものだ、と考えるのがもっとも素直に思える。ただし、ややこしい 事情が2、3あって、そう単純にいいきれないので、むにゃむにゃしている。
10/25 (土)
H-S III a:論文改訂。
H-S III a 多体系: 局所平衡からどんなに離れていてもカレントの平均値を ある揺らぎの相関でかくことができるという恒等式が60年代から知られていて、 それを "nonlinear response theory" といったりする。(線形応答領域では、 これらの恒等式は普通のFDTに帰着される。) いくつかのバージョンがあって、 もっとも原始的なバージョンは、数値実験をやっている 1d-DLG でもすぐに 導出できるのだが、これは僕等の結果と無関係だとして切り捨ててよい。 ところが、Kawasakiの繰り込み定数 Z を使うバージョンがまだだせない。 式をみていると Z が 1d-DLG で僕等が Θ/T と呼んでいる量と対応する かもしれないので、関係があるならこっち経由なんだが。
10/24 (金)
H-S III a 多体系: 昨夜おそくまで nonlinear response theory を眺めていたので、寝ぼうして危うく遅刻しそうになった。これが何ものか、 というのはそのうちに書くけれど、形式論であって(我々のように)測定量の 関係を主張するものではない。しかし、今の「色めがね」でみれば何か匂う 気がする。まだ手を動かしていないので気のせいかもしれない。 数値実験の結果を導く充分条件は、おおらかにはわかりつつある。林さんが 残した白板上の式を視覚情報として頭に残して歩きながら考えただけだが。
H-S III a:論文改訂。林さんの改訂案を「うーん」と睨んだだけでおわった。
J 等式 と FT の講義をシニアーな人にする。
10/23 (木)
H-S III a 多体系 (1d-DLG) : 論文書きにむけて、気になる部分の文献 調査(その1)。最新の実験と古い理論(nonliner response theory)を 打ち出す。既存の理論との関係は完全にしたい。数値実験の結果の背後 にある「原理」を明示的にする考察もはじめる。モデルからの証明は、 今は無理だろう。もし、数値実験の結果が真実だとしても、例えていうなら、 FDT の一般的証明を(オンサーガー論文がでた)1931年にやれ、というよう なものである。今できることは、1931 年の論文でオンサーガーが FDT の本質的事項を見抜いたのと同じようなことを模索することだと判断し、 そういう路線をすすむ。
H-S III a : referee への返事案を林さんにおくる。林さんの論文改訂案 をうけとるが、僕が考えるのは深夜になるかな。
10/22 (水)
H-S III a 多体系 (1d-DLG) : 論文書きの分担をきめて、草稿書きにはいる。 (研究開始からちょうど一ヵ月か....。時間の感覚が麻痺しきっているから 長いとも短いとも思わない。)
H-S III a : 本体改訂案は林さんがつくることになっているので、referee への返事案の草稿づくり。といっても、週末に書き殴った自分の意見を整理 整頓するだけなので、作業は大変ではない。。1d-DLG の結果がでてしまった 今からみれば、自明感はありありだが、これなくして1d-DLG の結果は ありえなかったし、論旨をひとつづつつぶす意味でも、H-S III a の意義を明確に伝えたい。
10/21 (火)
Aging の玩具:どう考えても、イベント待ちのモンテカルノ計算がおとくなので、 そのプログラムを先週末に書いた。文献をみずにえいやぁと書いたアルゴリズム は少し間違っていたことを昨日寝る前に(文献をみて)わかったのだが、それを なおしてもまだおかしい。 あ、イベントの時間と実時間との対応が微妙にくるって いた。これでいいかな。(まるで数ヵ月前の渡辺君の日記の再現だな。)
たしかに、aging 領域になっても、温度 T のEinsten 関係式が成立している。 物理はさっぱりわからないが。
午後、佐野研セミナー: とれたてのほやほやの "H-S III a 多体系 (1d-DLG)" の結果の初公開で、グラフをみるのは僕もはじめてだった。(数値と一致の程度 は知っていた。) 一番最近のものが一番面白いのはいいことで、その面白さを伝 えることには成功したと思う。ただし、この結果は、実験でみえてこそ意味が あるので、セミナー後に、本日の主課題の実験計画の話しをする。いくつかの アイデアがでた。そのうちのふたつは、月曜日に柴田君に多粒子系(MD)の数値実験の 計画をしていたのを同じだが、実際に実験するには色々な問題があるようで、どう なるかわからない。何としても実験でみたいなぁ。
10/20 (月)
