10/31(水)
明日の大学院講義「揺らぎのエントロピー (その2)」の準備。Sanovの公式と contraction principle が テーマになる。不等式で厳密に評価する証明も読ん だが、頭に入り切らないので、物理の論文で許される程度の緩い評価をつかって、 そのかわりに簡単な計算で公式を求めることにする。 今日一番時間つかったの は、「統計力学への応用」の解読だが、明日はやらない。(完全に理解できな かったから。)
もう病気かもしれないが、今月の宿題(=「SSTの揺らぎの理論の構築」)で 格闘していたことは、非平衡定常状態で Sanov-like なことを考えて contraction principle で密度揺らぎにおとすこと、、、でないか、思えて きた。たしかに対応関係があるぞ。今までSanovを強く意識せずにいたが、 意識して考えたら、すんなりいったりして。今月終了まであと20分だが。
10/30(火)
考えつくしていない点を朝の電車で思い付いたので、ギブアップ宣言は もうちょっとだけ先のばし。
今日になって、今週の会議の追加がふたつ。緊急用件がひとつ。時間が ぶつぎれになったら、集中した考え事はできない。
10/29(月)
だめだ。ほぼギブアップ。(火曜日の午前まであがいてみるが。)ふりかえってみる と、7月からギブアップの連続になっている。◎ ばね分子ずり系の解析は、モデル の「物理性」が壊れているので、物理的条件がなりたつこととSSTの関係という難し い問題になってしまったので、とまった。◎ 格子系は外場に関する摂動計算でこん がらがってしまったので、とまった。◎ 揺らぎの理論は、見えそうで見えないま ま消耗しつくしたので、とまった。
それぞれの試みで感覚的に得るものはあったのだが、本質的なレベルで生産的な ものはなし。積み上げとしてのこるものとして、SST検証の具体的等式をボルツ マン系や格子気体系で書き下したことや、線形非平衡領域での定常状態測度を示 唆的なかたちで書いたことなどはあるが、ε オーダーだな。
今週は、通常の講義/セミナーの他に委員会仕事3つ(約4コマ)があるので、 週はじめなのに既に気分わるし。
10/28(日)
髪が重く感じたので、いつものように自分で髪を切る。さっぱりした頭で今月の宿 題を考える。宿題の論点は、「SSTにおける揺らぎの理論」を矛盾のないように構築 することに尽きる。SSTの揺らぎの理論は、5/11のノートでひとくぎりついてい るが、それを「つなぐ」ことができていなかった。揺らぎレベルで「つなぐこと」 は、4/30あたりにも考えていたらしいが、崩壊してしまった。10/4以来、DLS 論文との関連で考えていたが、DLSだけでなく、熱伝導などでも同じことである。 揺らぎの理論をきちんと定式化し、その形式を検証できるところまで詰めたら、 DLSとの対応をみることができるはずである。理論整備せずに、いきなりDLSと の対応をみようとしていたから、ちょっと考えては混乱、という馬鹿なことを 繰り返していたのだった。
が、どうもうまくいかない。何か変だ。こういうときは、「何が変なのか」を はっきりさせるべきだが。
10/27(土)
今月末〆切のTex20ページ分の草稿はできた。書き殴り状態だが、手直しする時間 はほとんどとれないから、これに近いまま提出することになるのだろう。講義ノート の役目は果たすだろう。
その講義ノートは、 応用解析tutorial・冬の学校 という、(おそらく)応用解析(数学)の大学院生 を対象にした6時間の集中講義のものである。正月早々に京都で行う。僕がパタン 形成の研究をしていたとき、組織委員たちと何度か議論していただいたので、その 関係から僕に声がかったのだと思う。しかし、パタン形成の講義でなく、熱力 学(L-Yなど)/非平衡入門/SSTの講義をする。僕の講義は学習院での数理物理 '01 と類似しているが、数学側からの講義は力学系の安定性問題だから、学習院のとは 全く違った雰囲気になるだろう。数学側の講義を目的にして参加する院生の中には、 熱力学には興味ないし、そもそも全く知らない、という人もいるだろう。説明の仕 方が学習院のとき以上に難しいかもしれない。ただし、熱力学の本を細かいところ まで読んでくれた組織委員もいるし、「非平衡現象とその数理に対する興味」とい う点では共通の問題意識があるから、ひとりでもふたりでも新たに興味をもってく れれば嬉しい。
