日々の研究

日々の研究(リスト)

神戸大集中講義  1/17 --1/19 最終更新:1月14日

 

1月30日(日)

長時間外出時、合間をぬって、Harada-Sasa 論文の論旨の組み立てに 不可欠でありながらまだ(僕は)確認してなかった部品を計算する。 答えは多分あっていそうだが、計算がえらく技巧的になってしまったので、 何かぼけているのかもしれない。今日中にノート化して送ろうと思ったが、 (家族ともども)帰宅が予定より大幅に遅れてしまったので寝る。

1月29日(土)

FRE をaging 領域でも使えるようにするのは、いったんやめる。 やはり難しい。しかし、先行研究にピントが少しづつあってきた。 自分の論文書きにスイッチしたが、3週間あいたせいか、エンジンが なかなかかからない。もたもたしていると、川崎さんから論文 改定案、原田さんから論文草稿案がおくられてきた。

林さんから「拡張多体Einstein」に関する論文査読(3回目) の転送をうけとる。自明なのか、いかがわしいのか、現段階 では位置づけがわからない話なのだが、とにかく査読者が 丁寧に読んで、自分の意見と客観的な状況判断をわけながら、 的確な報告書を書いてくれたので、最終的な価値判断はあとの 議論に委ねるというのをこみで、受理される見込みがたかく なってきた。批判意見をさらに丁寧に書き込んだ改訂案を つくることになるのだろう。

今週、田崎さんとSSTの軽いやりとりをつづけてきた。熱伝導の 場合には、考察可能なモデル系がないと、なかなかすっきりした 感じにはならない。(DLG type の場合には雛形ができて いるので、もうちょいと思うときもあるし、道は遥かかなたと 思うときもある。)

1月28日(金)

FRE (=fluctuating response equation)を多体系でやって、しかも、 aging領域にもつかえるようにする、というお題で昨夜からやっていた。 すこし考えこむことはあったが、形式上はできた気になった。 しかし、なんだかおかしい。何がおかしさのか論点がはっきりしないので、 あれこれ考えていると、少し居眠りをしてしまった。よくあることで、 3ヶ月前に FRE をつくっているときは、毎日、居眠りをしていた。先 日の原田予想の証明のときも途中で居眠りしていた。 (作業じゃないからなぁ。) 眠ったあとで、ちゃんとできたら問題なし..だが。

1月26日(水)〜1月27日(木) 

D論審査4件終了。あと2件は来月。 自分の研究成果を苦労しながらまとめている様は、無茶苦茶 素晴らしい結果に到達したものでなくても、好感をもてるし、 書き手の格闘の様子が、顔とともに浮かんでくるので、 D論を読むのは嫌いな作業ではない。が、さすがにばてた。

原田予想の定理化は、Harada-Sasa 論文として、まず、速攻で レターでだし、モデルに依存する諸々や算数の詳細はすこし時間 をかけて長い論文でだすことになるだろう。(原田予想のオリジ ナルは、原田さんの単著で EPL に受理されたもようで、 タイミング的にもよかった。)

投稿にむけての準備にはいるやいなや、FDT violation と 発熱(エントロピー生成)の関係について、Cugliandolo らがやっていることをふくしまさんから教えてもらい、 焦って論文をみる。論文タイトルは、僕らの論文の仮題と 無茶似ているではないか。introduction をみると 動機も一部共有している。が、結果は僕らのところまでいっていない。 (原田定理を FRE なしでだせるとは思えないけど、別路線で だせる可能性がゼロではないから。。。)

気になって仕方ないので、やけくそだ。多粒子系のFRE について、 形式だけでもつくっておこう、という気になった。これの結果で 議論できることが色々あることがわかったのだから、形式論だけ でも十分有用なはず。(Fuchs-Cates に戦いを挑む準備もかねれるし。)

今日の夜は、正月に書いていた論文の続きを3週間ぶりに 再開する予定だったが、予定変更。。まぁ、そういうもんだろう。

1月25日(火) 

昨夜、原田予想に関する自分のノートにひと区切りつけたあとで、 原田さんの証明を丁寧にみる。むむ、不透明に思える箇所がひとつ あるのだが、その不透明さを明確に指摘できない。朝、ふわふわした ことを書いたメールをおくる。夕方、速攻で焦点があった原田さん から最新ノートが届く。おお、これで全ては完璧になった。 マスがあろうとなかろうと非平衡性をどのようにつくろうと、 (FRE に変換できるかなり広いクラスの系に対して)発熱を相関と 応答をつかって表現できる。1年前に、原田さんが、柳田グループ の実験結果をみて大胆に予想したものは、形を少しだけかえて「定理」 になった。理論として全く非自明で、かつ、美しい命題だし、 実験的視点からも、発熱という直接測定できない重要な量を 間接測定できるようになったのは、きわめて意義深い。

