8/31(金)
エントロピー生成最小原理には、非平衡熱力学においてfluxをきめるものと (線形)非平衡統計において定常分布をきめるものがある。前者については、 位置付けをみきっている(つもりだ)が、後者については未消化のままだった。 非平衡測度をきめる原理として「本物」ならSSTの出番などない。実は、線形 非平衡ではよさそうだ、という示唆はあちこちにある一方、どうも一般 にはだめそうだ、、というコメントもある。どういう理屈なのか、ここいら で納得しないといけない。
昨夜、布団にはいってから、輪郭はわかってきた。今日、仕事の合間にtex 書きをはじめたので近日中にはまとまるだろう。
SSTは、...ああ苦しい。 平衡と非平衡をつないで、平衡も非平衡も同じように みたい、、のだが、そこのつなぎかたの知見を獲得しないといけない。現象論 で「つなぐ」のとモデルを具体的につなぐのはちがう。そこに本質的なことが 絡んでくるから、頭がぐらぐらする。あと考えないといけない点は幾つあるの だっけ。。。
8/30(木)
相対エントロピーのノートを簡潔なものに書き直す。(平衡からはかった)エント ロピー生成最小原理で測度をきめる話しの整理をはじめるが、全体像をつかむ前に 時間ぎれで病院へ。
「しこり」が目の下にできただけで、痛くはないが、疲れてくると結構腫れるの で一応病院にいった。さん粒種。5年前の今ごろ「麦粒種」になって、そのとき は2回ほど孔をあけて膿をだしたのだが。今度は、切開しなければ、すぐに治る ようなものではないらしい。
8/29(水)
定常熱伝導状態に対応するボルツマン方程式の摂動解に関するノートを書いて関 係者におくる。論理的に明確なノートだが、高次の計算などの一般的なこととSST との相性を考えていたら、何やら変なきがする。熱流 (=エネルギーflux), flux of flux, flux of (flux of flux),,, などをSSTの状態変数に加えないと、ボルツ マンの高次摂動解に対応できないような気がする。階層化されているなぁ、、と 渕上君は喜んでくれるかもしれないが、それは嬉しくない。
ボルツマンはやっぱりJ^2のオーダーは物理的にだめかもしれない。(解は計算で きるが、方程式がちがう気がする。) どうもこのあたりがしっくりしないまま、 ぐるぐるまわっている。
SSTベースのモデル化...というのも別の路線としてあって、田崎さんがすすんでい るみたいだ。僕は、consistency でわからんようになったまま。(寝るまえに 考えよう。)
8/28(火)
大学院入試がはじまると夏休みがおわった気分になる。実際、いろいろな用事が はじまっている。しまった! 仕事をひとつ忘れていた。あと、mail の返事をい くつか忘れているような気がする。
仕事の合間と電車の中で、ボルツマン方程式の定常熱伝導解をもとめる。熱流J、熱 流方向の圧力pをgiven として、摂動展開で解をJの2次までで求める。閉じた公式 はだせたであろう。期待したとおり、任意定数をひとつだけ含む解になる。 (ここから、固有関数展開して、具体的な表現を得るのは死ね程大変。)
分布の形から、平衡状態ではこの任意定数を温度と関係させることができるが、 非平衡定常状態では「定数」としかわからない。物理的には、温度と対応するはず だから、温度の作業仮説がいることになる。(ここは「物理」だから、非自明で 試行錯誤がいる。)
金=早川がやってくれると思っていたが、、、(早川の日記参照)。
8/27(月)
田崎さんとのSST論文を無事に投稿する。
右肩があがらない。右目が腫れているらしい。ので、今日も早くねよう。
8/26(日)
まぶたが二重になっているらしい。夜中にうなされて、「こうなるはずだ!」 と絶叫しているらしい。というので、今日は休憩。 こんなの を書いたくらい。
8/25(土)
相関関数の摂動計算を13年ぶりくらいに試みようとする。相互作用の影響の仕方 などの感じがわからないので、簡単な例題で練習する。
SSTと整合した「統計力学モデル」...というのは、頭の中をぐるぐるまわっている。 わかりそうな気分には何度もなるけど、具体的なことをやろうとするとこける。 今のところ、ほとんどやらせ的に仮定したモデルか、SSTを前提にしたモデル以外に、 SSTと整合したモデルはない。SSTが如何に強い制限であるか、、というのをこの2ヵ月 近くたっぷり味わってきた。
