日々の研究

日々の研究(リスト)

7月31日 (土)

ときどき咳こむが、体調はだいぶ回復したので、基本的には研究日にし、 木曜日に浮かび上がってきた筋を具体的に検討する。ひとことでいえば、 非平衡条件下での力の分割における林仮説(=特定のモデルでは証明ずみ) をより一般的に捉えるために、それを時間反転に関するある性質と結び つけようとする計画である。雰囲気的にはいかにもありそうだが、具体的 にしようとすると、やはり、途方もないように思える。とりあえず、 基本事項の整理から。

7月30日 (金)

エンジン50%くらいだが、今日〆切の諸事を片っ端からやっつける。 (ふたつ忘れたことに帰宅してきづく)。途中、稲垣さんと議論。途中、林さんと 議論。途中、金子さんが「元気かぁ....?」と訪問してくれる。「元気ではあり ません。ごほごほ。」とソファーで横になったまま話をする。寝ていたのではなく、 横になって論文の直しをしていたのである。

昨日の昼、生協で偶然あった橋本さんと話をした。橋本さんは、超弦理論の研究者 として活躍されていて、普段は会う機会も少ないのだが、実は、橋本さんは、 僕が京大助手時代に担当した物理数学演習を履修していた。橋本さんの学年は、 まとまりがあって、飲み会にも誘ってくださったし、僕が京都を離れるとき には、送別会をひらいてくれてプレゼントまでくれた。ちなみに、橋本さんの 日記のサンタバーバラ篇は大変面白い。最近、日記リストにも加えて、定期的に みるようにしているけれど、駒場では更新回数がすくないので、「もっと 書いてよ〜」が、昼の話の中心だった。

ついでに、、、でもないが、日記でも同じみの、一宮さんや大信田さん、(土井研助手 になられた)山上さんも僕が担当した物理数学演習を履修していた。(佐藤も登録だけ はしていたが、僕が単位をださなかったらしい。) その当時のそれぞれの雰囲気を いまでもよく覚えている。

ところで、僕が学生のとき、演習の出席率はそこそこだったが、でるときは、 自分が解けない問題について、「問題設定が不適切だ。出題の意図がわからん。」 といちゃもんばかりつけていた。理論の基本的なことについては理解していた つもりだが、例題にあたって感覚をつかむ訓練にかけていたので、状況を懇切丁寧 に説明してくれないと、ちんぷんかんぷんだったのだ。そういう意味では偏った 勉強の仕方をしていた学生が悪い。こういういちゃもんつけの学生相手に、 担当された教官たちが、おろおろと答えている様もはっきり覚えている。

その教官のひとりが、国立天文台の観山さん。僕が東京にうつって何年かたっ た頃、何かの会議でたまたま観山さんと隣合わせになった。挨拶しないといけない と思い、「もうお忘れかもしれませんが、京大の電磁気演習でお世話になった ささです。」と話かけた。「あ....あぁ、覚えています。」。。で会話終了。 実際、電磁気演習は、後半になるとほとんど欠席だったし、本当に覚えていたか どうかはわからない。

さて、、今年、僕が担当する卒研生は、観山くん、という。僕の日記では、 卒研生から実名で登場することもあるので、これからも名前がでることが あるかもしれない。

7月29日 (木)

早朝から業務が色々。予定より時間がかかったため、研究する時間がとれないまま 夜になってしまった。今日、明日中に、林仮説を高いところから位置付けるための 具体的課題をみつけられないようではだめだな....と帰り間際に話をする。散逸力 と保存力の分離の仕方、というとすぐに第2法則的なことに頭がいってしまうのが よろしくないのではなかろうか。そういう考えを捨てる、と宣言することが大事で はないか。捨てるからには、代案をださないといけない。何が代案になりうるのか? という転回後は、なかなかよさげな筋がみえてきた。この筋の検討を2、3日 やって、本物だったらどんどん面白くなってくる。

