9月30 (木)〜 10月1日(金)
原田君のノートは原論文たちよりずっとよみやすく、瘴気はわいてこないので、 格闘を再開する。林さんとざっと今後の展開の話をする。難しい問題にはこつこつ たちむかうとして、とりあえず、L¥"owen さんが都立大にくるまでに、 「こちらの知見のわかりやすいデモ」をつくる路線ですすむことにする。 中村君、大槻君と論文推敲のうちあわせ。
御手洗さんのセミナー:御手洗さんらしい鮮やかな話。(が、一方、その修飾語は 不満でもある、という率直な話をする。)次元解析のみせかたについてのもやもやは 金曜日の朝にクリアーになったので、 mail で書く(つもり)。
どうも僕宛ての mail が実際は僕に届いていない、という事象が一定の割合で 生じているらしい。 taro を何かのアドレス帳に登録をしている方は、すいませんが、 撤去して jiro だけにしてください。(該当する人で、これをみている人は ごくわずかかもしれない。しかし、「あなたの送った mail は届いていない ようです。」と僕がreply することはできないしなぁ。。。)
冬学期がはじまった。
9月29 (水)
ゾンビ論文の構成を考えようとしたのだが、景色がみえてこず、 おたおたするばかりで、全く非生産的な日であった。こういう日が あるのは贅沢なんだろう。
昨日の日記をみてくれたのか、名古屋の渡辺さんから、早速、LJ-MDの ノートが送られてきた。ありがたいことです。参考にします。ゲルに関する いくつかのことを北海道の田中さんに質問していたのだが、早速、メモが おくられてきて、現物も送っていただけるとのこと。ありがたいことです。 参考にします。射影演算子法に関するノートが京都の原田さんから送られて きた。僕がなげだした部分のフォローを丁寧にやってくれているので大変たすかる。 どうもNESS では、その形式が破綻している状況証拠は捕まえているのだが、 いかんせん理論の消化が全くできないので困っていた。ありがたいこと です。参考にします、、でなく、論点を完璧におさえて、破綻の証拠と これから進むべき正しい道をみつける。
もらってばっかりだな。論文 "Anomolous time correlation in two dimensional driven diffusive systems" の推敲は、10月中旬投稿を守るべく、着実に やっている。
9月28 (火)
なかなかタイミングがあわない日だった。大槻君のノートを読んで話にいこうと 思ったら留守で、大槻君がきたときは、別のことでばたばたしていて議論 しわすれた。先行研究の論文を読んで林さんに話に行こうと思ったら留守で、 林さんがきたときは、別のことでばたばたしていて議論しわすれた。 アポしていたわけではないので、そういう日もあるが、忘れ物をした気分。
今年度後半の色々な研究にむけての準備のひとつで、近斥力+遠引力 粒子系 をうごかす。(名古屋の渡辺さんがミルククラウンをつくろうとしていた はずで、パラメータをパクローと思って、web にいったら、論文にしてない ようだ。論文にしてください。僕も MD は論文にしていないので、 他人をせめれないが。)他に調べるのも面倒なので、適当に相互作用をいれて 300粒子くらいでアニメをみてみる。おお、2年前になんでこの系を しなかったのだ? 凝縮して表面張力をもちはじめるところの振る舞いは、 なかなか新鮮だ。つい熱伝導もさせてみる。おぎょ。「派手」ではあるが、 うーん。。。今はまだ熱伝導にたちむかう気力がない。
9月27 (月)
集中。集中。
9月26 (日)
都立大の国際会議は、日程的に参加がほぼ不可能なので、案内をみないまま だった。今日のぞいてみると、林さんが最近やっているのに関わることを 昨年やった L\''owen とか、大槻君がやっているのに関わることを2年前 にやった Cates が招待講演になっている。勿論、彼らの延長の研究をする のではなく、自分たちの方針で、対象とする題材やら問題設定やらで調べて いくと、意識したい先行研究として、あがってきたものである。うーん。 タイミングが悪かったなぁ。。
9月25 (土)