希薄気体熱伝導の場合でも、粒子補正、圧力補正、温度補正に a,b,cという無次元 定数があらわれるのだけども、SSTは a=2b+c という強烈な条件を課す。金=早川の ボルツマン方程式の計算では、c=0 と仮定して、a=2 bが成り立たないことまで到達し たらしいので、c=0 を仮定せずに、「非平衡状態での温度とは何か」という悩ましい 問題に作業仮説をたてて、c の値を計算したら面白いと思う。僕らの作業仮説は伝え たけど、計算してくれるのだろうか。もし、物理的にもっともらしい仮説で計算され た c の値をつかって、a=2b+c が成り立ったら、臨界現象のスケーリング則をはじ めて見るくらいのインパクトはあるだろう。
driven lattice gas でも同種の非自明な関係式があって、これは林さんが孤軍 奮闘で頑張っているが、来週あたり「でました」といってくるような気がした が、、、。
8/24(金)
田崎さんとのSST論文をweb submissionしようよ思ったらサーバーがダウンして いたので作業できず。preprintは既に公開になったというのに。
というので、クヌーセン公式の現象論的理解を整理しようとしたが1時間で決 着せず、明日以降にもちこし。(ちょっと思っていたことと違っていたので、 考えないといけない。)
途中、寺田君が多粒子系でのリアプノフ解析とボルツマンエントロピーの関係の検証 計画の経過報告にきてくれる。計算時間の都合で、検証できそうな系を探さないとい けないのが、余分な手間だが、なんとなく絞られつつあるみたいで、熱力学極限で、 I=\Delta S の直接証拠が示せそうなのは嬉しい。理論的にも、何か進展の気配が あるし。
その後で、和田君と高分子メルトのずりによる形態変化や臨界点移動の議論。 本当かどうかわからないSSTを使って、こういう現象に切り込んでいる、という のは勇気ある選択であるが、SSTをみとめると自然で簡単な解析ができるのは 間違いない。こんな解析を考えていると、SSTがないのはおかしい、、という 気がしてくる。(ちなみに、和田君はSSTをやりたいからこういう対象を選んだの ではない。ずり+高分子をやりたくて、現象を整理していたら、、、そりゃ もうSSTの餌食でしょう。。。とSST側にひっぱってしまった。) しかし、 実験結果をどの程度/どのように説明できるかは、、あと少し時間が必要。
寝る前に、「局所定常温度」を説明するノートを書く。金=早川の解析では、 「局所平衡温度」のままなのが、いまのところ、もっとも気になるところ。 (他にもより小さな論点はあるが。) ここをかえて、SST等式と一致しなけば、 問題のひとつになる。僕は、温度勾配の2乗の寄与は、ボルツマンでもやば い、と思っているけど、田崎さんは、ボルツマンは格別だと思っているらし い。逆に、奇跡的な算数の組み合わせでSST等式がでてくりゃ、100%の 信頼を得た、といってもいいだろう。(SSTもボルツマンも。) いずれにせよ、 あの複雑な係数が計算間違いでない確率はいくつくらいだ?
ぼく自身のSST検証計画は、宙に浮いたまま。いかんな。とりあえず、昨日かいた ノートは、印刷すると、添字がちらちらして読みにくいから、考えないと。
8/23(木)
数理物理'01や集中講義の「技術編」の準備としての基本事項の確認と相対エント ロピーがらみの知見を整理しよう、というつもりだったが、しばらく不等式関連 の算数をやってなかったので、思うように手と頭が動いてくれなかった。
マルコフ確率過程において相対エントロピー経由で(一般化された)第2法則を 書き下し、左辺と右辺の差を示唆的なものに書く、という午前中にできるだろう、 と思っていたことはその日のうちにできたから、まぁよしとするか。
8/22(水)
相対エントロピーの初歩的な勉強をすると、緩和過程で(自然に)そしかされたエント ロピーの増分を軌道情報で書き下せそうではないか。(数学的に精密な詰めはして ない。) 開放定常系でのGaspard-Nicolisの輸送係数の公式ででてきた「エントロ ピー生成率」を積分したような量(= 正リアプノフ数の和からKSエント ロピーを引き算したものの時間積分) がそしかされたエントロピーの変化量 になる。これも、無限 ひく 無限。 ただし、ここのKSエントロピーは リアプノフ解析から求まるものでないので、まともな系での数値的な検証は ほぼ不可能。
ついでに、Sasa-Komatsu/Sasa の予想に迫れるのでないか、、、と思ったが、どうも まだギャップがある。僕等は完全に軌道のまわりの線形情報だけで、(自然に)そしか されたエントロピーの増分を議論できる、、とおもっているのだが、、、相対エント ロピー経由の綺麗な式をみた後では、変にも思える。相対エントロピーの議論を しっていたら、この式を書き下しておしまいにして、それ以上の追求をしなかった だろうな。だけど、数値的な証拠はだんだんとつみあがっているから、とんちん かんでもないはずだが。それに....