蔵本退官記念論文は投稿した。cond-mat へもそのうちに up する予定だけれど、 エンジンが30%くらいしか動いていなくて、かつ、処理しないといけない事項が 次々と湧いて来て、当面、時間的/体力的に余裕がない。

7月28日 (水)

やけくそで大学にいく。(通勤は苦しい。) 朝、作業、昼会議、その後作業。 昼の会議の後半あたりで、明らかに熱がでている自覚はあったが、 気にしないことにする。作業終了後、議論1、議論2、議論3。知らぬまに、 鼻はよくなった気がする。咳はひどくなった。頭痛がはじまった。元気なら、 10時過ぎの帰宅後、食事/風呂のあとビールを飲んで、2時間〜3時間くらい 端末に向かうのだが、さすがにしんどいので寝る。でも、今日から薬をやめてビール を飲む。

7月24日 (土) 〜27日(火)

土曜の朝、ほんの少し体温も高かったし、鼻の薬をもらいにいくつもりで、 病院にいった。帰宅して、普通に論文草稿をいじっていたのだが、夕方くらいから、 急にしんどくなった。 あまりにおかしいので体温を測ると、39度を越える 高熱状態になっている。日曜日は38度線をいったりきたり、月曜日は37度 後半で安定状態になり、火曜日は37度前半で安定状態になっている。 夏にこれほど長く体調不良になったことはないと思う。(最初に熱をだしてから はちょうど2週間。) まったくこまったものだ。ストレスのせいか? 思い当たる節はいくつかあるが、そんなものはいつも何らかの形であるもので、 今に特別でもない。薬があわなかったのか? それはありえるかも。 病院なんぞいかずに、ビールを普通に飲んでたら、とっくに治っていたかもしれない。 年齢の近い同僚が次々と病に倒れているのを聞いて、精神的連鎖反応 をおこしたのかもしれない。

とりあえず、蔵本退官記念論文だけはちょこちょこ手をいれる。 もう投稿してもよいところまで最低限の整備はしたので、 倒れることがあっても投稿〆切(7月末)は守れるだろう。

気晴らしにもうちょい: 今朝の夢で「おまえは確率変数 X である」と 何者かにいきなり宣言されてしまった。 とっさに、X=ささ1 である確率 がp_1 で、X=ささ2である確率がp_2で... 足したら1になるのか、、 なるほど! と納得した。そしたら夢の中の僕は、ふにゃふにゃになって しまい、はっきりした実体を失ってしまった。ふにゃふにゃの僕が 「波動関数じゃないぞ。素朴な確率変数だぞ。」と、いいながらのたうつ ところで目が醒めた。うーん、いまいち物語に発展性がないかな。 起きている今、その後の話を強引につくれなくもないが。

7月22日 (木) 〜23日(金)

鼻が悪化、咳もとまらない。机の上のティッシュはすごいことになっている。 来週も普段の忙しい週くらいの予定が色々はいっている。さ来週から、短い 夏休み日程になる。さ来週からの仕事は、基本的には、論文書きにあてる予定 にしている。どの論文を書くか、金曜日の朝に指をおって整理した。たまには、 そういう時期があってもいいであろう。7月に予定していたみっつの論文たちは、 それぞれ終期状態にあるので、8月上旬にはどれも公開されるでしょう。

7月21日 (水)

pure Hamilton 系から NESS をみる計画:モデルの選択を悩む。 (前に熱伝導やっていたときは、熱伝導状態自身について知りたかったので、 境界では確率をいれたが、今回は全て力学でやりたい。) 形式論の限界を はっきり意識し、あらたに理論化可能な問題設定を明確につくりたい。 大筋を朧ろげにはみているが、研究にするにはそれをどこまで絞りこめるか が鍵である。不毛な空まわりをさけるため、どんどんプログラムも書いていく。 ふーむ。今日のところは、自明なことの確認にとどまり、いいアイデアはない。 ともかくはじまった、、ということ。