熱力学(L-Y)/ 非平衡入門/SST というセットは、11月の九大の集中講義や 12月の京大の集中講義でもとりあげる。(九大・京大の集中講義では、それに プラスαがある予定。) また、これらを講義ノート化して物性研究に書け、とい う編集委員長の命令もあるし、もうちょっとましになったら、講義ノート草稿 をwebにはりつけて意見を募るつもり。
10/26(金)
統計力学講義。確率を導入せざるを得ない、ということに関して自分自身も消化 不良なので満足した形で表現できない。現時点での理解をあれこれしゃべるが、 中途半端で不十分だ。(ランダムネスと似ているんだよなぁ、というのもあるが、 だからどうした、というレベルに過ぎない。)いつか、この件に限定して、徹底 的に考えを整理して文章化すべきだと思う。
講義終了後、青山学院の物理学科コロキウムへ。駒場の談話会のトラペから3枚 へらして、4枚増やした。 渋谷の近くに校舎があるものと思い込んでいたら、世 田谷だった。直前にwebで確認してよかった。 久保さんや藤谷さん(慶応)から、 SST検証後の課題に関する質問をいくつかいただいた。理論の展開の夢想だけは 毎日のようにしているので、こうなったらうれしい、という浮わついた返事をする。
10/25(木)
講義に対する学生による評価アンケートの集計結果がまわってきた。ふーむ。 教官の平均値から大きくはずれている項目は、「熱意がある。」 平均の倍ち かい率の評価をもらっている。その一方で、黒板の字が汚い、というのも平均 よりも相当高い。色々な項目をつぎあわせると、『やや難しい科目の熱力学 を、熱意をもってやっているものの、説明はわかりやすいとはいえず、黒板 の字はきたない。科目に対する興味はもてたが、十分な理解には至らなかった。 よって、総合判定は 「普通」。』
(アンケートのあった)6月末の時点で、登録した1年生の約8割の学生が講義 に出席しているのだから、熱力学では多い方だと思う。アンケート結果による と、かなりの学生は、講義以外には熱力学の勉強をほとんどしていない。 そういう学生でもとりあえず講義を聞いて、完全な理解には至らないものの、 科目に対する興味をもつようになった、、ということでよしとしよう。
10/24(水)
明日の大学院講義「揺らぎのエントロピー」の準備。level-2 LD に関係した話 は来週にまわすことにする。熱力学の変分原理、揺らぎの理論 、level-1 LDの 関係だけでお腹が一杯になるだろうし。
今日予定したことがまだ終っていないのに、風呂あがりに寝っころがって昨日の 紙の裏をみていたら、阿呆な勘違いがあった。速攻で訂正しようとするも新たな 問題もでてきてあせる。ひょっとしたら面白いことになりそうなのだが、深呼吸 して落ち着かねば。
10/23(火)
SSTに自然な揺らぎの理論を適用してDLSの結果を導くようなSST熱力学関数が 納得できたつもりだが、その自由エネルギーはカレント0で発散するから多分 おかしい。(まだ清書していないし)勘違いの可能性とか、SST揺らぎの理論 が素朴でない可能性とか、SSTがそもそもだめな可能性とか、いろいろな可能性 を考えるのが健全だろうけど、平衡極限での特異性に意味があるのでは、、、 とつい考えてしまう。よくない傾向なので、今日(今週)はもうやめて、講義 の準備などをしよう。(で、週末にノートを書く。)
10/22(月)
頭がぐしゃぐしゃ。○○を仮定したら○○がでる、、という整理をするときには 全体をみないといけないのに、頭がオーバーフローを起こしてload しきれない。 SST-ケルビンがあって、自然なSST-揺らぎの理論がないのは考えられない。だ から、局所的な揺らぎの独立性が破綻しているように見える「非平衡状態での 揺らぎ」と自然なSST-揺らぎの理論は整合しないといけない。その道は微かに みえるのだが、仮定から順番に書いていくと途中で「?」が発生する。ある項 さえなれりゃぁいいのだが....。結果だけみたら、なくてもいいような項にも 思えるが、何を前提にしたらこいつを自然に消せるのかがわからん。