Aging の玩具:ぬぬ。これは何だ? という面白げなものがでたが、 「面白いものは大概バグである」という鉄則にしたがい、疑って バグをみつけにかかる。深夜、やっぱりバグと考えざるをえない.. と判断し、 寝るまえにふくしまさんに教わった文献を見る。ちょい違っていたかな。 やりなおし。
明日のセミナーの準備終了。
10/19 (日)
H-S III a (referee report への応答): 気になって他の仕事ができないので、 いっきに自分の意見をまとめる。referee 氏は、ピンポイント的に計算技術を とりあげて、教育的ではあるが、かなり自明な話しだ、と主張する。(焦点が あてられたのは、計算技術をもっとも簡潔にするために夏休みに考えた部分で、 つめのつめに相当する箇所である。そりゃ、そこからはいれば簡潔に理解できるよ。 そういう風にしたのだから。しかし、そこだけとりあげられてもなぁ...。 計算の論旨に関しては、細かいところまで正確に理解しているようにみえるが、 そこに焦点をあてすぎて、論文の全体像をみない、 というよくあるタイプのレポートではある。(ただし、レポートの質は低くなく、 説明する気力はわく。)
局所をみすぎて判断するのと対照的に、やったことの詳細をろくに検討せずに、 全体を流し読んで、「特殊例の成功に過ぎず、一般性がわからないので意味 がない。」というレポートの可能性もある。(これからもらうかもしれない。) 「こういう話しは(技術からみて)自明である」というのと、「こんな綺麗な 話しは偶然に過ぎない」、という全く相反する印象をもたれる場合、実は、 その二人に話しをさせればいちばんいいのだがなぁ。
そういうことは一般にありえない、と思う人が少なからずいるテーマに関して、 技術を正しく消化すれば「自明」に思えるくらいに一般性を期待できることを 簡単な例で示している、と思ってくれればもっともいいのだけど。もちろん、 一般性に関しては、期待だけしてもはじまらないので、問題のランクをあげつつ、 個別例できちんと実証を積み重ねていっているのだが。(だから、 もっとも簡単な多体系がOKそうなのは嬉しい。)
火曜日の佐野研のセミナー準備は途中まででダウン。明日の講義は、はいつく ばって準備した。金曜の夜からやっている結果をうけて、6月に格闘していた 原田君の実験の説明に関して、全く違うアイデアがでてきた。難しく考えすぎて いたかもしれない。非常に簡単に D=20 μT が理解できるかもしれない。 手を動かしたいが、限界。(明日、健康診断もある。やばいかもな。)
10/18 (土)
昨夜書いたプログラムの振舞が(バグでなければ)ちょっと面白い。追求したい ところだったが、火曜日のセミナーの準備をはじめる。途中で、H-S III a の referee report がきたとの知らせがはいる。ぬぬ、ポイントをこちらの意図 からはずされて読まれているが、ちゃんと説明すればわかってもらえそうな感 じもするので、説明論旨と改訂稿案の整理をする。
10/17 (金)
昨夜、aging 領域での FDT violation で見られる規則を理解するために、 簡単な玩具を考えた。こんなものはきっと誰かがやっていると思って、 今朝、検索をかけたら、色々ある。何はともあれ、さわらないと話しが はじまらないので、簡単なモデルもさわりはじめる。(スピングラスの 玩具は常に動いている。) ちなみに、"aging" とは、老化とか加齢というより、 「加齢しつづける」、 つまり、「不死」というのが正しいと思う。
H-S III a 多体系 (1d-DLG):よし、ぴったり!。カレント揺らぎと微分易動度の 比Θは、線形応答領域では T である(グリーン=久保公式)。線形応答領域以外 では、Θは系のサイズ L に対して L^{0.5}で発散していく。ところが、その L 依存のΘををカレント揺らぎと微分易動度を測定せずに決めることができる。 その方法の骨格は、H-S III a と同じ。こうして、H-S III a の 結論は、 1d-DLGでも適用されるらしい。(ただし、時間発展ルールは対称法でないと だめかもしれない。) 今のところ、数値実験だけの結果で、数学の証明は手がかり すらない。
スピングラスはモデルをいじったら正常に動かなくなった。これは落ち着いて みなおすことにして、今年3月のpreprint で 'aging Einstein relation' を報告しているモデルとほぼ同じ玩具モデルのプログラムを書く。(これが 昨夜布団で考えたモデル。) aging 領域で Einstein relation が成り立つ気 がしないので、ともかく確認だ。(モデルの微妙な違いが反映するかもしれないし。)
10/16 (木)