Hayashi-Sasa 論文改訂版への手入れ。時間尺度がのびてくると、焦点をあわす だけでも遅延効果が生じる。一度、長時間集中して、全体をみなおして、 いっきに処置すべきかもしれない。

林仮説の実際的な有用性を最小労力で最大にみせるデモを探す、、という姑息な ことも考えている。真の理論的な深さは、時間をかけないとわからないけれど、 深くなりうる理論は、いままでいえないことを簡単にいってみせれることも 多いのだ。

7月20日 (火)

通勤途中の渋谷の乗り換えで、思わず水分補給をしてしまったが、 すでに信じがたい気温になっていたらしい。今日の東京は39度5分まで あがったらしい。通勤以外はずっと屋内いいたので、体感していないが。 94年8月8日の京都にて39度8分まであがったときは、屋外にしばらく いたので、今でもよく覚えている。

午後は、田崎さんの「DLG定常分布の高温展開」。すばらしく整った形に整頓し、 かつ、遷移ルール依存性もふくめて、明快で具体的な結果まで到達している。 てっきり高温展開と低密度展開をくみあわせるのかと思いきや、低密度展開は 最後まででてこずに、巧みな算数操作で密度に依存しない閉じた表現をだしている。 これには驚き、定常分布の基本的性質について、 僕(ら)は何ひとつ知らないのだな、、ということをまたあらたに学んだ。 [これに何かしらの意味が隠されているのではないか、、などと深読みを 夜中にはじめる。]

摂動論演習セミナー: 最少の素朴な計算から非自明なことを主張するとき、 仮定は仮定として明示した素直な論旨をくみたい。理論をきちんと提示したいなら、 系統的な多体の考察までしたい。視点がさだまらない中途半端な理論化はダメだ、 ということを意識したうえで、簡単で素直を論旨を組むはなしをする。 系統的な話は学会以降だな。それまでに論文も書こう、、と。

7月19日 (月)

6時過ぎにおきて、仕事モード ON。

昼は、寝っころがって考えごとをしたり、プールにいったり。

昔、散逸係数(抵抗)を大きくするモデルは簡単にできるが、それを 小さくするのは難しい、、という事実がありそうなことは、経験から学んだ。 この背後にある理屈について、考えてみたけれど、なかなかいい答えが わからない。第2法則チックだけど、第2法則ではないようにもみえる。 [温度をあげるのは簡単だけど、さげるのは難しい、という素朴な経験は、 熱力学第2法則と関係している。]

7月18日 (日)

ゆっくり再始動。林仮説からすぐにでる測定量間の一般的な不等式がある、 と教えられる。お、たしかにある。で、これは昨年僕がしめしたものだ、 というが、僕には記憶がない。絶対に僕が示したはず、と僕でない他人が 強くいうので、思い出そうとする。

いつものように風景からたどる。9月上旬のくせに30度を越えたあつい日、 白板に書いていた式を思い出しながら歩いていた。。そこにでてくる式は.... ちがう。そのあたりではない。時間をもうすこし遡る。夏祭で娘たちが金魚を すくってきた。そのための水槽を買いにいって、帰宅してすぐに紙の裏に書い た式は...。あ、これだ。 拡散係数と易動度の綺麗な表現を生かして、誰もが知っている関数不等式を つかってだした。そこには、物理の法則らしいものは何もつかわないし、 そのモデルでは正しいが、とても一般的とは思えないので、そこでとまって、 忘れてしまったのであろう。

いまや、その測定量間の不等式は、林仮説から一発ででる。しかも、その仮説は、 かなりひろく成立しそう。たとえば、分子モーター模型でよく使われるぱたぱた ラチェット系でも、(紙にかいて確かめていないが)、間違いなく成立するだろう といえる根拠はある。佐々木さんは、そのラチェット系で 測定量間の不等式 予想(これは、Θ >T 予想 と等価)をたてたが、結果としては、その不等式には 反例があった(= 春の学会での佐々木さんの発表) 。林仮説からでる正しい 不等式は、それを微妙に修正したものになっている。これだけでもすでに有用 ではないか! 意味を考えながらゆっくりすすもう。