事務作業をしたり追試験問題をつくったりという小さな仕事はあるが、 (珍しい)平日の研究日。
10/21(日)
次回の大学院講義「揺らぎのエントロピー」の構成をゆるりと考えはじめる。 DLS を SSTの揺らぎの理論として位置付ける、という10月の宿題の参照枠 としても、平衡熱力学と揺らぎの理論との関係をきちんとおさえるのは有意 義であろう。平衡の場合でも僕の中にまだ混乱があるので、整理するだけで も意味がある。ついでにLDの技術の勉強もできたらいい。
10/20(土)
講義のことやら研究のことやら気になることはたくさんあるのだが、今月末〆切 のTex20ページの原稿の提出がもっとも気になった。出版社から依頼された原稿 ならずーとあとまわしにしても仕方ないと思えるが、友人たちが企画したもので、 製本/配布日程を動かすことができないものならば、落すわけにはいかない。あ る程度まとまった時間がとれる今日・明日にできる限りの草稿を書き殴ることに する。
10/19(金)
熱統計力学講義:先週配った熱力学演習の解説。うーむ。講義終了後、統数研へ。 久しぶりなので道にまよったし、研究所にはいっても部屋にまよった。うーむ。
中江君の数値実験は横でみていても面白い。なかなかよさそうだ、と書いていたら、 今日の日記に3角格子での結果が張ってある。そりゃぁ、みるからにバグでは?
10/18(木)
早朝から午後の大学院講義の準備の仕上げをする。講義は上出来だったと自分 では思う。 「あぁこれだけ なのか」 という感想は、講義構成がうまかったということでしょう。
卒研:大槻君がつくった粉体の実験装置で segregation をみる。ほう、面白い。
夜:明日の研究会での発表の準備。昼間やったL-Yエントロピーの講義から 証明をぬいたものをOHP化する。研究会「動的システムの情報論」のセッション 「情報・計算・論理」にあうように、前後にIntro と議論をくわえる。よく ばって力学系がらみの話もいれようか...とまよったが、使い回しのトラペ から適当に抜いたのを後ろに用意して、その場で対応することにしておし まいにする。ぎりぎり日付がかわっていない。(木曜日はホテル滞在だからな。 千葉まで帰って作業したら2時すぎになっただろう。)
10/17(水)
早朝から明日の大学院講義の準備。L-Yエントロピーの指針と結果を簡潔に示すことを 目標にした構成を考える。だいたいできたつもりだが、細かいところを明日の午前の 宿題に残す。(ぎりぎりの自転車操業。)
金曜日の講演「熱力学の論理と動的システム」の構成を考えていると、化学ネット の制御の問題を思い出した。2年前に具体的な課題のひとつとして科研費申請書 でとりあげたにもかかわらず、まともに動いていない。代射系のネットワークに関 する知見も増えてきているし、機会をみてスタートしたい。
熱はでていないと思うけど、これはやはり風邪なのか? 体調不良。 かっこんとうと鍋で復活したので、昨日の議論をふまえてDLS-SSTに再挑戦する。
10/16(火)
田崎さんと笹本さんが駒場にいらした。DLS-SST関係やSST-ケルビンに関して有益な コメントをもらった。しかし、僕自身のDLS-SST関係の理解に進展がないのは多少苛 々もする。本当に関係しているのかいな、、と揺らぐこともあるが、当面「最初の 直感」を信じて、できる限りのことをやろう。(今月一杯まとまった時間はとれそう もないけど。)
物理部会・談話会:参加者は多かったけれど、僕の頭がクリアーでなかった。
10/15(月)
科研費申請書を仕上げて提出する。糊づけしたり色塗りしたりの作業は、得意で なかった図工を思い出して気分もよくない。できあがったものの見栄えも悪い。 その他複数の仕事をてきぱきこなす。委員会書類の原案も作成 (これは今月一杯 かけて、ゆっくり作業しないといけない。)。
夕方の柴田君のセミナーまで、L-Yとランダムネスの関係を考える。ううむ、L-Y は「ランダムでないこと」の公理を与えているとみると自然だな。つまり、 Lambalgenとは正反対か。 で、どうする?
