日々の研究

日々の研究(リスト)

12/28 (土)

船で徳島へ。よいお年を。

12/27 (金)

ハミルトン系による熱流誘起浸透圧:改訂版のプログラムは朝のうちにできたので、 希望のもてるデータをとってから年を越そうと試行錯誤をする。アニメをみずに、 粒子の透過具合、圧力差のささえぐあい、熱流のとめぐあい、運動エネルギーや 密度変化の数値をとりながら、(緑色の)膜の調整しているのだが、時間ぎれ。 (透過具合の定量化にまずい点があることを25時すぎて了解した。) 理想極限 へのいきかたはまだみえないが、断片的な傾向はよさそうだから、気持よく 年を越すことにしよう。

数学辞典:改訂versionでまだ2箇所ほど悩んでいる。どっちにしろ中途になるので、 今年の作業はここまでにする。

12/26 (木)

2週間前に、今日の公休を申請していた。それにあわせるかのように、体調不良 になった。(公休をとった理由の)外出以外は、休む。

軟体球による熱流誘起浸透圧: 昨日の不整合は僕の勘違いだった。しかし、まだ、 熱伝導系と平衡系の接触膜(=粒子を通過させ、熱流をとめ、圧力差を維持する膜) のモデルは工夫がいる。(低温のいいのがまだできていない。) 系統的に「理想膜」 に漸近でき、パラメータが少く、疑わしい要素がないのが望ましい。スケッチは 固まった。1時間でプログラム化できそうだが、体調不良なので、明日に延期する。

12/25 (水)

2次元軟体球による熱流誘起浸透圧:たくさんのデータを一度にとりすぎたせいか、 混乱中。データ間であきらかな不整合もある。

カオス:4月からカオスの講義を担当する。熱力学、統計力学、連続体と同じように カオスも独学だったので講義をうけたことはない。(そもそも、カオスの講義なんて なかったが。) (4年生の)自分が知りたかっただろうことを中心に据えた構成案を 歩きながら考えているが、自分が理解していない点も多い。冬休みに対話の訓練を する叩き台をあれこれ探していたが、どれもピンとこない。

数学辞典:草稿をうちだした。

12/24 (火)

熱流誘起浸透圧のアニメを田崎さんとみる。「SST ってこんなしょぼいもの ですか」という中江君の言葉に発奮し、みための秩序を捨てて、邪道でない 本家本元の(=田崎さんの表現)熱流誘起浸透圧の設定にその場でかえる。 見ためでは微妙なあたりか。。。アニメをみながら、同時に圧力差を測定しつつ、 壁のパラメータ値を調整する。いけてるような気がするが、精密測定は夜。

朝の電車:数学辞典担当分の構成の検討。〆切すぎて構成をいじっている。

12/23 (月)

朝、家のパソコンやら電話やらの不具合と格闘する。こういうのは苦手なので、 どうしても大きな声をあげての「格闘」になってしまう。午後、大学の停電が 終ったので、昨夜に予定していた計算をだだーと流す。熱流誘起浸透圧の存在 を綺麗なデータでしめしている。(ただし、系の設定における理想極限について の考察はまだ不十分であり、気休め程度ではある。) 熱伝導側でみるからに 「平衡にない秩序」を示しているのだから、当然といえば当然である。 さてと... どういう風に話しをもっていこうか。

12/22 (日)

朝6時すぎにおきて、2次元軟体球系での熱伝導と平衡の接触プログラムをかく。 熱流をとめて、粒子を流して、圧力差を維持する力学的な接触は、準一次元系で さんざん苦労してきたので、感じは掴んでいる。ただ、「圧力差の維持」に 関しては、今回はじめて導入する工夫があるので、色々な調整がいるだろう。 アニメをみながらやりたいが、家でできるようにはなっていない。 適当にパラメータを選んで計算させて、(昨年にひきつづき)映画(犬夜叉)をみにいく。 昨年と同じように席は空いていたが、昨年と同じように楽しめた。 夜、パラメータの感じがだいぶわかってきたので、寝る前にいくつかとばしておこうと 思ったら、明日は停電で、もうすぐ shutdwon のようだ。

数学辞典:うーん、難しい。

12/21 (土)

数学辞典草稿を少しづついじりながら、色々な用事をしながら、2次元軟体球モデル の圧力場、熱流場、密度場、運動エネルギー場の測定プログラムを書く。時間発展 よりこっちの方が難しい。まだちょっとおかしい。(追記:日付がかわる前に ちゃんと測定できるようになったので、寝ているあいだに計算させる。)