8/21(火)
D-q Jian, M. Qian, M-p, Qian, Entropy production and information gain in Axiom-A systems, CMP 214 389 (2000): GallavottiらのAnosov系でのエントロピー 生成率をlarge deviation 経由で相対エントロピーと関係づける。FTのみに焦点を あてたMaesの議論より、力学系と確率の関係がわかる気がするので、ざーと目を とおし、参考文献をいくつか複写する。Hatano-Sasa 論文ののsecond law (= 算数 的には、Cover-Thomas p.64) を力学系の言葉で書けば、Sasa-Komatsu 論文になる はずなんだが、「率」の議論ではないので、Large deviationを経由せずに、相対 エントロピーを表現しないといけないところが、こういう既存の論文と頭で思い 描いているところのギャップになっている。。。と、うなっていたら、相対エント ロピーのvariational expression というのがあるのか。これは、示唆的な表現 だな。どういう意味があるのだろう? 証明は.... すぐにはわからん。 Donsker-Varadhan論文は図書にないのでみたことがなかったが、近日中に複写依頼 をだそう。
ばね分子ずり系で、海の上で腹をくくったように、もうやらせでも何でもいいから、 SSTと整合するモデルをでっちあげようと手を動かすが、、簡単にやらせができるほ ど甘くないことだけがわかった。
8/20(月)
20時間も船にのっていると、船を降りて数時間たった今も「揺れ」を感じる。 この記憶はどのレベルの記憶なんだろうか?定量的な実験結果はどこかにあると 思うけど、どうなんだろう。
8/19(日)
船。台風の影響で大いに揺れる。歩くどころかたつのも困難なので寝る。ものすごく 高い「つったち」が「すー」と水面を走っているのが窓からみえたが、あれはソリト ンか? ときどき強く感じる衝撃は、あんなのが船にあたっているのか。小さい船な らいっぱつで持っていかれるぞ。強風圏内からは、ぎりぎりで逃げているはずなの に、すごいな。
8/18(土)
バトミントンをして、非平衡構造転移のモデルを考える。ずり方向にスライスして、 非平衡オーダーパラメータΨを導入して、平衡のオーダーパラメータとミニマムに 結合させれば、実験結果と定性的な相性はいいような気はするが、(頭の中で)式を 書こうとすると、うーむ。統計力学的には、部分的に磁場を感じるq-ポッツモデル みたいなものかな。うーむ。self-consistent closure 一派との関係はどうなって いるのか、うーむ。
8/17(金)
温泉に浸かって、「Zubarev-MacLenannの弱点を一言でいうと?」という宿題を 考える。算数的には積分の収束、物理的には平衡現象論に頼っているところ、、、 あたりだが、どうも全体の風景がみえない。完全な間違いではない、、、のも 事実だし。
8/16(木)
海に浮かんで、腹をくくりはじめる。ばね分子ずり系は、SST 等式 --> 物理条件の 矢印を示すのが精いっぱいで(= 逆を示すことのとっかかりがないこともないが、 相当に難しい) 、この矢印でも(今の段階では)極めて非自明に思えるから、示せ たら意義がある。。。技術的なことを頭の中で整理しようとするも、(既に計算し てある)初歩的なことすら再構成できない。ノートは東京だから、帰ってからかな。
8/15(水)
花火をみて、Gacsのボツルマンエントロピーとランダムネスに関する論文を読む。 ううーん、違うんですよ、Gacsさん。どうするかっていうと、、ううーん、 頭がまわらん。
8/14(火)
新幹線の中で、長い論文を最初から読みはじめるも、山場に到達する前に嫌になり、 Lambalgen3部作の第2部にかえる。第一部をセミナーでやったので、第2部の気持 が前よりもよくわかる。
8/13(月)
明日から8/21まで消えるので、Summer school 数理物理'01 の予稿は今日〒で送るしか ない。細かい手入れは不十分だけど、〆切なのでうちきる。
林さんの格子気体モデルの格闘が軌道にのりはじめている。高温での地道な基本データ がとれつつあるし、臨界点近傍のラフな感じもみえてきたようだ。まずは高温領域で のSST等式の検証(反証)だが、実験で簡単に測定できるように、white board上で等式 を変形していたら、なかなか美しい関係式に到達した。ほう。非平衡下の圧縮率と 平衡の圧縮率の比が、FIOのデータからきまるのか。こりゃいい。