10/14(日)
午前、宿舎の草刈り。昼ご飯の後、やはり体調不良なので寝る。夜、やっとのことで、 談話会のトラペをひととうり書く。これでいっぱい。
僕は、「ambition 」とか「志し」という言葉がピンときていない。
やりたいこと、できたらいいなぁ、と思うことはある。しかし、明日朝起きてでき ることは愚直なことでしかない。やりたいことと明日手を動かせることにはギャップ がある。ギャップのどこかに細い道があるのでないか、、こっちかあっちかと考え て、明日手を動かす。ときには、やりたいことをみつめなおして、課題をかえる。
「自分が本当にやりたいこと」と「自分が明日やること」の両方を精一杯考えるし かない。
もちろん考えて答えがでるものでもない。だから悩む。そしてふん切りをつけて 動く。結果として生じる研究のレベルは色々あろうが、そういうレベルと関係が ない話だと思う。
10/13(土)
朝、来週火曜日にある談話会の構成を考える。50分をめどにした構成にする。 いきなり SSTではないし、80分を目安にした学習院でのSST-トラペからかなりの引き算をしな いといけない。そのあたりの配分を考えていたら、結局、全部あらたに書くことに なりそう。書くのは明日の深夜だろうけど。
体調不良を感じて2、3時間寝る。起きて、月曜日からの宿題であった、ささもと さんの質問に対する答えを夕方おくる。今日の残りの時間で、DLSとSSTを詰めて、 L-Yを頭にloadして、委員会の書類をやって... と、もりだくさんの予定だったが、 ふたたび体調不良で強制終了。
10/12(金)
4時半に起きたので眠い。 こいつ のせいだが、 そういうのを書いている場合ではない。1週間後にある「動的システムの情 報論」という研究会の情報・計算・論理というセッションで喋ることに なっていて、10/12までに講演趣旨を送れ...というmailがある。今日だな。 熱力学の公理について何か喋れ、という依頼だったと記憶しているが、動的 システムについても言及せよ、というmailも来ている。今日は24時までは 今日だし、いや、僕は寝るまでは26時という数え方をするから、まだまだ 先がある。統計力学講義の開始時間がすぐそこまできているからそっちが 先だ。(完全に日記を逃避に使っているな。よくないことだ。)
統計力学講義:結局、来週、熱力学演習を1回はさんでから統計力学をやることに する。熱力学が何もないまま統計力学ってのは、どうプランニングしても無理が ある。
卒研の大槻君の話をきく。大槻君は来年大学院に進学するので、卒研といっても 僕はテーマを与えない。ひたすら自分で考え、自分で試行錯誤し、自分で論文を 集めて、自分で格闘してもらう。僕は話は聞いてコメントするだけ。今日の報告 は素晴らしかった。粉体のsize segregation に興味をもっていて、自ら実験装 置をくみたて、実際に実験をし、かなりの数の論文を読み、論点を整理しようと していた。僕も勉強になった。
○委員会の書類を作成しないといけないのだが、途中で嫌になって、M1の中江君 の話を聞きにいく。大学のシャワー室で着想を得たという「変なもの」の話を聞く。 研究室の洗面台をつかって現象の再現を試みたり、モンテカルロで再現を試みたり しているが、うまくいったりいかなかったり。しかし、第一印象で面白い。春の学 会で発表だな。ここに書いた以上もう逃げれない。
10/11(木)
KISセミナーで喋って、すぐに大学院講義で喋る。大学院講義は、準備不足のまま、 えいやぁでやっているので、説明しわすれたことがたくさんある。質問は講義中に いってくれれば助かるんだけどなぁ。質問に答えるかたちで、いい忘れたことを 補足できたのに....これからもたくさんいい忘れるので、講義にでているみなさん、 助けて下さい。