昨日みていたのは、粒子サイズにまで非平衡効果が効いている、という現象で、 定性的なことはだいたいわかったつもり。しかし、ハミルトン系モデルで実際 に動いてるものの、現在の知識で連続場モデルを書き下せるとは思えない。 やや派手な現象とあわせて、statusは粉体と似たような状況であろう。 要素の運動方程式は粉よりも簡単だし、こういう現象に対して、明確な法則化 をするのが目標になるであろう。(SST があって使えるなら、こういうのに 使わないと実際的な価値がないだろうし。)

12/20 (金)

昨夜寝るまえに作戦をねって、朝9時からアニメ。よっしゃ----。平衡では 絶対におきないし、(おそらく)局所平衡にもとづく流体記述では説明でない ことが、熱流の存在でおこっている。軟体球256個のアニメだが、 学会等でみるのより「軟らかい」ものをつかってる。 むにょむにょする感じがいいから。

講義がおわって、平衡系と接触させるアニメもつくる。おおおぉ。 週末に予定している、圧力や熱流等各種物理量の測定が楽しみだ。

忘年会。メモ:logistic map の集団運動の異常性を履歴と関係づけたい、 とする石原君の考えは正しい気がする。(そのために進むべき研究方針もわかった。)

今日のアニメに関して、(深読み可能な)直感的な解釈を与え、かつ、関係しそうな 研究リストを送っていただいた。 「くりこみ群」をここまで一般的に捉えるのか!? ...というのと同じように、Onsager のregression hypothesis を全ての非平衡現象 を理解する方針として捉え、今日のアニメのように数式ではすぐにわからなそう なものの定性的なふるまいまで答えてしまう(信念の?)つよさにあらためて脱帽した。 (アメリカにいてアニメを生でみえない人からの応答である。)

12/19 (木)

ハミルトン系によるFIO : 実はいままで(準)1次元系の範疇でモデルを工夫していた のだが、「姑息なことはやめて、2次元系でやれ!」、という声を夢の中で聞いた ので、KISSの前に速攻でプログラムを書く。(面倒そうで今まで抵抗あったのだが、 思ったほどではなかった。)シンプレクティック4次でエネルギー保存をたしかめ、 120粒子のアニメをみると、純平衡系でも面白い。熱流を流すと、 「おお、秩序が...」と言いたくなったが、それはまだ幻想のようだ。

KISS:いながきさん。stress chain を心眼でみるゲームを皆にまわして、 power pointでのpresentation. そのゲーム欲しい。

12/18 (水)

ハミルトン系によるFIO (ver.8 series) : 接触以前のモデルいじりから。 ちゃんとした熱伝導がおこって、その結果明らかな重率の変化がみえそうな モデルを試行錯誤で探索する。プログラム大改造のおかげで、考えれるモデルの幅は ひろがったが、熱伝導の勘がない。

いつ終わるのか数学辞典......悩む箇所が複数残っている。

12/17 (火)

朝の電車:瞑想。もし、○○がだめだったら、とは決して考えない。否定された 事実を除いては、楽観的な立場で描像を探る。忘れていた大事なことを思い出した。 「FIO とは、(SSTで定義されたエントロピーがあったとして、その)エントロピー 力を拾う現象である。」今、ハミルトン系からそれを探索しているのだが、 力の描像を力学的なものだけでみてはいけない。もちろん、平衡熱力学の エントロピー力がきちんと力学測定で捉えれるように、SSTのエントロピー力も 力学測定で捕まえるのだが、力の起源は統計的なものであることを忘れてはならない。

夜の電車:瞑想。朝の瞑想の視点からハミルトン系のデザインを考え直す。 うむ。なかなか楽しそうなアイデアがおりてきた。早速プログラムを書きはじめるが、 (プログラム的には)今までと相当に異なるので、2時間ではできず、続きは明日。

数学辞典:改訂稿がだいぶできつつあるが、もうちょっと時間がかかりそう。 正規の〆切は確実におとすが、年内には仕上げたい。

物理談話会:福島さんの「窪みにはいったらはいあがるのでなくまわりみちをする」 という交換モンテカルロの背景など。最後の画面に、 Neel-Jarzynski というのが あったので、どういうことなのか聞く。

12/16 (月)

どうも朝から体調が万全でない。大崩れはしていないが、頭、腹、腰ともおかしい。 (腰は慢性的だが。) しないといけないことやしたいことは色々たまっているが、 早々に寝ることにする。

Sasa - Tasaki 論文(投稿から16ヵ月だが、依然、審査中)には色々な仮定がある。 理想的な状況を想定して議論をすすめているのは当然だが、その中で、どういう 理想的極限なのかが論理としてはっきりしない仮定が含まれていることを明確に 認識した。(田崎さんとの会話で前にも話題にでたことがあるのだが、そのときは 通りすぎてしまった。) とあるモデルの振舞をみていてわかったことだが、 真剣に考えるに、今までのどの批判よりも強い。逃げるわけにはいかず、 その辺りを正しく理解しようと考え込む。

12/15 (日)