朝、糊付け。30 cm x 40 回。 やっとできたと思ったら、事務的な部分に間違いが あって、べりべりはがして、該当部分を印刷しなおして、再び糊付け。こどもの ときからこういうのは苦手で、あちこちにのりをべたべたさせ、仕上りもぼろぼろ。 何故、こういう作業が必要なのか、まったく理解に苦しむ。科研費申請書の仕上げ。 研究室の両面印刷機が使えないので手動でしないといけないし、さんざん。
H-S III a 多体系:お、ぴったりになった? 確信はできないが、バグではなさそう なので、さらに追求する。昨日、変更したのは、時間発展規則。熱浴法から物理的 にもっとも自然な対称法にかえた。強外場摂動では、揺らぎの関係式は、対称法 だとOKだが、熱浴法だと高温領域でのよい近似でしかなかった。1次元DLGは異常 性が強い系なので時間発展規則依存性が強くでてしまうのであろう。 非平衡系の 時間発展則に関する縛りはないが、それも含めてモデルだとしないといけない。 現実が我々の期待する関係式を満たすなら、モデルはそういうルールでないと いけない。現実がどうかはわからない。(だからこそ実験する価値があるのだけれど。)
10/15 (水)
FDT:χ-C plot 表現でのFDT の証明を書き下す。緩和が異常になったときに その FDT が破れて、応答と揺らぎの恒等関係が一般にはどのような表現にな るかも求まった。が、今のままでは、"general nonsense" に近い。one step RSB がおこったときに、FDT がなぜあの綺麗な形に破れるのかは、この式を みていても全然みえない。
H-S III a 多体系:新バージョンで、林さんが左辺、僕が右辺を計算した 最初の結果が、深夜になってでたが...おかしいなぁ。食い違いがおおき すぎるから、きっとどこかでバグっているのだろう。(旧バージョンより よくなると期待して新しいのをくんだのに、ずっと悪くなってしまった。)
10/14 (火)
H-S III a 多体系版: 休日の林さんの結果をみて、今後の方針をきめる。 精度を徹底的にあげるまえに気になることがあったので、そっちを先に やることにする。
スピングラス:うーむ。aging 領域がみえないなぁ。パラメータをつめる 根性をださずに、ふくしまさんがやったモデルに完全にあわせようか、と ひよる方針をだす。
粉:いながきさんの研究が面白くなってきている。複数の要因をまぜるのでなく、 固定できるものはなるべく固定して、単純で非自明な横軸と縦軸をつくるのが 基本だとする僕の路線に近付いているのかもしれない。静止層の応力分布に ついて、「ほれほれ、これ計算してみないか、、、」という提案ももらったが、 時間がとれるかどうかわからんと答えた。竹川君にいってみよ。
会議の議事録を書く、という仕事があったが、もう眠いので明日。
10/13 (月)
科研費申請書推敲。量が長くなったので推敲の時間もかかる。研究計画そのものは 普段から考えているので内容で悩むことはないが、短時間で審査員が理解してく れる表現の選択を試行錯誤する。
χ-C plot 表現でのFDT の証明を(今数値実験している)スピングラスモデルを 例題として考えはじめる。常磁性領域での証明をきちんと書き、RSBとFDTの 破れの関係を明示的にみるのが当面の課題。練習問題にすぎないが、やっと かないと話しにならんしな。その課題ができたあとの研究課題にむけた具体的な 理論解析の予定もたてた (その解析は誰もやっとらんだろうから楽しそう。) が、 今日のところは、常磁性領域での証明も未完で終わりそう。枕元で再度 やるつもりだが、頭がまわっとらん。
朝は咳こみ、夜は腹痛... 。3連休は体調悪のパレードだった。この文章 を書いている頃には、普通にもどってきたので、明日から復活しよう。
10/12 (日)
ここで体調を整えないと、これからのハードな毎日をのりきれない、と判断して 休養する。基本的に書類書きも論文書きも計算もせず、考えごとだけする。 (たまりにたまっており、それらをみるとうんざりするのだが。)
H-S III a 多体系版の問題を明示的に ここ に書いておく。
10/11 (土)
微熱。次女の運動会にいって、帰って寝る。昨夜とばしたスピングラスの結果を みると、Aging 領域までもうちょい、、という感じなので、さらに測定時間を のばす。火曜日には、Aging 領域の FDT violation factor がみえるかな。
スピングラスを研究しはじめた理由を ここ 書いた。
10/10 (金)
H-S III a 多体系版:昨日の結果は、新しい関係式が「ある」という方向に 傾いたが、想定していなかった状況だったので、あらためて冷静に考えると、 不思議でしかたない。ホテルのベッドで2時間くらいのたうつ。とりあえず この件は19時半までおいておくことにした。19時半からいいアイデアが ないものか口にだしてみたが、どうも曇っている。