疲れはてているが、申請書の仮仕上げをやって、明日からはじまる基礎科学科講義「統 計力学」の準備をしなければならない。毎年うまくいっていないので、今年も新方針 で望む。純粋数学から生物まで広いスペクトルをもっているのが基礎科学科の特色な ので、受講者の熱力学の履修内容はまちまちであり、統計力学の前にやる熱力学 の位置付けが難しい。今年は開きなおって、前にだす熱力学を最小にする方針 を考えることにするが...(いいのかな? 今晩決断するのだけど。)
10/10(水)
朝、明日あるKISセミナーの準備。(日記にあるように)この11ヵ月近くSSTにかなり の時間をとってきたけど、僕自身の「超主観的な問題の位置付け」を整理するのもよ かろう。いわゆる非平衡らしい話は最後から2枚目のトラペまででてこないし、SST という言葉は最後のトラペの一枚で「頭だし」するのみ。
昼、明日からはじまる大学院講義「エントロピー概論」の準備。とにかく、自分自身 の問題意識とそれにともなう講義全体の構成をはっきりさせよう、、と集中する。す こしわかったかもしれない。シャノンからはいって統計力学とコルモゴロフcomplexity を別々に説明するというのが、ふつうっぽいいきかたである。しかし、「熱力学が先 にある」のは譲れないし、熱力学の公理との関係で他もみたいのだが、どうもシャノ ンはみにくい。だから、(シャノン抜きでの)熱力学とコルモゴロフの関係をみる、と いうのがひとつの目的になるかな。そうしてみると、熱力学の背後にある等重率の原 理とコルモゴロフの背後にあるランダムネスの対応もなんだか自然にみえてくる。 そして、それぞれの確率の導入のところで、ともにシャノンがでてくる、、という路 線かな?(まだ、よくわからん。) とりあえずの講義案を作成。明日の講義は僕の問題 意識と講義案を示しておしまいにしよう。
夜、すでにふらふらだが、KISセミナーのトラペ書き。ううぬ、時間がない。DLS関 係の考えごとやささもとさんへの返事は土曜日になってしまう。
10/9(火)
書類と格闘。中身の文章でなく、file関係をめぐって。Windows machineを1台おい といた方がいいような気がする。計算機は苦手だし、新しいことに対する柔軟性も ないが、これだけバタバタする機会が増えたら困る。結局、夕方の会議までそれ でつぶす。
昼ご飯をたべながら、from SST to DLS を考えていたが、もうひとつはっきり しない。DLSの変分原理は綺麗だが、(たぶん)一般性はない。そこで、SSTの 変分原理を活用したいのだが、使いがってが悪い。。。単になれていないのか、 勘違いしているのか。でも、SSTにとっても非常に大事なところのような気がする。
今夜から、木曜日の研究室セミナーと木曜日の大学院講義(エントロピー概論)の 準備をはじめないと、いよいよやばいな。
10/8(月)
DLS (Derrida - Lebowitz - Speer) vs SST: 瞑想を中心にした筋書きの段階から考 えを整理したノートをかく段階へとすすむ。色々あって「DLS と SSTを関係づけて、 SST熱力学関数を推測する」、という宿題をしあげることはできずに時間切れの模様。 これだけヒントが揃っていてできないのは情けない気もする。(正確にいうと、 推測はできているのだけど、推測された熱力学関数から、SSTの論理で、DLSに 到達していない。)
10/7(日)
ローラースケートをしたり、2人のり自転車にのったり、アスレティックスの補助 をしたり。その後でDLSとSSTの関係の模索。何故、DLSが僕にとって強烈だったか、 、というのをもう少し詳しく書いておく。
非平衡定常系の揺らぎは「一般に」強い非局所性をもつ、という確立した事実があ る。そのために、熱力学が前提とする相加性がやばいのではないか、、というのが、 SSTがあるかないか、という問題に対するもっとも否定的な要素なのである。だか ら、「SSTなんてあるか!」という路線で、もっとも合理的で強烈な批判はこの問題 を持ち出すことだが、この論点で僕を攻めたのは、いまのところ、徳島学会でのわ こう君だけ。