論文 "Anomolous time correlation in two dimensional driven diffusive systems" の推敲。3人が同時に推敲し、月曜日にすりあわせる路線にした。ありゃ、ちょっと まだ構成も甘かったか。しかし、気楽に、鼻歌まじりで、ばしばし赤入れする。
SST 論文のIntroduction のひとつの小節(非平衡統計におけるSST の位置づけ) だけで、上の論文より長いのだが、それをさらに長くしている。自分の書きたい ことの構成はかたまってきたのだが、やはり、中途半端になってしまう。月曜日 に文献調査して、田崎さんにもどす予定なので、そろそろ強制終了しないといけ ない。依然として腕をくんで考える時間も多いので苦しい。↑と様子がまるで違う。 気分をかえるため、ジャズを聴く。そういう趣味は全くないのだが、なんかうまく はまった。。。。かな。
9月24 (金)
朝、摂動演習セミナー:最後の計算のチェック。昨日の僕の計算は一箇所符号を 間違えていた。そのあと、論文の構成について。 ガウス過程に関する初歩的な知識だけを前提にして、レポート用紙30枚程度で、 2次元driven diffusive system の時間相関関数を摂動くりこみ群をつかって具体的 に計算し、物理的にも新しいことが主張できるのは、教育的題材としてもよい選択 だったと思う。論文(Nakamura-Otsuki-Sasa)は10月中旬あたりに公表する予定。
接触しない液滴:岩田さんの考えてきたことを聞く。流体の基礎や非平衡性の 基礎や話の途中にでてきた関連する研究などを話する。
降伏応力の微視的起源:大槻君の試みを聞く。なるほど近づいている気がする。 Cates らのschemactic MCT があるので、それより簡単にかつ明確に示さないと いけないのが、ちょっとつらいところだが。
長距離相関:局所揺らぎと長距離相関の分離にむけてのひとつの試みを林さん からきく。なるほど悪くない道かな。
仕事と熱に関する考察ノートを竹川君からもらう。休日によもう。
わずかにあいた時間で、SST 論文の introduction をうちだそうと思ったら、 ピンポイントで狙いすましたように芝君の襲来にあう。(* もう同業者と みなすので実名で書きます。)Derrida らの研究を理解しようとしている ので、Racz らの摂動の話やBertini らのfluctuating hydrodynamics の話を 紹介して、未来の可能性は、厳密解路線にとどまらない方向にある、という 私見をしゃべった。結局、introduction はうちだすのを忘れてしまった。
9月23 (木)
2次元driven diffusive system の時間相関関数:前回の演習セミナーで 発覚した計算間違いをちゃんと計算しなおし、明日の演習セミナーで議論 されるはずの残っていた最後の項を計算しておく。なんか手になじみが悪 いと思ったら、ひとつきぶりの計算になるのか。
SST論文のintroduction:やっと、自分の頭が「非平衡統計の全体像やその中に おけるSSTのいちづけ」を考えることになじんできた。集中講義の準備と同時に この節の草案を書くべきだったのかもしれない。
9月22 (水)
力の分割論文 は、 いったん忘れて、次の話にすすもう。
SST 論文のIntroで、非平衡統計の今までの研究を概観し、SSTの位置づけ を論じる節がある(予定)。田崎さんの草稿に僕の偏見を加えて再構成 しているのだけど、全くすすまない。はやい話、非平衡統計のちゃんとした review があればどれほど楽なことか、、とため息がでる。たとえば、 線形非平衡領域の変分原理について読める概説がない。(概説的文献は たくさんあるのだが、論旨崩壊になっているか、自明なことをもったい ぶって書いているか。)SST の変分原理とそれとは、基本的には、 相補的なところから出発しているのだけど、SSTを線形非平衡領域に 制限したときに無関係ではない可能性はある。しかし、それは、今の 話ではないのだから、いったん無関係なものとして、SSTの構成方針を 理解してくれれば十分である。しかし、ややこしいことに「熱力学の 拡張をえいやぁとやったあとで、線形非平衡領域の変分原理を出すよう な話」もある。僕らは、この「えいやぁ」の部分が可能かどうか、また、 可能な場合にその状況と条件は如何に、というところを問うているだから、 研究のとらえかたのレベルで、この手の話と僕らの研究は無関係である。 しかし、表面的な式とかは似ている... 。相手にしなけりゃいいか、、 と思い始めると、全部削除してもいい気もしてくる。おそらくその極論は 間違いで、たとえば、オンサーガーを正しくだして、視点の違いを明示する のは絶対に大事だと思う。。。等々。