スピングラス玩具の相関関数や応答関数を「えいやぁ」ととる。緩和がおそそうな あたりを狙ったが、χーC plot をとると、綺麗に 1/T のスロープがでてる。 つまり、(普通の)FDTがちゃんとみえる 。凄いもんだな、FDT。まてよ、ランダム 系のFDT ってどうやって証明するのだ? J を 固定したモデルで、形式的に ちゃちゃとやる証明の方法でやっちまうと、いつもFDT がでてしまうが、RSB が 起こったとき FDT は破れるわけだから......。 解けるモデルでなくたって、 それくらいは議論できるはずだな。(何もしらないことに気付く。)
10/9 (木)
朝、気合いをいれて書類の体裁を整える。(文章以外の部分。)
KISSのときに、ふくしまさんにスピングラスの結果をみせてもらう。さすがに 欲しいものをすぐに計算できる! いわゆるχ-C plot であるが、綺麗に おれた 2本のslope がみえている。いくつかのことをおそわったのちに、 林さんとその次の具体的な 戦略を練る。(僕等はまだ χ-C plot をとれていないが。) おおお。具体的な 現象との絡みは先送りしつつ、この slope を H-S I+ H-S III a と合体させる 方針は確定した。素晴らしいではないか。この筋をつめながら、現象との接点を 捉え直すのは実に楽しい。
H-S III a 多体系版:きた ------! 。「白」が大きく近付いた。当初のシナリオ が大きく狂って、もっともひやひやした部分を通過した。1次元 Ising 相互作用 の driven lattice gas で、有効温度を介した新しい測定量の関係が見えそうだ。 (カレント揺らぎは 異常な振舞い 〜 ω^{-1/3} なので、清水さん的にも"非平衡" といってよいかな。 巾が弱いっていえばそうだが。) ただし、この異常性のために、 数値精度をあげるのに、長い計算が必要なので、定量的に二桁の精度を確保するには もう少し時間がかかる。
どうしたことだ? 何かうまくいきすぎだ。風邪気味だが。
10/8 (水)
H-S III a 多体系版:混乱。議論の対象を (i) 平衡近くで絶対に成り立つ関係; (ii) 平衡から遠くても既存の理論物理の知見で成り立つことがほぼ確実な関係; (iii) 本当の意味で新しい関係、のみっつにわける。(iii) は、林さんの長い計 算まちの状態で、これが「黒」になれば研究として苦しくなるし、「白」なら 「よし!」という気分になる。(ii) は、ぼちぼち。最終的には長い計算が必要だが、 なりたっても驚かない。(論文で明示的に議論したのはみたことないが。) 実は、昨日からおたおたしているのは、(i) の範疇にはいる問題である。昨夜、 頭のバグをひとつとったが、昼頃はまだひどく混乱していて、Spohn の教科書 を読みなおす有り様だった。Spohnの本と林さんの指摘でとりあえず前にすすめる 状態にはなったので、夕方には、すこし楽になった。
10/7 (火)
H-S III a 多体系版:昨日、林さんに「それはバグと考えるべき現象で、バグに もとづいて強引に物理を想像してはいけない。」と偉そうなことをいっていた。 今日その量を僕も計算したのだが、日付が変わる頃には、林さんのデータと同じに なり、気がついたら、強引に物理を想像していた。いかん! 全く違うプログラム で同じ数字をはじいているのだから、プログラムにバグあるのでなく、頭にバグ がいる。風呂にはいって、粒子の移動 のsimulation を頭の中でやる。。あ、 頭にバグがいた。
10/6 (月)
H-S III a 多体系版:こんなちゃっちい玩具モデルでもカレント揺らぎのlow frequency part に異常成分があることが確実になり、H-S III a のアイデア をどう生かすのか、ばたばたする。(こんな異常成分は20年前の亡霊にすぎ ないのだが、Θとの絡みが即答できない。) 自分の修論などの古い文献をよみ、 一応の選択枝は理解した。とりあえず、明日のデータをみてからだが。予定では、 もっと素直な振舞の範疇で、およそ関係式などないと思われていたところに Θの導入で関係式をみせるデモという位置付けだったのに、こうなってくると 練習問題といってられなくなる。
いうまでもないが、現実の非平衡多体系はもっともっと複雑である。しかし、 それは複数の要因のからみに起因することが多い。本当の意味で未知の部分 をシャープにとりだすことが、「簡単なモデル」という意味だと思う。 (学会でののぶやすの言葉とは違う。) そこにむけて少しづつ歩んでいる 状態である。