たしかに、「一般にでてくる」強い非局所性をまともに揺らぎの理論にかくと、 相加性なんてあるように思えない。だけども、SSTは変数が余分が一個あるので、 それもあわせて揺らぎをかけば、相加性をみたすように書ける可能性はある。この 揺らぎの相加性の表現は、当然、SSTの変分原理と関係していると考えるのが自然 である。熱力学レベルで期待しているSST以上に「うまい話し」だが、、そんな可能性 だって否定できないでしょう? ということを徳島学会でわこう君に延々と 説明していた。わこう君は、「確かに否定はできないし、もし本当に そうなったら無茶苦茶面白いですが...」という冷静なものだった。
こういうとき、DLSがはじめて(まともな)非平衡定常状態の揺らぎのrate function をもとめたのだが、その形をみた瞬間に驚いた。強い非局所性が、補助変数を一個 余分にいれて、実に示唆的な形でもとめられている。実際、この形をつかって、DLS は厳密解から「相加性」をみたす量を構築している。
こりゃもうSSTとの関係を追求してくれ、、と式が僕に訴えているようなものである。 もちろん、両者の関係は決して自明なことではないし、DLSにはモデルの特殊性から くる部分もあるので、物理的な本質を頭の中で考えながら対応関係を追求しなければ ならない。気がつくと夜が更けていたが、まだ見えない点がいくつもある。もちろん、 まったく関係なかった、という「おち」だってあるかもしれない。
10/6(土)
朝、快調に科研費の申請書を書く。平日にくるしみながら書いたのを大幅に 改訂して第一稿をしあげる。直ちに、大学院講義の構想にはいって、自分が知り たいことを列挙していく。(今ごろ知りたいことを列挙して大丈夫?) 状態変数 としてのエントロピーと揺らぎのエントロピーの関係も論点のひとつだな、、と いうところで昼になったが、そこでSSTにもどってしまった。Derrida - Lebowitz - Speer (DLS) をSSTの揺らぎの理論として解釈するという問題が頭を支配してしまった。
1次元格子気体モデルには、Sasa-Tasaki流のSSTの操作論的定式化が(いまのところ) できない。これはたしかに苦しいが、SSTがあると信じて自然に理解できることがあ れば、楽しい。そこで、DLSの結果をSST的に見やすいように書き直す作業をする。勿 論、論理的には、DLSが求めた揺らぎの自由エネルギーからSST-熱力学関数としての 自由エネルギーは決まることはありえないが、発見論的にSST-熱力学関数を推測する ことはできる気がする。こういう作業は大好き。
ローマグループが書いているDLSの示唆的な結果の「物理的解釈」はおかしいと思う。 (再導出の計算そのものはあっている。) 状態変数としてのエントロピーと揺らぎ のエントロピーの違いがはっきり意識されていないように見える。 経路LDのreview 部分はよく書けているので、勉強にはなった。
10/5(金)
色々な〆切がプレッシャーとして積もっているのだが、全てすすまない。気晴らしも 兼ねて、途中、進学内定者歓迎会に出席する。楽しそうな2年生がいることがわ かったのはよかったが、来週からはじまる講義の準備がまだ白紙であることを確認 することにもなり、プレッシャーも増えた。
10/4(木)
昼KISセミナー、夕方会議の合間に、今朝 (Chris に教えてもらって) down-loadした 論文をよむ。境界での化学ポテンシャル差で駆動された1次元格子気体のモデル (simple symmetric exclusion )の厳密解から密度に関するLarge deviation functional (= 別の業界用語では、揺らぎの自由エネルギー)が求められたようだ。 (Derrida, Lebowitz, Speer, cond-mat/0109346 および PRL 10/8 号 ) 1次元玩具とはいえ、この厳密解の影響はそれなりにある。 まず第一に、この(非平衡揺らぎの)自由エネルギーは、平衡のそれに単純な おまけがつくのではなく、予想されたとうり密度場のnon-local functional になる。 そして、補助場をいれてlocal form で書くこともできる。この補助場は厳密解構成 のなかででてきたものだが、「非平衡定常状態ではマクロ変数が余分に一個いる」 ということを示唆しているように思える。SSTはまさにそういうことを 主張しているので、この厳密解の表現にひかれたのである。この系にSSTがあって、 SST熱力学関数がつくれるなら、そこからEinsteinがやったように揺らぎの理論を つくれば、このLarge deviation functionalが得られるのでないか、、。しかし、 1次元系のSSTってかえってわかりにくいんだよな。。。ううむ。