頭がゆだってきたので、17ヵ月ぶりにMD を動かす。何もかも わすれている。ファイルがどこにあるかもわからない。とりあえず、 単純なアニメをみるところまでもどした。コロイド系にしろ、熱伝導 系にしろ、やっぱり、粒子系をもういちど徹底的にあらいたくなった。 (前回の粒子系との戦いは、私的にはたくさんの知見を得て賢くなったが、 論文を書かなかったという意味で、公的には敗北だった。)
学会のあとぐらいから mail の調子が悪い。昼間は、どうしようもなく、 イライラする。
9月21 (火)
4学期(2年冬学期)セミナーの題目をださないといけないので、最近、背景で ずっと考えていた。過去には、「チューリングの形態形成の原論文」とか 「バナッハ=タルスキーの背景と証明の完全フォロー」とかをとりあげた。 4学期だとあまり過激なのはとりあげれないが、色々調べながらでも、 何とかくらいついていけば、面白いことに到達できる、というのりは大事 にしたい。[5学期の Lieb, stability of matter とか、7学期の Lambalgen, randomness は、大いに過激だった。どちらも参加者がすばらしかったので、 とりあえず追いきって、最低の消化までは到達したが。] 今回は、 なんとなく生物がらみを候補にしていたのだが、土壇場で ひっくりかえして、"The themodynamics of computation " にしてしまった。 Bennet の有名なreview である。最低でも、読破すれば、表面的な 問題意識を楽しめれる。かつ、細部にこだわったときには自由自在に展開できる 可能性がある。希望者はゼロかもしれないけれど。
卒研の準備でみやまくんがくる。卒研は、調べてもどこにも書いていないことに 対して、問題設定しながら、その答えを探り、考えを深めていく経験を積む場だ と思っている。課題は、本人が面白がれるものならなんでもいい。何となくでいい から興味のありそうな方向は何か、とたずねると、「混相流あたりの面白そうな 現象をとっかかりにできれば」となかなか渋いところをいう。とっさに思いついた 候補を並べる。そこから選んでもいいし、そういう感じで他の課題でもいい。 まずは、頭と手と足を動かす練習である。(文献に書いてあることを理解すること と小さくてもいいから自分で見出すことの差を味わうことが、研究者への第一 歩だと思う。)
Hayashi-Sasa, decomposition of force fluctuations far from equilibirum, の最終チェックをして、林さんが投稿をおえた。現段階では格別の思いがあるが、 客観的には、この成長のゆくすえをみないと価値はわからない。早速はじまっている 次の手の話をきく。早いテンポにおいつくために、帰りの電車で、参考文献を読む。
9月18 (土) 〜 20日(月)
先週、久しぶりにあった同僚が疲れているようにみえたので、「睡眠4〜5 時間くらいで頑張っているのですか?」と聞いたら、こともなげに、「そう ですねぇ。3時に就寝できることはないですね。」とおっしゃった。僕も、 21世紀にはいったあたりからは、平日は5〜6時間睡眠で、休日に長めの 睡眠をとる習慣になったが、5時間睡眠がつづくと明らかにバテを感じるので、 4〜5時間睡眠というのは尋常ではない。この同僚の活動度の高さは、よく 知っていたが、なるほど、それを支えるのはこういう生活にある のか、、とあらためて感心した。
もちろん、睡眠時間が少なければいい、というものでは決してない。論文書き や事務的な仕事や単純計算は、睡眠が少なくともなんとかなる。しかし、方針 をきめたり、アイデアをねったりするのは、さわやかな朝の気分のときがよい。 そういう瞬間とパワーでのりきる時間帯を切り分ければいいのだと思う。