7月17日 (土)

熱はないと感じるが、風邪の終期の典型的な症状がでているので、 体調を整える日として、基本的には休養する。

娘のパソコンから完全に離れて作業できるようにする。 机の位置をかえ、LAN ケーブルを隠した配線をする。自分のパソコンは、 結局、Windows にした。必要なものを install できる手数の少なさを基準にした。 新しい mail の使い方にもだいぶなれてきたが、mail を書くのに emacs-like なことが使えないので、編集が必要な長いmail は書きにくい。 (添付ファイルを乱用することになるのかな。)

気のむくままに、論文たちをさがす。林仮説に類似した話が情報科学や 統計学の方にもあるような気がしたからである。(朝おきたときに、 具体的なことが頭をよぎったので、それを調べるという即興的な動機も あった。) ついでに、射影の一般化の方向の研究たちもスキャンしてみる。 少しだけひっかかるものはいくつかあった。まぁ、あせることではない。 明日、技術的なことを真剣に検討すれば、(間違いや無意味性も含めて)、 色々みえてくるだろうし。

7月16日 (金)

体調は完全になってなかったが、夏学期最後の講義にいく。朝のうちに所用を すましたが、講義がはじまる前には、体温もあがってしまい、しまったかなぁ、、 と思いつつ、強行突破。結果、体調悪化してしまったが、仕方ない。

夜から 新 mail system に移行。僕にノート等をファイルでおくってくださる方は、 今日から、添付ファイルを歓迎します。(いままでは添付の方が面倒だったし、 場合によっては読めなかった。)

7月15日(木)

熱がさがらないのでセミナー他をキャンセル。 火曜日にLAN ケーブルをかってきたので、ADSL を分岐させて、まくらもとの ノートパソコンに研究室の計算機環境が常時接続されている。(ケーブルが部屋 の中を這うのは危ないので、無線にすればよかったかな。値段が全然違う ので、とりあえず有線用のルーターにしたが、すでに無線用のが主流かも しれない。) 仕事をするためにおいたのではなく、 今日の昼に、web server や mail server が切替わるので、 どんな様子になっているのをチェックするためにおいた。 (15:30現在、まだ、mail server のきりかえができていない。。 僕はそういう変更に対する柔軟性がないから、びくびくしている。)

昨日、 森論文のintroduction を18年ぶりに読む。当時、はっきりわからなった諸問題 は、いまは皮膚感覚的にわかる。Kirkwood の問題というのは、昨年、DLG の解析で、 みをもって悩んで、未解決のままの奴である。当時いだいた違和感もいまは完全に 言葉にできる。"random force を分離するのに導入した内積の妥当性は何 によって保証されうるのか?" に尽きる。形式的な空間をもちこんで「射影」 することはいつでもできる。そこに横たわるはずの基本的な問題は、 (i) 測定可能量までもっていったとき、その空間の設定は(経験的にも) 正しいのかどうか? (ii) 正しいならそれをどう理解するのか、ということ であろう。.... 等々、昨日のうちに書いたが、今日はここまで。

7月14日(水)

昨日の林仮説の検証をおこなう。(林さんとmail で連絡をとりつつ)、数値的には 等式成立の1%程度までおさえたが、そこからさきは Langevin 系の数値計算の 工夫がいりそう。うーん、、とうなっていると熱がでてしまった。。いつもの年 よりは、熱がでた回数がすくなめで、久々だな。深夜、「成り立つ」ときめて、 (布団のなかの暗算で)証明をはじめる。あ、たぶん、できた。7/15の朝 ノートに書きなぐってみると、いけてそう。(まだ熱がでているので清書は7/16?) fluctuation theorem や Jarzysnki equality と同じく、成り立つことがわかったら 示すのは難しくない類のものか。さてさて.... この仮説は、言葉でもいえる非常 に示唆的なかたちをとっているが、他の問題の階層移行の場合にもかかわって きうるものなのかどうかをみきわめることが次の課題か。