SSTの枠組はしっかりしてきたが、「本当にその理論体系が自然にあるかどうか」 はまだ誰もしらない。理論的でも、数値的でも、実験的でも、なんでもいいから 証拠が欲しい。林さんに先越されたくないし、僕も頑張らないと...。
うむ? 圧縮率は臨界点で発散して、臨界点シフトは見えているから、臨界点近傍 でFIOを考えると、、、なかなかにカラフルだな。5月の中旬に平衡からの展開で FIOを議論したが、違う攻め方があるような気がしてきた。
が、明日からの旅行では、SSTがらみは何ももっていかないし、基本的には休養。 まぁ、Lieb-Yngvasonとランダムネス関連の論文たちのファイルをひとつもって いって、関わりをちょっと考えてみたり、100ページを越える論文の(informal) previewをひきうけたのでそれを読んだり...はするけど。
8/12(日)
今日中に第一稿ができていないとやばいので、朝飯も抜いて予稿に向かう。脚注を つけるだけの作業だが、ひとつの注釈に1時間以上悩んだり、文献を読んで考え直 したりしていると、あっというまに時間が過ぎてしまった。なんとか日付変更線 あたりで第一稿ができた。式はひとつもないのに、分量は40kbyteを越えた。
8/11(土)
朝おきてすぐに思った。圧力の非平衡度依存性は非解析的だよな。だから、... ふむ、面白そうだな、と思ったが、後まわしにして、ひたすら Summer school 数理物理'01 の予稿を書く。 (後回しにしたのを忘れないようにここに書いておく。)
研究の背景説明がやっと終ったので、自分の研究内容の説明する手前で、強引に やめる。これから脚注をつけまくって、第一稿完成になるぞ、、、と思いきや、 脚注の最初の方で考え込む。「等重率の原理」を気持まで踏み込んで色々と 表現していたら、von Misesとそっくりになって笑ってしまった。 01列 --> ミクロな状態; ランダム列 --> 平衡状態、という対応があるよう に思う。表面的なのかな。お蔭で、布団に はいってから、Lieb-Yngvasonの公理とLambalgenの公理の対応関係を考え はじめてしまって、ちっとも寝れなくなってしまった。やばい。
8/10(金)
Summer school 数理物理'01 の予稿を書く。今日は、力学系と熱力学の関係 の部分。背景を延々と書いていたら時間がすぎた。やばい、この調子だと 来週に予定していた京都行きはふたたび延期かな。
8/9(木)
Summer school 数理物理'01 の予稿を書く。今日は、SSTの部分だが、 (もうすぐ公になる)論文に書いていない部分と格闘していたら、時間が過ぎて しまった。とくに、ミクロとの関係は宿題だらけなので、予稿に書くことでは なく、自分自身の課題の整理をしている感じである。
予稿のページ数は少ないが、非平衡統計力学の諸相において、対象/記述/原理/結果 などの項目を並べた一覧表(約2ページ)は、他にないだろうし、貴重かもしれない。技 術的なことはさておき、非平衡統計力学の全貌を掴むにはよいだろう。それ以外 は、「はじめに」と「研究の要約」なので、目新しいものはない。
田崎さんとのSST論文は、お盆明けて今月中には投稿になるだろう。論理的に美しく 完結しているのに、非自明な部分が残り、実験の定量的検証を待つのみ、という論 文は、はじめてのことだ。日記によると、昨年12/19(火)に冬休みの1ヵ月課題とし て気楽に計画したものだった。勿論、冬休みと今では見え方は全く違う。最初は、 実験を調べつつ、形式をいじくって、ふーむ、といっていただけだもんな。この間 の僕にとっての山場は、FIOが正しくみえはじめてきた 5/4(金)の飛行機の中かな。
でもまだ感動するほどではない。ミクロとの関係が見えそうで見えなくて、スパっと しないのがよろしくないのだろう。
8/8(水)
ばたばたしていたので、実質的には、休養日。妻子は船で徳島へ。
8/7(火)
高分子融液のずりによる構造相転移:SST熱力学関数があるとして、現象をしばれる 部分を整理したい。SST的なモデル化による攻撃もなんとかなる気がする。(先行理論 研究の方針はだいたいわかったつもり。)
希薄気体熱伝導のSSTに矛盾しない速度分布の構成:単純なミスをしていたが、ミス の除きかたがスムーズにいかない。(何か釈然としないので、根本的な勘違いしてい るかもしれない。)