9月3日の試験(風船問題)の採点:満点は各クラスにひとりづつでた。 (僕が試験を受けても、時間内で満点はとれないだろうし、満点と 90点の差を嘆くことはないと思う。)点数分布はねらったとおりに、 80点あたりにきちんと崖ができて、崖をこえた人数の割合も3割以上 4割以下にぴたっとはいった。まぁ、10年もやってりゃ、何でもないか。 採点しながら出題の仕方に不親切な点があることに気がついた。これは熟 練者とは言い難いので、要反省。火曜日に、レポート点とあわせて成績をつけ、 大学院関係の教務とあわせて提出すれば、今月の事務的な仕事は終了になる。
さぁてと、論文推敲の仕事もあるが、研究もすすめたい。射影はぐらぐらする ばかりなので、原田君のノートを待つことにして、多体問題での力の分割に むけて準備をはじめておこうか、、、と考えていたら、田崎さんから "Sasa-Tasaki 論文の公開は最優先事項!”というmail がとんできて、 宿題であったIntro 改定案の作成にとりかかる。
9月16日 (木) 〜 17日(金)
射影の方法:論文から瘴気が漂うように感じて、全く思考がすすまない。 いったんあきらめて、学会で原田君から聞いた案をまるのみし、その数値 検証を先にする。聞いたものが勘違いでなければ、成立していないように みえる。どういうことか、と外を歩くも全くみえてこない。数時間あまり別の 仕事をして、気分の悪い状況を説明していると、なんとなく考える方向がみえた。 わかれば単純なことだ。これが正しい道なら、射影の方法とHayashi-Sasa の分割をつなぐことができるはずだ。具体的な計算を後日やってみないと 確定的なことはまだわからないが、全体像がくっきりしてきたように感じる のは心地よい。
蔵本退官記念論文を再投稿し、Hayashi-Sasa 論文(力の分割)の最終校正 にはいる。射影の方法への言及を急遽追加する。
岩田さんとの話のなりゆきで、「合体しない液滴」の論文たちをひきだしから 出すことになった。この現象が表面的に面白いのは間違いないが、さて、どこ まで深い可能性があるのか、しばらく楽しみだ。その話をしたあとで、 林さんによる、論文"depletion forces in nonequilibirum "の追実験アニメを みていると、同じ問題にみえてくるから不思議だ。(林さんのこの追実験は、 Hayashi-Sasa (力の分割)の次の手の準備である。)
9月15日 (水)
手帳には、採点日として予定されているが、予定変更で、射影関係の 整理をする。実は膨大な数の論文がでているが、途中から、明らかな形式 ナンセンスに陥っている。物理としての新しい結果を提示する命題がないまま、 自明な恒等式とうやむやな論旨展開で論文が書かれ続けているのは、Jou さんたち の拡張熱力学を思い起こさせる。勿論、1970年代前半までは、議論の有様が手に とるようにわかる。以下、論点整理。
例の恒等式は正しい。分布関数経由で線形問題に帰着させることにより、その恒等式 が色々な問題で使える、というのも正しい。ただ、どこにどのように射影させるかに よって、ノイズの割り当てが違ってくる、というのは至極もっともである。このこと を明示的に指摘しているのは、Kawasaki 1973 だった。[Mori-Fujisaka 1973 も (Kawasaki さんと同じ精神の)非線形射影の方法も提示しているのに、最初の1965 を優位にみているような歯切れの悪い書き方になっている。] そして、問題の核心 部分は、まさにそのノイズの割り当て方、つまり、どこにどのように射影するか、 であって、それに対する原理については、 不問にされている。(恒等式の段階では、等価だからややこしい。)たとえば、 「ある変数の初期時刻との相関がきれるのがノイズである」とか 「ある変数の勝手な関数の初期時刻との相関がきれるのがノイズである」とか.. を外から決めるだけでは、定義のままなのである。そこで定義されたものが 測定量レベルで正しいものを与えるかどうかが問題である。だから、その定義 を与えるだけでなく、検証命題をだして白黒をつけないと意味がないのである。 その考察がない! (平衡の場合には、FDR が全てなので、それを考える必要がなかった。) Hayashi-Sasa は他の方法で明示的に決められた散逸や力を正しく 与える分割条件をあたえているのであって、まさに、射影演算子の方法で不問に されているところに切り込んでいるのである。