1年後くらいに、「現代非平衡統計力学」という集中講義を某大学でする案がある。 (認められるかどうかはわからない。) FDT や MCT などの古典を現代的に再構成し、 Fluctuation theorem/ Jarzynski 等式などの90年代の話しをもっとも簡潔に まとめ、21世紀にはいってからの成果を紹介する、という3部構成くらいかな。 今までの集中講義では、こういう技術は説明してこなかったが、タイミング的 にはちょうどいいかもしれない。もちろん、技術だけではなく、背後にある 考え方や真の問題設定についてもきちんと説明する。
10/5 (日)
(苦労して)娘のパソコンをADSLでつなぐ。動き始めるとたしかに快適だな。 不精で今までしてなかったのが阿呆みたいだ。PuTTY をdown load して、 大学のパソコンにも常時接続できるようになった。(この日記も娘のパソコン から大学にはいって書いている。) が、自分がつかっているパソコンは完全 に孤立してしまった。(ルーターで云々以前に、僕のパソコンを電話回線で つなぐこととの共存もできない。一番の根っこで手動で切り替えればできるが。)
科研費申請書草稿(ver.0)終了。あとは、job check をしたくらいで、 結果的には、研究モードは休養になった。
10/4(土)
科研費申請書書き。未完。分量が多くなったのは結構なことだが、 水曜日の作業が無駄になってやりなおすことになったのがいたい。
H-S III a 多体系版:カレント揺らぎのデータが何やら不穏。これは ひょっとして、あれか....。いま、この問題に関わると長期戦に なるかもしれないので、単なるバグだといいが。
10/3(金)
科研費申請書草稿をファイルにいれてみると、ありゃ、指定分量が前回より 増えている....。サイズを考慮にいれて、構成からやりなおさないといけない。 がく。
実践的にスピングラスのモデルをさわるとあまりにも初歩的なレベルでわからない ことが多いので、昼、生協やら図書館に本を求める。が、「ない。」 福島さんの部屋 にいくと留守。うーん。夜、帰るときに道であった林さんと話しをしていたら、 うまいこと福島さんが通りがかったので、千葉まで色々話しを聞きながらご一緒 する。(Aging に絡む面白い非平衡現象があるにせよ、何で、僕がスピングラス をいじっているのか? と不思議に思う人もいるでしょうが、明確な研究動機と 具体的な戦略をもっています。もちろん、SST 計画のひとつ。そのうちに書きます。)
昼、外にでたとき、池上さんにあった。「population dynamics の key stone 種の 話しと粉体で稲垣さんがやっているのと関係があるのでないか...」ということで 少し雑談。
基礎科学科進学内定者歓迎会。おとなしめの感じをうけたが、どんな雰囲気に なっていくのだろう。
10/2 (木)
朝、電車の中であった清水さんと H-S III a 関係の議論。半導体における 電気伝導の実験事実も勉強しとかないといけない。"hot electron" (電子の 有効温度があつくなる)というのがはやったのは80年代らしい。吸収スペクトル でその温度が測られて、かつ、輸送との関連がその実験値で議論されている なら、H-S III a との関係は深い。
KISS: 金子さん。CML やりはじめたら色々でてきたので、カオス2個の系に もどって新しいのをみつけて...という金子さんの院生時代のエピソードを 思い出した。細胞間相互作用をなくし、ほぼ 化学成分の population dynamics + noise で理解できる話しだったと思うけれど、実験との関連で重要な 指摘をひっぱってくるのはさすがか。
H-S III a 多体系版: カレント揺らぎがなかなかばしっときまらない。長めの プログラムを流してみる。
aging 現象 が絡む非平衡系にのりだすために、素人でも遊べて (かつ、one step RSB を示すだろうと予想されるような)スピングラスの玩具はないですか? とふくしまさんのところに相談にいく。教えてもらったモデルを速攻でプログラムに したが、はて、絶対におさえておかないといけないのは何だ? 勉強しないといけん。 粒子系での aging がらみの玩具も早々に手にしたい。 (粒子系の方は、玩具でないまじめなプログラムも書くけれど。)
昨夜、ばたんと倒れこむようにねて、長い睡眠時間をとった。川崎恭治さんが 夢にでてきた。「MCT ではガラスは理解できません。いいところまではいく のですが。僕が新しいのをつくりました。」と川崎さんに説教してしまった。 朝おきて、忘れていた事務連絡を川崎さんにおくる。
10/1 (水)
科研費の申請書書き。第1稿を書くまで... と思ったが、最後でダウン。 明日の夜、続きを書かねば。