7月13日(火)

粗視化にともなう力の移行問題:ある自由度を消去したことにともなって、 「散逸的な力」と「(局所)保存的な力」が有効的に生じる。平衡の場合、 カノニカル分布とFDTのおかげで、原理的にはそれぞれの力がどうなるかは わかる。(簡単な例題で計算できる。) ところが、NESS の場合、単純な 粗視化をしても、力の配分まではきまらない。これをどうするのか、という のに対して、動くポテンシャルの応答をprobe につかえば、とりあえずの 分解ができる、というのが昨夏の結果であり、PR E69 066119 (2004)に 掲載されている。しかし、力は間接的にもとまっただけだったので、 その論文の主眼は有効温度の解釈にあてた。そこで、論文でもとめた 「力の分解」をポテンシャルの応答 --> 有効温度 というパスでなく、 直接議論することができないのか? というのが、ひとつの問いである。

もっと明示的には、つぶされる自由度が粒子に及ぼす力の時系列が あたえられたとき、それを時間で粗視化し、「散逸的な力」と 「(局所)保存的な力」と「ランダムな部分」にわけれますか? ということだといってもよい。とにかく、具体的に分解の仮説をだして、 力を計算してみて、昨年のポテンシャルの応答 --> 有効温度 経由での 結果を再現すれば勝ち、という風に短期的なゲームのルールをきめた。

(森理論に代表される)射影の方法ではないか....と答える人もいるだろうが、 そう甘くないから問題で、すぐに思い付くものは、林さんの速攻チェックで つぶれた。 僕もいくつかの案を検討したが、全然みえてこない。難しい。 やはり、やくざな問題設定だったか、、と思い始めていた。

と、会議の直前に、「ある仮説でいけるかも」という一報が林さんからはいった。 会議と会議のあいまに、状況をざっと聞き、別のパラメータでもみたい、 と伝え、会議終了後にその結果もいけていることをきいた。「ほんまかいな!!」 帰宅してから、自分でもたしかめる。たしかに「希望がもてる数字」をだしている。 緊急につめないといけない。

もし、林仮説が本当だったとして、その物理は何なのか? こじつけてきな ことはいえるが、まだわからない。森、川崎の射影の方法とも基本的な精神が 違うようにもみえる。林仮説の是非をつめつつ、色々と考えることがでてきそうで、 すくなくとも今は楽しいひとときだ。

7月12日(月)

2年前、密度揺らぎと関係する化学ポテンシャルの探索でくたくたになっていた。 8月20日を転機に、ポテンシャル変化法でいけることがわかるのだが、それまで はいくつアイデアをつぶしたかわからない。田崎さんが提案していた非破壊測定 法も綺麗だったが、だめだった。さてさて、2年ぶりに、田崎さんが新・非破壊 測定法を提案してきた。なかなかよさげにみえる... (といっても、2年前に つぶれた全てのアイデアも最初はよさげにみえたのだ。) いまや、ポテンシャル 変化法で非平衡性固定のもとでの熱力学関数はつくれるのだが、温度や外場依存性 をきめるのはまだできないので、これがうまくいくと嬉しいことがふえる。 夏休みの宿題。。。。

摂動論演習セミナー: 既知のことに帰着できないことまで計算したし、物理として 新しい内容も含むので、論文にして公表する予定。(= 夏休みの宿題) [僕はまだ 計算の確認をしていないが。] ひきつづき行われる予定の第III部は、系統的な 摂動を効率良く計算することをめざす。多体系にまともにたちむかうなら、第III 部までいかないと使えない。

粗視化にともなう力の移行問題。林さんが昨日から計算している途中結果を 教えてもらい、休日のアイデアは、いくつか修正しないといけないことが わかった。まだ明確な答えはわからない。しかし、問題設定はいまのところ クリアーだと思う。

7月10日(土) 〜 7月11日(日)