月曜の講義の準備、金曜の講義のレポートチェック、買物、Greg Eyink氏らの 論文よみなおし、数学辞典担当分改訂案の検討、ハミルトン系によるFIO。

Eyink 氏らのいう "shape dependent thermodynamics"は、5月末にぼくらも明確に 意識した、(熱力学でなく)揺らぎの性質のひとつである。(揺らぎにthermodynamics という言葉を使うのは、あるセクトでは標準的なので困ったものだが。) 彼らがformalに「shape dependentだぞ、異常だぞ」、といっているのみに対し、 僕等は(かれらの言葉での)"ある特定のshape"での揺らぎのポテンシャルが操作的な 熱力学に対応する、という明確な物理がありそうだ、と主張しているのだから、 議論をつみかさねたら建設的になるであろう。引用しわすれたのは失敗だったので 改訂版では引用しておこう。(ずっと前に彼らの論文を読んでいたはずだが、 今の文脈での理解ができていなかったし、そもそも"shape dependent"の意味を 了解していなかった。今回は個人的経験のせいで読んだ瞬間にわかったが。)

ハミルトン系によるFIO:根本的なところで、またまた、わからなくなってきて 混乱中。

12/14 (土)

からだをいたわるための強制休養。

12/13 (金)

講義の途中、「あぁぁ、ここなかったことにして、皆さんの記憶からも 消してください。」 と黒板を消す。酷い講義だ。(問題の運び方は そこそこよかったと思うが詰めが甘い。) そのかわりにというわけではないが、 今日提出されたレポートは○×つけて、模範答案とともに返却します。

数学辞典:担当分は 4400字なので、例えば、ほとんど誰もよまないと想定される 報告書の類だと半日で終わる量である。しかし、数学辞典には敬意をもっているので、 根性をいれてとりくむ。第ゼロ草稿を書くまでより、それ以降の改訂の方が はるかに時間がかかかるだろう。「何をどれくらいの分量で書くか」という選択が 難しい。学問の見方や捉え方とも関係するし筆力もいる。(筆力がないのは承知で、 精一般やるしかない。学問の見方や捉え方は議論をつみかさねて目一杯考える しかない。)

12/12 (木)

KISS: Iを終状態のエネルギー面毎にスライスすると、エネルギー面の重みが 低次元系でもとりだせるかな..という小松君のはなし。本当なら熱力学極限へ の収束をみるのが容易になるだけでなく、おまけの情報も色々とりだせること になるが。

中江君の混雑モデルは蛇行と関係していたのか...。で、蛇行version をみる。 モデル化の指針としては、まじめにやるとしんどい動境界値問題をうまく 処理する結晶成長のphase field model と同じ発想にたっていて、それなりに 面白い。が、実験の蛇行とは違うよなぁ、という話をしていたら佐藤氏が はいってきて、モデルの改良方針をいくつかだしていった。(4月に説明したときは 素っけなかったのに、今日はひどく現象を気にいっていた。佐藤ならではの「鋭さ」 が健在なのは嬉しい。)

12/11 (水)

Hayashi - Sasa 論文の プレプリントが公開 されている。非平衡定常系に熱力学がありまっせー、という強い調子ではない。 あくまで、特定のモデル(driven lattice gas)の数値実験の結果として、 (自由エネルギーの存在を保証する)熱力学関係式と揺らぎの式が成立していそうだ、 というところで抑えている。 う。Greg (Eyink) さんから mail がきた。 cond-mat って一日20くらいづつ論文がでている勘定になるのに、毎日 チェックしているのか...

数学辞典の〆切は12/20なんだが、これは 12/20にできてなかったら冬休み返上 して頑張れ、という日程だろうな。数行書き加えるのに色々と悩む。しかも、 何かを加えたら、どこかは消さないといけない。あまりにも煮詰まった作業で 消耗感がでてきたので、逃走して、ハミルトン系によるFIOを2週間ぶりにいじる。 プログラム的には Ver.1 series のマイナー変更だが、「仕事で熱流をつくる」 という路線でデザイン的には新しいのでVer. 7 シリーズとする。 それをさわりながら原稿も改訂して、なんとか今日のversion はできた。

12/10 (火)

昼、SST実験の状況をおしえてもらう。非常に楽しみだ。

会議やら何やらの合間に、数学辞典担当分をいじる。こういう作業をすると、 国語力のなさを痛感して嫌になってくる。深夜、やっと Ver. 0 ができた。

朝、連日の通勤トラブルの中、あれこれと考え事:カオスのシンボル化について まじめに考え抜いてみるか。その辺りを皮膚感覚としてわかっていないから思考停止 になっている部分があるような気がする。ハミルトン系による FIO検証 のセット アップについてもあれこれ。

12/9(月)