もうOKだろうから、乾杯!のメールをおくった。

原田さんは、僕が集中講義からかえってきた日以来、ほぼ毎日ノートの バージョンアップをしてきた。途中から僕も別路線のノートを書き、 バージョンアップをしてきた。相方のノートに弱く影響をうけながら、 自分らのノートを毎日バージョンアップして「つめる」作業は、緊張 状態での作業なので通常の10倍以上の勉強になる。こういう機会に 遭遇できるのは本当ラッキーである。

局所詳細つりあいを保存する微小時間積分:簡単だった。予想どうり、 土曜日の表現はその最低次になっている。局所詳細つりあいをたもた ない離散化は、FDTが成り立たないので、この保存は本質的である。 そして、局所詳細つりあいによる熱の表現を確率解析の言葉でかくと、 関本さんの定義(=Stratonovich 解釈のもとでの力かける変位)が 自動的におちてくる。

1月24日(月) 

講義終了だが、約一ヶ月後に補講をする。

学会予稿をかくための作業。シンポは2ページの予稿をかくので、 スタイルファイルにない「2ページ目の枠」を描くのに苦労する。 やっとできたと院生室で「枠」を誇らしげにみせていたら、 「それは消してから提出するのですよ。」....なんと、、。 本番がどうした、とか書いてあったのは、いちいちコンパイルの際に うざいので、全部消してしまっていた。せっかくつくった「枠」も 元からある枠も手で全部コメントアウトする。

原田予想に関する僕のノートの(論点その2)を完全に消化する。 恥ずかしいことに解析の初歩を失念していた。解析概論をとりだして にわか勉強する。昨日誤解がとけた(論点その1)は重要な意味が ある気がしてきた。たとえば、ハミルトン系を微小時間積分で 差分化するとき、シンプレシティーを保つのは重要である。 おなじように、ランジュバン系を微小時間積分で差分化するとき、 (局所)詳細つりあいの条件を保つのは重要である。いわゆる素朴な 最低次の時間積分では、これが破れているのである。土曜日に考えた のは、それを保つ最低次のスキームである。[状況証拠はあるが、完全な 証明はまだ。是非証明したいが、帰りの電車の中ではできず。ついでに、 シンプレクティック積分法と同じように、局所詳細つりあいを保つ 系統的な高次計算法までつくっておくのも大事かもしれない。]

1月21日(金)〜1月23日(日)

エネルギー論に関して次々と届く原田ノートを横にみながら、11月末にやっていた 路線で計算しなおす。土曜の午後には、11月末のうまくいかなかった計算と本質 的に同じところまでたどりついたが、原田ノートと整合しないし、なんか雰囲気が おかしい。そうか....やっとひとつ論点がわかった。ランジュバンのような特異な 確率過程を離散的な言葉に翻訳して考えるさいには、色々と注意がいるのだけど、 今まで僕はひとつ誤解をしていたようだ。量によっては、数値計算でも手計算でも 間違いをひきおこす理解をしていた。あとひとつ微妙な論点を消化すれば、位置の 時系列の相関や応答から発熱を計算できる、という原田予想の正しさを納得できる。 そして、その表現は大変綺麗な形になっている。(原田さんはマスつき系の確率解 析による証明を終えたらしい。僕はマスつけて考えたり、確率解析をつかうのに 抵抗を感じるので、愚直にマスなし系で原始人的計算をしている。)

1月20日(木) 

神戸出張中に、原田さんが HHS 論文 の 公開と投稿をすましてくれた。秋の学会で議論しはじめ、春の学会がはじまる までに論文投稿をすませれたのはよかった。さてと、その次が問題だよなぁ、 と思っていたら、早速、原田さんから次のノートがきている。11月の終わりの 僕の試行では微妙にうまくいかなかったのが、うまくいっているように みえる。なんでだ。。

1月17日(月)〜1月19日(水)

神戸大集中講義:準備不足だったが、元気な学生2人に ひっぱられて楽しかった。講義で聞いたことをすぐに 調べるなど、機動性が高いだけでなく、質問の着眼も すばらしく、感心することが多かった。また、レーザー 冷却でBECをつくろうとしているpost doc の方との会話 も面白かったし、小松崎さんのコメントも有意義だった。 講義終了後、小松崎さんのpost doc の Li さんの2自由度 ハミルトン系の摂動論の話をきく。地道で明晰な結果だが、 別の計算方法があるかもしれないなぁ、と帰りの新幹線で うとうとしながら考えていた。