こういう位置づけで、Hayashi-Sasa と射影の方法との関係をもう少し考えていく。 まずは、学会で聞いた原田君のアイデアを検証することからだが、何度も気持ち悪く なって手がうごかない。このあたりから研究再スタートするのはなかなかよい 気がする。
9月14日 (火)
会議。書類関係でミスがあり、事務棟にであるくこと2回。 図書室で射影関係の文献を複写する。
9月13日 (月)
学会2日目:ゲル・スピングラス・生物系をちょこちょこ。ただ、昨日の 議論の論点を消化するため、ひとりで考えたり、議論をしたりしていたので、 実際的に講演を聞く時間は短かった。深夜に自宅に到着。
9月12日 (日)
学会初日:朝、非平衡基礎論というセッション名になっていた。なかなか いい名前だな。(分野としての権威のかけらもなく、たとえば、そういう分野 名で職やPDがあるわけでない。)そのセッション、今回は、なんといっても 林さんの発表が見せ場であっただろう。[自分も連名に加わっているので 自我自賛になるが、まぁよいでしょう。] 内容は勿論だが、構成もよく 考えられていたし、発表もほぼ完璧だった。(よく練習していたのだろう。) 「会場の9割の人が射影の方法との関係を疑問に思ったはず」と間接的に聞いたが、 その場でその質問はでなかった。その質問に関して、理解している部分と 理解していない部分にわけて、答えはあらかじめ議論していたので、 誰かが聞いてくれればよかったのだけど。 で、その理解していない部分に関係することについて、原田君が相当に考察を すすめていることを昼食時に知ったので、午後全部を議論にかえた。これは、 短期的に大変有意義で、論点整理にはいる。
9月11日 (土)
学会前日:9月11日夕方の羽田から青森への飛行機は、学会号だった。 これだけ群れをなすととさすがに気持ちがわるい。
飛行機で一緒になった田崎さんらと夕食をたべ、ホテルにはいる。 最終準備をおわらせて布団にもぐると、隣の部屋から詩の朗読の ような声が響いてくる。壁をたたいて静かにさせようか、、と一瞬 思ったが、どこぞの修士の学生がはじめての発表に備えて懸命に練習して いるのだろう、、と思うと、うれしくなり、暖かくみまもる。 (内容を聞いてやろうと耳をたてたが、中身まではわからなかった。)
9月9日 (木) 〜 9月10日(金)
今週中の仕事をあれこれこなしながら、学会の準備も9割方終了。 残りの一割は明日。
ひとだんらくついたので回想モード。実質的に、長期にわたって、 研究を休業することになった。もちろん、有益な議論をしたり、 論文草稿をかいたり、摂動計算をしたり、文献を調べたり、 などのルーチン的な時間は幾分かとれたのだが、本当の研究 として頭を使うのは、随分とごぶさたしてしている。脳がよじれる 感覚がないと研究した気分にならないのは、病的かもしれないが、 じっさいそうだと思う。
最近では、短時間ではあったが、7月13日の前後の脳みその動きかたは、 研究脳だった。発見した林さんは、そのまさに見つけた瞬間に、脳みそに 未経験の回路が生じたくらいの衝撃をうけたはずなので、最大瞬間風速は、 発見者にかなうはずもないが、その前の可能性の模索やその後の収束化 のときも、明らかに脳のつかっている部分が違う。研究とは、こういうものだ、 と経験してしまうと、ルーティンでみえるものには全く喜びを感じない。 もちろん、ルーティンをつみかさねないと、研究はできなくなることを 忘れてはならない。しかし、ルーティンはルーティンでしかない。 こんなあたりまえのことの認識も、風化しているように感じることが それなりの頻度である。そういうのを見聞きしたときは、怒りを内に ためるようにしている。(親しい人たちには、愚痴ったりするけれど。) 怒る必要はなく、自分は自分の進む道をいけばいいだけだが、聖人君子ではないし、 聖人君子のふりをするのはもっと嫌なので、感情の赴くままでいいのだろう。