数学辞典:執筆要項をよみ、style file をdown load して、いまある原稿をいれる。 見積りが甘く、分量がかなりオーバーしている。 指定された分量にひととおり書く version 0 の完成は水曜日あたりかな。

溜っていた事務仕事をかなりやっつけたつもりだが、提出を忘れてしまった。

林さんが Hayashi - Sasa 論文の投稿をすませたようだ。

1週間前に中江君がやっていたモデルの数値実験は、Nature, PRL, PRE 等ですでに あるようだ。まっさらでないのは少々残念だが、理論的解析はなく、非平衡特有の 新しい現象の報告として位置付けている論文たちのようである。 (摂動や数値実験で)SST関数をつくって現象の意味と定量的振舞をあきらかにする、 という路線はでやるかな。

12/8(日)

長女のピアノ関係で錦糸町にいく。

夜、明日かあさってに Hayashi - Sasa 論文を投稿できるよう、最後のいじりをする。 将来展望の箇所で、考えていた改訂案があったのだが、結局、ほとんどそのままに なった。中江モデル(?)の影響が大きく、(非平衡になってはじめてあらわれる) 相共存を議論する道具としての価値をあらためて感じたから。

12/7(土)

連続体講義の準備:ブジネスク方程式から対流現象へ。線形解析で固有値もとめて うんたらかんたら..という「計算」の部分を一切省略し、その代わりのものに 時間を使うことにする。(講義でやることを推定されると、裏切りたくなるので。)

数学辞典:Ver. 0 に向けて手直し。

ハミルトン系による熱流誘起浸透圧:Ver. 63 に対して「危しいぞ」という コメントが届く。いわれてみればたしかに怪しい。プログラム大改造の前に 再考しないといけない。Ver 7. series のアイデアを練る。 さらに簡単な モデルでかけそうな気がしてきたが、どこか勘違いがあるかもしれないので、 とりあえず寝る。

12/4(水) 〜 12/6 (金)

都立大集中講義:不完全な準備にも関わらず、色々なフォローのお蔭でなんとか かたちにはなったと思う。また、貴重な意見やコメントを数多くもらい、 いつものように(自分の研究にとって)いい機会になった。

12/3 (火)

朝の電車で19世紀の非平衡熱力学の実験を読んだ。あまりこういうのを現象群 として丁寧に紹介した本がない。非平衡熱力学の本は過剰に形式的でつまらない。 (学問体系としては、数時間で議論しつくせることしかないのに。) 現象/実験はもうちょっと知りたいから、いつか集中的に文献をあつめてみよう。

同じく朝の電車で、昨日の中江君の「駅の混雑モデル」の熱力学関数 (SST 自由エネルギー)の構成法を考えた。たしかに (もうすぐ公になる予定の) Hayashi - Sasa 論文をふまえて、ひとひねりすると構成可能だ。実際つくってみて、 モデルの現象と比べる価値があるように思う。

昼、SSTに関連した実験をやっている学部生に実験の状況を教えてもらう。僕は 実験の素人なので成功度の勘はないが、楽しい設定になっていると思う。実験 でも理論でもアイデア溢れるものはそれだけで楽しい。

集中講義の資料整理: うーん、時間ぎれ。 あとは、いきあたりばったりでおたおたするしかない。

12/2 (月)

集中講義の準備の調べもので本を探していたら、中江君が面白そうなことを やっている。「駅の混雑モデル」で、 アニメは面白いし、一般うけすること 間違いなしだが、モデルは driven lattice gas の MD version みたいなもので、 その振舞は SST の恰好の適用例ではないか。今や、driven lattice gas の 閉じた世界では熱力学関数をつくれるので、そっちをつめて考えたくなった。

田崎さんに 先週まで少しづつつめてきた FIO のハミルトン系モデルの説明をする。 「平衡系はどこまでいっても平衡系だが、定常系は局所的なので遠くまでいくと 曲がってしまう。」ということはわかっていたつもりだし、そこを意識しながら モデルをつくってきたが、平衡系との本質的な差であることをはっきり認識した。 うーむ。そこが本質なら、もうちょっと違う方向のモデル化もありそうな気もする。

連続体講義:7変数にたいする7つの方程式、という現在の流体記述の完全形まで 到達したあとで、熱対流を議論するためにブジネスク近似を丁寧におこなう。 7変数・7方程式というのは形式的ではあるが、気持がいいので明示した。 ほとんどの本は(2年前までの僕の講義でも)そういう形では紹介しないが。

12/1 (日)

昨日からひたすら 都立大の集中講義 の準備をする。 構成はかたまったので web 案内をかえておく。まだ白紙の部分があるが、今晩と 明日/あさっての僅かの時間で、なんとかぎりぎりまにあいそう。 (いつものようにつめきれてないので、毎度のようにおたおたと 説明につまるだろうが。)

先月の日々研究