Large deviation functionalは、space-time approach でOnsager-Machulup の 拡張で形式的には攻めれることはよくしられている。たとえば、Hamilton-Jacobi に帰着する、、っていうのも有名な話しで、何かできないかと、考えたことも あった。なかなか実際的に使えるようにならなくてあきらめたんだが、早速 ローマグループが、Derrida, Lebowitz, Speerの厳密解をHamilton-Jacobiの解 として構成する、という路線で再導出している。(cond-mat/0108040) このアプローチは、うまく考えれば摂動論的な攻め方もできるし、今後、例題研究 の論文が色々とでそうだな。(厳密解路線も行列の方法がつかえる限り、色々と 例題研究がでそうだ。)
物理としては、特定のモデルでの揺らぎのポテンシャルがわかることはたいして重要 なことではない。彼らは強調していないが、「非平衡定常状態ではマクロ変数が余分 に一個いる」ということが一般的に本当かどうかをはっきりさせ、その変数の物理的 な実体をはっきりさせることがはるかに大事だと思う。(Sasa-Tasakiの論文で強調し ていることだが。) 1次元モデルのSSTを考えることか、2次元モデルの厳密解をつく ることは、こうした流れの上では大事だよな。。。(ローマグループのアプローチでも 2次元解は簡単にはつくれないようだ。)
10/3(水)
driven lattice gas の非平衡秩序変数をみるために、格子を工夫したりするが もうひとつ。1次元系なら色々できるのだが、、1次元格子気体系でSSTとして 意味をもちそうな設定は、化学ポテンシャル差で駆動される系しかない。が、 粒子浴を押す力の操作的な定義ができない。(だから、林さんがやっているような 設定にしたののだが。) 定義ができない、、というのは系が物理的でないのか、 僕が阿呆なだけなのか、、、まだはっきりしていない。後者の可能性を追求 するも....ううむ。
10/2(火)
反省。
10/1(月)
疲れは完全にとれたが、作業ははかどらず、書類をちょっとさわったぐらい。(小心 者なので)書類が気になると、他のことが手につかず、書類をさっさとしあげるパワー もない。
大学院講義で「エントロピー概論」という訳のわからないことをやることになってい るのだが、困った。講義の全体像がまだ何にも見えていない。野心的には、Lieb - Yngvason と Shannon と Kolmogorov のつながりを捉えることをひとつの軸にしなが ら、エントロピーを包括的にみることを目標にしたいが、そんなものまだかけらも ない。(ほんじょう君と柳田君の7学期セミナー/Bコースの課題とも関係したはずだ が、彼らが未完のまま大学院生になったしなぁ。。)少しづつ頭を「そっち」にもって いかないといけないので、毎日少しづつ考えることにしよう。
藤崎君の日記(* 文献紹介は勉強になっています)にあった「パンダコパンダ」は、 僕が小学生のとき学校で上映会をやって、強烈に印象に残った。今、次女が繰り返 し繰り返しみており、音が頭に染み着いてしまった。(数年前は、長女がくりか えしみていた。) 昨日、高橋尚子をみていたことはおそらく関係ないだろうが、つ いさっき、「パンダコパンダ」にQ太郎がでていることを長女がみつけた。(こうい うのはきっと有名な話しであろうけど。)