こういうことを書くのは、研究脳の停止を恐れているのかもしれない。 とくに、8月末から今日までは、時間的な余裕もなく、精神的にもしんど かったしなぁ。青森学会おわってから2,3日はもうちょい忙しいが、 それがおわったら、研究に戻ろう。(論文は当分のあいだ書きつづけるけれど。) 研究脳に刺激をあたえて、そろそろ活性化させないと死んでしまう。
9月8日 (水)
大学院入試口述試験。いままでで一番時間がかかった。休憩や会議を いれて終了まで10時間弱。稲垣さんからD論をうけとり、雑談。速攻で 論文手入れ(その1)。帰宅後、論文手入れ(その2)。
9月7日 (火)
朝、摂動演習セミナー。3人とも計算を間違えていた。あと、論文チェック やら会議やら論文チェックやら。
9月6日 (月)
教務関係は、今週締切り分をおわらす。残りは来週に。蔵本退官記念論文改訂は、 やっとひとくぎりがつけて、来週中には再投稿できそう。稲垣さんのD論関係は、 僕がだす書類は整ったし、あとは最終提出稿をもらって会議で説明したら、 僕の役目はおしまいになる。Hayashi-Sasa 論文(力の分割)は、参考論文を探す。 再度赤いれをすることになった。Nakamura-Otsuki-Sasa 論文(摂動RG) は、先行研究の説明をたしておく。学会前でみんな忙しいし、今週中にかたちに するのは、ちょっと無理かな。いうまでもなく、大学院入試のまっただなかである。 先週が筆記試験、今週が口述試験。
9月5日 (日)
どうも仕事量の評価をまちがっていて、全く予定どうりにすすまない。 9・14までは、色々なことが重なっているので、仕事の配分をうまく しないといけないのだが、うまくできていないようだ。とにかく優先 順位の高いものから何とかしようとしているが、たとえば、学会の準備 をする時間など、どこにわりあてればいいのかわからない。自分の 死んでいる論文を復活させる計画はまだ0行だし、SST 論文のintroduction 改訂案も0行のまま。これらに手をつけるのは9・15以降になるのは、 すでに確定していて、せめて蔵本退官記念論文の改訂くらいは9・14 までにすましたかったが、これもむりっぽい。うーむ。
9月4日 (土)
前半:摂動論演習論文 (Anomalous time correlation in two dimensional driven diffusive systems, by Nakamura- Otsuki-Sasa) の雰囲気づくり。 だいぶ形がみえてきたので、10月上旬には投稿したいが、実は、まだ計算が 完全には終了していない。計算が終わるころには、論文草稿もできて、 あとは推敲だけ、という風にしたい。論文草稿を書くのも演習の一部に いれているので、書きたい部分は締め切りを自己申告して書いてもらっている。 (演習の本体も、担当などきめずに、計算したい参加者がかってに計算する だけのセミナーだった。)
後半:ひたすらコロイドの文献あさり。だいぶ数字の感覚がなじんできたように 思う。ありとあらゆる実験結果を全部頭にいれるつもりでつめこむ。(体系的に 整理しようなどとは微塵も考えていない。まずは、全部つめこむだけでいい。) もうちょいか。この作業を通じて、レーザーを使ったコロイド実験の進展のはやさ をあらためて感じた。原田君におしえてもらっていらい、ちょこちょこ 文献もあつめていたが、こりゃ、NESS の格好の実験台として標準的になる時期 は思ったよりもはやいかもしれない。(コロイドをつかって NESS やろう、、 という文献もちらほらある。ただし、NESS の何をやるのか、が絞れていない。)
そろそろ疲れてきたので調査終了。電荷コロイド以外だと、力が弱すぎて 流体効果とかが効いてくるので、まず電荷コロイドに絞る。論文で問題にして いる一般的なモデルは、これで十分に実現可能だが、「周期ポテンシャルの 周期より相互作用長が大きい」、という解析した条件を満たす状況を探るのに 時間がかかった。周期ポテンシャルをレーザーでつくるとき、周期を1マイクロ より小さくするのは(いまのところたぶん)できない。他方、粒子サイズより 長い遮蔽長を生み出すように、溶媒のイオン濃度を制御するのは困難らしい。 (とくに大きなコロイドになればなるほど大変。短くするのは簡単。) 粒子サイズが1マイクロを超えると測定に時間がかかりすぎる。