正月に書いていた論文を完成させ、この講義準備 で調べはじめたことももっとつめよう。。。という意識は 強くなった。

1月16日(日) 

終日作業のあと、夜に神戸に移動。わざわざ、部屋から常時ネットが使える、 と宣伝しているホテルをとったのに、LAN がきていない。たしかに、LAN が きている、とは書かれていないが。。疲れがどっときた。

1月15日(土) 

寒い雨がふるなか、ホテルにいって、すぐに寝る。

1月14日(金) 

今週は4件の会議があり、講義やセミナーや議論が普通にあり、 D論をよみ、HHS論文の仕上げ作業をし、推薦書をかき、あいた 時間で焦って集中講義の準備をしていた。日曜日も早朝から終日 業務があるので、土壇場の準備もできない。個人的な勉強という 点では大変有意義だったが、準備不足のままなのは精神的にくるしい。

帰宅前に、大槻君の話をきき、「よーし、いけそうですな、面白い」 と喋り、柴田君の話をきき、「ほー、面白いが、どうすりゃもっと 面白くなるのであろう」と部屋にいた人でわいわい喋る。計算でも 現象でも、はじめてみるもの、すぐに想像がつかないものは、素直 に楽しい。

そういう短期的な楽しさが長期に持続するかどうかは、その深さと関わる のだと思う。もちろん、深いかどうかは体験しないとわからないのだ から、短期的な面白さに駆動されてはいっていくよりほかはない。 短期的なもりあがりをこえたあとで、いまいち面白みがないときの 引き際も、単純にその時点で面白いかどうかだけで判断すればいいと 思う。しかし、そういう原理で動くとき、もっとも難しいのは、 自分が面白いと思うことの真実性だろう。

面白い、という言葉は本来きわめて個人的で内向きである。深い 面白さを味わうには、深い面白さを味わえる素地がないとできない。 素地は意識してかえれるものでなく、知らず知らずのうちに積み重なる ものだから意識しない。意識するのは、社会的流行とか、学問的 プロパガンダとか、周りの雰囲気とか、財源とか、--- 自分の外側に ある諸々のこととの関係である。外側にのっとられたくはない。 しかし、その意識をもちすぎると、何が面白かったのか、自分を見失って しまう。その一方、外側との関係の意識をなくすと、知らず知らず のうちに外側にのっとられる場合もある。

自分の面白さが外側に流されるのは当然であり、それをふくめて自分 がもつ自然な面白さを保ちたい。そのために、「自分の中にある自然な 面白さの感覚を保つために、外にあるものをちょっとだけ圧力として かける。この摂動は意識的におこなう。」というあたりがいいのでは ないか。その圧力の選択は、なんでもいいと思う。摂動が大きくなったら 本末転倒だが、摂動なしで自然に面白がる状態は不安定だ、というのが 今の僕の意見である。人間はそんなにバランスよくできていない。

似たような話で、「虚心にものをみる」 vs 「偏見でものをみる」 という図式がある。長期にわたってときどき考えてきたのだけど、 「虚心にものをみるために偏見を摂動として使う」というあたりかな、 今日の気分だと。

1月13日(木) 

集中講義の準備:カオス。昨日の構成案はぼつ。やっとわかった。 (たちのいい)力学系を問題にするときは、最初に リアプノフ解析をやって、相空間の分割を(\epsilon, \tau)分離 集合でいれて、”その重み”を未来と過去への expansion でいれて、 そのシャノンでKSエントロピーを定義して、それをみながら軌道の符号化 をやって、その符号のcomplexity で時系列の不規則性を定量化するのが、 数値実験を介して考察する立場からはもっとも自然に思える。そうして つくった一本の軌道のcomplexity が確率1でKS エントロピーと一致する はず。

知られている話の順番をかえただけだけど、軌道の符号化の仕方は文献で はみたことない。その符号化は、数値実験でも具体的にできそうなので、 早速みたくなってきた。もちろん、細かいところは穴だらけだろうし。

結果として講義の準備であれこれ脱線して悩んでよかった。符号化関係の の話は没頭して考えたからなぁ。。これで今回の集中講義をひきうけた 「もと」はとった。まだ具体的な”講義ノート”はほとんどないので、 焦っているし、このペースだと講義そのものは崩壊するだろうな。

1月11日 (火) 〜1月12日(水) 