Kawasaki-Sasa 論文草稿推敲; Hayashi-Sasa 論文改訂版草稿推敲; Inagaki 論文コメント; Otsuki 論文コメント; 蔵本退官記念論文 草稿推敲;その他の文書仕事 ... というのがこの休日の宿題なので、 これらを順番にやっつける予定だったが、 なかなか予定どうりにはいかない。

先週 木/金の案は、いかがわしいのではなく、物理的には自明に近く、 算数的には即答できない問題の類だとして、その案を考え続けることを 却下することにした。(考えても自分が賢くなるようなものでないと判断。) しかし、ある方針案を却下するときには、代案をもってこないと気持ち わるくてしかたない。先週の議論で頭に load した全てをもういちど 頭の前の方にならべてみる。2時間後、「よし、ここから攻めるべきでは ないか。」という方針がみえた気がした。その方針のメモを林さんにおくって、 休日本来の(?)宿題にもどる。

娘のパソコンを占有しているのが問題になってきたので、ルーターを買う。 電話回線を分岐させるようなものか? と思ったが、なんだが違うような ことが書いてある。とりあえずつないでみようと思ったが、LAN ケーブル がなくていきなり終了。まぁ、電話回線を分岐させるときも電話線を余分 にかわないとだめだから、あたりまえのことか...。

選挙にいく。雑談程度でも政治に文句をいうとき、選挙にいってないのは 恥ずかしいから。

7月8日(木) 〜 7月9日(金)

replication MC : 2ヵ月前にチェックしたときとみている時間がひとけた 違っていた。どうりで収束が遅いはずだ。これでは、アルゴリズムの改良を しないと話にならない。すぐに思い付くことはするが、う-----ん。どうも、 いまいちだなぁ。数値パラメータの職人的な調整がいるのか。(とりあえず の)勘を信じて、意味あるのかどうか全くわからん計算をしているのだが、 ちゃんと計算してくれないとそもそも話がはじまらない。

(なんでも「有効」つければいいものではないが)、"有効発熱" というような 量があって、そいつがスケールとともにかわっていく、というのが非常に もっともらしく思える論旨の展開をつくることはできる。 (平衡統計で自由度けしていくとハミルトニアンが有効的なものにおきかわって いくのと同じようなもの。) もちろん、定義しただけでは無意味なので、これが測定量にどう係わってくるか、 という予想をペアでたてる。木曜日には「いけるかな」と思って夢の中 にはいったが、金曜の朝おきると、やっぱりいかがわしい。↑の計算は、 そういうのを具体的に考えるために必要なのだが。

いかがわしさがましてきたせいか、「簡単なモデルとかで手計算して感触を つかんでからすすんだ方がいいのでは?」と(冷静な)林さんにさとされたので、 摂動展開の可能性も再考するか。。

7月7日(水)

蔵本退官記念論文草稿推敲。Kawasaki-Sasa 論文草稿推敲。

ふと思うことがあったので、replication MC を久々に(2ヵ月ぶり?)に 動かす。誰が書いたのかわからない解読するのが面倒なプログラムだが、 「今の動機にあわせてちょこっとかえて」とりあえず動かしてみる。 あれ? 動かない。たしか前にはちゃんと動くことは確認したのに。 「ちょこっとかえた」ところからはじめたのがまずかったか。

7月5日(月) 〜 7月6日 (火)

蔵本退官記念論文の参考文献につけるため、長距離相関の1980年前後の 文献をしらべに図書館に1時間ほどこもる。(pdf でながめたり、ダウンロード していたのでは効率が悪い。高速で論文たちの関連をさぐっていく。コピーは せずにメモをするだけ。) うーん。BBGKY からflow 中の密度揺らぎの 1/r^(d-2)を導いている Onuki 1978 はよいとして、その他は、著者たちの関係も複雑で、引用関係も錯綜している。 社会学的な問題も係わっていそうだな。 以前よりは精度をあげて論文を眺めることができるようになったが、 まだ、全体がみえない。90年代のreview の記述もどうもおかしい。 もういちど籠らないといけないか。