「著者は現在の科学では実現できない、というかもしれないが、 それならそれをみせて実験を刺激することが大事である」というreferee 氏の意見に従い、そういうことを書くのであろう。(あ、referee report は英語ですが、勝手に意訳しています。)ちなみに、(適当な)電荷コロイド に対して、数kTオーダーの振幅で長さが10ナノ程度の周期ポテンシャルが できたら、長距離相関の影響は十分に検出できそうではあるけれど。
自分の書いた日記をよんでいたら、.........磁気ビーズの相互作用長 ってなんとなく長い気がするけれど、どうなっているのでしょう、、 と自問してしまった。強さも制御できそうだし、調べてみるか。 終わらないな。
9月3日 (金)
「球状風船を異なる大きさまで膨らませる。風船の口をそっと接触させて、 空気が洩れなく二つの風船をいききするようにする。もし、ふたつの風船が 同じ大きさになったとしたら、第2種永久機関ができてしまうこと示せ。」 これが、今日あった、今年の熱力学試験の問題。本当はこの文だけで問題に したいのだけれど、駒場の場合、進学振り分けと関係するので、これを13個の 小問にわけて、80点以上が3割くらいになるように工夫した。 ざっとみたかぎり、まずまずの出来だが、完答は難しかったかな。
夕方から、蔵本退官記念論文改訂にむけて。 昨日の気分は、よろしくなかった。近い将来、コロイドをつかった 実験系で研究しようと思うことがいくつかあるし、この機会にコロイド 相互作用について、ど素人から半素人くらいになろうと決意し、 (中村君から借りた)イスラエルアチヴィリの速読に集中する。 多少気分がわかってきたところで、今度は、preprintたちを かたっぱしからみる。何本かdown-load して読む。非平衡2粒子系 の長距離相関の大きさのオーダーがどれくらいのものか、なんとか 評価できる気分になってきた。ここまで約2時間。
ところで、その論文たちのなかに、まさに、force decomposition の次のターゲットとしてやろうとしていた系の数値実験をみつけた。 力の分解の視点はないが、設定はそっくりだし、現象としてそこそこ 面白いものもみつけている。これは非常にラッキーだ。
9月2日 (木)
どうも、蔵本退官記念論文改訂の気乗りがしない。その原因をつきつめるため、 腹をすえてreferee report をよむ。基本的にほめまくっているのだが、 なんかひっかかるので、その正体を探る。わかった!ほめている文章を削って、 学問的な状況理解の部分から背景を推測して、指摘に関係する部分をいいかえる と、「コロイド粒子間には、色々なタイプの力が働くのは承知のことと思うが、 はたして、著者のいっている状況が本当に実験で設定できるのかどうか、 私には疑問に思う。著者ができると主張するなら、現実の数字を並べて証拠を だしてみよ。それがだせたら、論文として受理だ。」。。おお、これなら、 レポート全体がかもしだす雰囲気にぴったりだ。明示的には、まったく、 そう書いていないのだが。どうりで憂鬱なはずだ。実験にかけることは、 とりあえずは、念頭にはおいていないのだが、まぁ、それが(一般論として) 必要だ、というのはわかる。ためいきをついて、Russel の colloidal dispersionsをぱらぱらみる。
9月1日 (水)
朝、机に上に予定仕事をつみあげて、かたっぱしから処理する。 ひとつ仕事をおえるたびに、mail で添付文書をおくる。夕食までは 順調にすすんだが、蔵本退官記念論文の改訂でとまってしまった。 referee 氏の指摘を要約すると、(1) 実験との対応をもっと具体的にかけ、(2) 非平衡統計の模索に関する議論での large scale fluctuations の short one からの分離を具体的にかけ、ということで、もっともな要求 ではある。しかし、答え方は簡単ではなく、即答とはいかなかった。 頭がゆだってきたので、今日はあきらめて、これを書いている。 このあと、まだ推定時間2時間の仕事がある。ふー。