時間が分断されるし、データ圧縮が気になっておちつかないしで、 集中講義の準備に身が入らない。困ったものだ。時期をまちがえた。

とりあえず、先週末からの問題だった圧縮率の最適推定法 ver. 1 を完成させ、 ひとつ肩の荷がおりた。土曜日の案は最適である理由がないので、いったん却下し、 数学で確実に保証される範囲で、高速と高精度のおりあいをつけることをめざし た凡庸な案にいきついた。ただし、いくつかの源モデルでみたところ、 「瞬間の計算で1パーセント以下の精度」はクリアーしている。これで ひといきいれよう。 考えたい問題(=可逆CAの一本の軌道での非平衡状態から平衡状態への 時間変化の特徴づけ)に使うには、解決しないといけない問題がまだたくさん あるのだが。

集中講義準備はカオスあたりの構成の仕方を考える。せっかくランダムネスの話 を先にするし、軌道の不規則性の特徴づけとして シンボル化を介して complexity としての KS entropy をもってきて、Pesin 等式のアイデアをちゃんとやろう かな。だいたいの筋がみえてきたところで、またもや脱線で(僕の研究部分と関わる) その非定常版の算数がきになってきた。これは、先週前半にも悩んだこと 関係し、大変難しい。

1月10日 (月)

やっと集中講義の構成の大枠がかたまってきた。↑。しかし、今週も膨大な 量の所用がはいっており、細部をどこまでつめれるのか大変厳しい。いつもの ように全部黒板にかく。細部にわたるまで全て頭に入れたうえで、 細部を うまく抜いてメーセージをちゃんと伝えるのが理想だと思うけれど、なかなか そうはできない。

通常講義の準備、論文改定案への赤入れ、学会予稿草稿書き(最初の気合は ふっとんで、埋めているだけ、という感じになった。)。

1月9日 (日)

集中講義の準備をしつつ、符号化と格闘。(講義では符号化は 30分程度しか触れない予定だが、最近全く使っていなかった 情報論のイロハを急速に頭にたたみこむ、という目的は達している。)

昨日書いた、最適符号化でのシャノン限界への近づき方、というのは、 redundancy という言葉で表現されるらしい。文献検索して、源がマルコフ 確率過程の場合のaverage redundancyの証明とその問題の背景が書かれた 論文をみつけた。昨日の僕の思考をたどるような感じなので、ピントが ばっちりあった。結果も昨日推測していたとうりである。(証明はおって いない。)その証明が10年前で、そこから先はみあたらないようにみえる。 符号化の仕方を固定したままで、漸近圧縮率の値を先に推測する、という 動機がないからかなぁ。

ちなみに、たとえば、(ある源モデルの場合)、1%の精度で漸近圧縮率を えようとすると、まじめにやると10分以上必要であるが、僕の予想する量 の計算では、一瞬である。[1%の精度と1瞬の計算という基準がたまたま はまったから、昨日はよろこんだ。] しかし、これを一桁さげるためには、 膨大な時間が必要になる。改善されたとしても、まだ slow convergence  の成分が残っているようだ。また、精度と計算時間の関係は、大きく源モデル に依存するようにみえる。1%の精度なんて現実的には実現できない源モデル もある。。別の量をあれこれ考えるが、うまくいくのはない。算数として どういうところを考えればいいのか、少しづつみえてきた感じはするけれど、 途方もない。

1月8日 (土)

集中講義の準備。講義ノート作成は今日でやめる。講義がおわってから続きを かこう。それより、講義としての構成をちゃんと考えないといけない。講義ノート と講義の準備はまるでちがう。(神戸大のシラバスに講義ノート配布と書いて しまったので、3年前の講義ノート「熱力学とランダムネス」の改訂版を つくっていた。)

講義の準備をしていても符号化のことが気になってしかたいので、ついつい そちらに手をだしてしまう。「文字列だけをみて可逆に圧縮する符号化で、 源が定常確率過程のとき、(確率1でシャノン限界を実現する)最大圧縮 率の値をもっとも少ない「計算ステップ数」で知るにはどうすればいいか? 」 という問題を考えていた。どこぞには書いてあることだろうけれど、あとの 物理に必要だし、頭から符号化のイメージングが離れないので、本能に したがった。