NESS にある系の射影/縮約にともなう local detailed balace の移行問題: 問題の重要性はまだ確実ではないが、なんとなくきにかかることが色々絡んでおり、 突入してみることにする。現時点での攻め方の整理を林さんとする。

7月4日 (日)

昨日の集中作業から一転して、ねっころがったり、ぼーとしたりする 時間が長い。普段やっている考察や演習や論文読みや議論などから 膨大な素朴な動機や疑問はわいてくる。そのなかから、研究としての 「問題設定」をたてるのは、ひとつの分岐点である。今日は「その日」 にしたから、手はとまっている。自然に素直に問題設定できたときは、 その具体化の過程で大いに苦しむことになっても、 結果として的を得ていることも多い。逆に、問題設定が狂っていても、 それにしたがってあがいている途中で、自然に矯正されることもある。 ともかく、「何をどう考えるのか」をシャープに問い詰める時期を どこかで経由しないものは、僕の言葉では、練習問題であって、 研究ではない。もちろん、膨大な数の練習問題を自分でかんがえていく からこそ、色々なことが皮膚にやきついてきて、本当の意味での 研究につながるので、練習問題をとばしてしまうのでは話にならない のだが。

7月3日 (土)

12時間くらいかけて、蔵本退官記念論文を推敲する。段落構成を確定させ、 要約を書き、文献も手元でわかるのは書いた。日付がかわるまえに、 強引に「ver. 0 完成」と宣言する。まだまだ激しくかわるだろうけれど、 全体はこんなものかな。

7月2日 (金)

蔵本退官記念論文:"long range spatial correlation between two Brownian particles under external driving" というタイトルにした。 discussion までひとおり書く。明日、あさってで abstract とreferences とふたつくらいの抜けている段落をいれれば ver.0 完成。 ちょっと蔵本さんへの思いいれを書きすぎるかも。(直接の師の 退官記念論文だから力がはいってしまうのもやむをえない、、 という言い訳はやめてちゃんと推敲しよう。) 来週中にver.1 完成までもってこれれば、〆切はまもれるだろう。

kawasaki-Sasa 論文: 川崎さんが stat-phys で oral presentation するので、 それまでには、まにあわせたかったが、集中講義の準備に時間をとられすぎたり して、まだ投稿できていない。もう最終段階に近いので、どんなにおそくても 今月中には投稿はできるだろうけど。

Hayashi-Sasa 論文 (改訂版):(補足データをいれたりして)、 丁寧な改訂をしているとずるずるとのびつつある。土曜、日曜で、林さんの reply 案に手をいれるのが僕の仕事。準備中のHayashi-Sasa 論文は、 もういっちょあって、それもそろそろ手入れしないといけない。

Sasa -Tasaki 論文 :.......いや、覚えています。覚えています。まずは introduction を書かないといけない。(僕は、introduction を書かないと 気がのらない。Tasaki さんは introduction は最後に書く流儀らしいけれど。)

7月1日 (木)

「TV みる暇があったら勉強しなさい!」ということをいう人がいたら、 その人は、おそらく勉強が何たるかについて何も理解もしていないし、 「勉強とは何か」ということについて真面目に考えたこともないのであろう。 そもそも、「TVをみること」と「勉強すること」が同列になっている時点で、 この発言者の勉強観が露呈しており、僕からすれば、大変恥ずかしい発言 にみえる。さて、「◯◯ する暇があったら△△しなさい!」というフレーズには、 色々な応用例がある。 「漫画読む暇があったら研究しなさい!」 「音楽聞く暇があったら研究しなさい!」 「日記書く暇があったら研究しなさい!」 ....とか。もし、研究者がそういうことをいってしまったら、赤面ものだと思う。

稲垣さんのセミナー:迫力あるなぁ。迫力に負けずに証拠をどう積み上げていくか、 時間との闘い。佐藤氏がきていて、論点も意義も明確になってよかった。

先月の日々研究