ばね分子ずり系:素朴なモデルは、SSTとの整合性以前に、物理的な条件と矛盾して いるのだから、そこをとっかかりにして考えよう。それが自然に解消されたとき、自 動的にSSTが成立するようになればよい。
8/6(月)
Summer school 数理物理'01 の予稿を書く。結局、昨日までの文章 は(予稿としては)全て没にし、構成を最初からやりなおした。セミナー本番 では(おそらく)説明しない非平衡統計の背景の部分を箇条書きで書くことに した。(これを全部書いていたら、とてもあと数日で終らない。 それにま だ ?がいくつかある。昨日の問題も未解決。) 「はじめに」もやっと書いた。 主要部分をどう書くのかは明日考える。
昨年の数理物理セミナーでは、英文で50ページを越える要旨がいくつか並ん でいるが、僕はどう頑張っても日本語で数ページだな。
8/5(日)
箱の中に気体が閉じ込められている。 動くことのできる仕切り板を適当な位置に挿入 すると、仕切り板の両側の圧力が等しくなるところで仕切り板は静止する。 圧力は、 箱のおかれている環境(断熱か等温か)に関係ないので、仕切り板の最終の位置は、 環境に依らずにきまる。(余談:仕事 -->圧力 という論理にたつなら、この証明 には、第2法則が必要。)
ここで、仕切り板の位置の「揺らぎ」をみる。仕切り板の位置の分散をみると、箱の おかれた環境に応じて、その大きさが異なってくるはず。(こういう類の実験の検証 はあるのだろうか? )
仰仰しくいうなら、(熱力学では見えなかった)アンサンブルの違いが、揺らぎでは 見えてくることになる。すると、当然、緩和の動力学も環境に依存する。なのに、 初期アンサンブルをカノニカルにとる限り、時間発展にLiouvilleをつかっても、 確率過程をつかっても、形式的には、どちらからもGreen-Kuboがでてくるのは 不思議なことだ。
さらに、Zubarevの非平衡測度は、徹底して、Liouvilleとのconsistencyを追求して 求められたもので、それが確率過程の結果とも一致する、、というのは、もっと わけがわからない。
僕は、Liouvilleを使ったアプローチは理解できなかったので、今まで捨ててきた。 が、この機会に、うまくいく理由を見極めたいな。(こうしていると、ノートの 分量は、ちっとも増えていかない。)
8/4(土)
SSTには、FIOの浸透圧と密度差の間に関係式(=等式)という定量的な予言がある。 これは、実際の実験でも、数値実験でも、摂動計算でも、もっとも簡単に検証できる はずである。金君が希薄気体でやっている計算との比較のために、その予言を 説明するノートを書く。
ついでに、希薄気体熱伝導でSSTと矛盾しない定常分布の例をつくっておこうと はじめると...うまくできない。(温度勾配の2次まで辻褄のあった分布はできた つもりだが、そんな制限なしに決まって欲しいんだが。。)結局、ほぼ一日つぶし てしまって未完。
8/3(金)
「非平衡統計力学」というノートを書き始める。 Summer school 数理物理'01 の予稿を部分的に兼ねるつもり。
数値実験。境界付近で変なのだが、そこは目をつぶって、虚心に結果をみると、 SSTと矛盾するよなぁ。(やる前から予期していたので驚かない。) 境界あたり のことをどこまで拘るか、というのも考えつつ、SSTとの矛盾についてどう考 えるか、ここからが本当の勝負だな。
8/2(木)
ふむ、低温にすればSST効果は大きくなる。しかし、低温にすれば統計量の収束 に時間がかかる。待つのは嫌だが仕方ない。待っている間に、 Summer School 数理物理'01 の準備でもしようと思ったが、落ち着かない。 8月中旬に要旨をだすように、という要請がきているのだが。 一番難しい導入部分は後回しにして、どんどん書いていくか。。(明日から。)
8/1(水)
ばね分子ずり系における「SST等式」の検証をめざした数値実験。プログラムを 書く時間も、bugとりの時間も、計算機が計算する時間も、長くなってきた。
ううむ。バグはとりきった(と思う)が、アイデアが死んでいるのかなぁ。不安に なったので、23時を過ぎてから、刹那的に改訂versionを次々と考え たが、プログラムを書くには眠いので、一旦寝ることにする。
次の日の朝、5時半。寝る前に思い付いたversionは全部没にする。おたおたし てはいけないので、落ち着いて自分が考えていることを整理する。と、、、結局、 昨日のデザインに戻ってしまった。とりあえず、数値精度をもう少しあげてみよう。