もしあっているとしても、厳密な証明は本や論文をみながらでないと できないが、簡単なモデルではばっちりいける方法がみつかった。 結果はなかなか面白い。カオスのKSエントロピーをリアプノフ解析で計算 する Pesin 公式と同じのりで、文字列を符号化していくときに作成して いく”辞書”の多様度(*造語。辞書を自然に符号化するとそういう量 が定義される)をsequential に読み込んだ文字列の個数の関数として みればいい。イメージにもぴったりである。最初は、リアプノフ解析の イメージからはいっていて、その対応の算数部分が風呂のなかでわかった。 (あたえられた精度で)普通に圧縮率を計算するのに比べると100倍 どころでない桁外れの効率化になっているので、他の例題でも本当に 使えるなら実用的に有用だと思う。色々なモデルで有効性を確認しよう...と。

1月6日 (木) 〜 7日(金)

木曜日に集中講義の準備のために論文をあれこれ読んでいたら、早急に 確かめたくなって、金曜日に講義の準備を忘れて調べる。おおざっぱな な表現で「武末さんの可逆CA の”定常状態”において、たった ひとつの配置をサンプルし、(シャノン限界に到達できるなどいくつかの意味で) 最適な符号で圧縮する。その圧縮率に log 2 をかけたものは、そのCAの保存量を エネルギーとする”統計力学エントロピー”密度とほぼ確実に一致する。」 は複数の理由でもっともらしいのだが、本当にそうなのか見たくなったのだ。 符号化プログラムをかき、簡単な例題で符号化のサイズ依存性の勘をつかみ、 CA にかます。(そのCAの部分系のエネルギー分布がエネルギー 状態密度からきまるカノニカルに従うことは武末さんの論文で報告されている。)

うぬ。深夜になって、全くみえてなかった論点がみえてきた。やはり、 具体的に試行することによって得られることは多い。

ついでにこのCAでは非平衡状態からの綺麗な緩和もみえるので、 この符号圧縮率の時間変化もみる。うぬぬうぬぬ。 これはもっと考える点おおし。

時間ができたときにゆっくりやろう。

1月5日 (水)

論文かきでつまったところが集中講義の準備と重なるので、重心を集中講義 の準備にうつしながら、考え続ける。論点整理が不十分で、混乱する。 (力学系的には、hard wall 極限の特異性についての理解が不十分なので、 来月あたりに確認をしないといけない。先行研究をよむとき、Lorentz gas 系のように、低自由度系のアンサンブルを考えて物理的には大自由度系を 想定するのと、大自由度系そのものを議論するのを意図的に区別して読解 しないといけない。文字と式だけみるとかなり誤解を招くと思うが、 それが文化として根付いているのであろう。。。ということなどは、 忘れていた。)手書きノートの枚数はふえていくが、落書きばかり。

1月4日 (火)

年明けで、査読報告がふたつかえってくる。

Hayashi-Sasa (力の分割): Phys. Rev. E (Rapid communication) に受理。 「結果(直交条件)は意味ありげではあるが、この論文の範囲では、真の意味 は明らかでない」という位置づけが正しいだろうから、ともかく受理されたのは 嬉しい。もちろん、もうすぐ投稿する Harada-Hayashi-Sasa では、その 直交条件をguiding principle にして、発展方程式を書き換える新しい 手続きを提案するので、意義はたしかにあったわけである。個人的には、 そういう萌芽的な研究の方がわくわくする。

Sasa-Tasaki : 2通とも明快なレポートで読んでも気持ちがいい。 論文を丁寧に読んで、丁寧に論じる、という、査読者として当然のことを しているだけ、といえばそうだが、その当然のことをしない例もそれな りの割合であるからなぁ。色々なコメントのうち、個別的なことには対応 できるとしても、ひとりの査読者からでている論文全体への改定案に 応答するには時間がかかるかな。

1月3日 (月)

春の学会で、「非平衡統計力学へのいくつかのアプローチ」という シンポジウムが3月25日の朝に開かれる。僕は、その”開会の辞” (10分)の役目を担うのだが、挨拶なのに講演概要集2枚を書かない といけないらしい。その締切り(1月25日)は超多忙時期のまっただ 中なので、ぼちぼちと構成案くらい考えないとまにあわない。 講演者の4人(笹本さん、早川さん、伊藤さん、田崎さん)が 気合をいれて要旨を書いてくれるだろうし、挨拶は挨拶でいいとも 思うのだが、挨拶の副題が「非平衡統計力学のめざすもの」になって いるので、めざすものをこの機会に文章にするのも悪くないな、 という色気をもってしまった。「めざす」の主語が「私」なら話は 簡単だが、「私」との距離を少しとって4人の前座としての役割も 意識して...とか考え出すと、時間がかかる。それも含めてよい 機会であろう。

1月1日 (土)

ひきつづき論文かき。整理不十分なところにきたので手をとめる。

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