11/30 (日)
寝ている間に、昨日の不審点は解決。朝のうちにだだだと計算すると、 残っていた最後の1点もクリアーになりつつある。安心して、昼から たまっている論文書きをやっつけるはずが、どーんとひざをついておちる。 昨年何度もおこった現象(講義中にもおちた)だが、昨年はそのたびに たちあがって、普通の生活を続けた。今日のは、たちあがれない。 夜、短時間のワープロをうてるくらいには回復したので、 これを速攻でかいているが、、困ったことだ。
11/29 (土)
水曜日の知見にもとづいて、今まで計算できなかった新しい量を計算する。 あれれ? 平衡の場合はばっちりなのに、非平衡の場合がおかしい。 やっぱりマクロからみて自明なんて、軽々しくいってはいけないな。 どうも何か核心をはずしている気がする。全くとんちんかんではなく 色々と新しいことはあるのに、よっしゃーという手応えもないし。
11/28 (金)
自分らの結果の意義をあらためて整理する。ミクロレベルからみたとき、我々が みせる式は、すさまじく非自明なことである。一方、マクロからおおらかにみた ときには、それほどでもないようにも思える。そのギャップの意味がよくわから ない。考えがまとまらないので、林さんにぶつぶついう。
午後、偶然あったある1年生と雑談した。「物理の講義や本がもうひとつ面白く 感じないのですが..」という愚痴を聞く。講義はともかく、物理が面白くない というのはどういうことかなぁ、、という話になった。その学生は自分でどんどん 勉強しているし、駒場の定期試験も高い点をとっているようだった。しかし、 本の読み方が少し薄く、感動できるところを素通りしてしまっているように感じた。 例えば、 一般相対論は勉強しおわった、というので少し質問すると、字面は理解して いるようなのに、話がぽんぽんでてこない。僕も同じ1年の夏から秋にかけて それを勉強した。無茶苦茶面白くて、没頭して勉強して、仮説群からEinstein 方程式までがひとつにみえたとき、部屋の中をガッツポーズして5周くらい したけどなぁ、、という恥ずかしい昔話をした。あれから20年ちかく 一般相対論をさわってないが、いまでもEinstein 方程式はそらで書けるし、 それを勉強している頃なら、数時間くらいの演説はしただろう。 何がどう違うのかなぁ、、ということを思うまま話す。
11/27 (木)
原田君のセミナー。FDT violation をつかった効率の式を提案し、 キネシン の実験結果と比べるとなんとぴったり、という話。 [論文の表現は誤解をまねくし、セミナーでも最初誤解されていたと 思うけれど、その主たる結果は、モデルを考えて計算した、という話ではない。] 正直いって、面白さは (FDT violation をつかっている という意味で路線が 同じ) Hayashi-Sasa の上をいっている。もしこの提案(仮説)が、 何かの理論としてしっかりはまるようなことになれば、すばらしいことになるが、 理論的にはいくつかの難問があって、ほいほいとはいかない。 色々なことをまじめに検討する時期になってきたと思う。
11/26 (水)
昨夜、結局、線形応答領域における多体系版Einstein 関係式を DLG に対して 直接証明することができなかった。(注: Einstein の論文は、希薄コロイド系 を題材にしたけれど、相互作用する粒子たちにも Einstein 関係式はなりたつ。 3年生のセミナーでそこまでやってしまおうか...と考えはじめている。) おたおたして混乱したまま式をいじくりだすと最悪である。昼、 絶対に正しいところまでの確認を林さんにとって、どこで変なことがおこって いるのか丁寧にみていく。「あ、きっとここだ。」と思う箇所があって、 そこをつかわずに証明する路線をすすむとすんなりでた。mail を書こうと 端末に向かうと、林さんから「できた」というmail がきていた。 ほぼ同じ考え方だった。
わかってみれば簡単な証明で、Green-Kubo + χ-C relation + 拡散係数の定義 でつきる。(G-K も χ-C も DLG から直接証明できる。) 「あ、きっとここだ。」 という誤りのもとは、大昔、文献でよんで頭の隅にひっかかっていたが、 自分が物理としてまだ消化してなかったことに関連するもので、 近いうちに完全消化しておこう。
線形応答領域の Einstein をちゃんと理解したボーナスとして、非線形領域の G-K の拡張版も(不明な点が1箇所残るが)復活して、全体のバランスがよくなった。 ただし、非線形領域では、DLG に対する証明は何もできない。[ちょっとやろうと したが、すぐに、だるまさん状態になった。] DLG の数値実験の結果と、 DLG に対応するだろうと期待されている fluctuating hydrodynamics での証明はあるので、間違っていないとは思う。その証明では、先に 拡張Einstein 関係式を示して、拡張G-K はそれを使う論旨になっていて、 線形応答領域での DLG に対する証明の順序と逆である。 何か意味あるのかな。
11/25 (火)
長岡さんのセミナー (半集中講義 5時間半): universal coding の証明を 統計力学的雰囲気でおこなうのは面白かったし、気分もよくわかった(つもり)。 (LZ code に関しても、辞書の増え方のイメージが少し改善されて、 強い違和感はなくなった。) 今度、情報論の文献を読むときに、 ずいぶんと楽になる気がする。
H-S III a 多体系の論文で、非線形応答領域における自分らの主結果の 前座として、線形応答領域における 多体系版 Einstein 関係式の driven lattice gas からの直接証明を書いておく予定である。 (非線形領域におけるその素朴な拡張が破綻することをみせるため。) 林さんがその原稿を書いていたのだが、微妙にうまくいかない、、という。 そんなことはなく、 瞬間でだせるはずだ、 と白板に向かう。こうしてああして. . あれ? 歩きながらこんなものだろう.. と思っていたのが、微妙にうまくいかない。 10分しかなかったせいもあって、その場でできず。うーん。 風呂にはいって紙に書こう。 (線形応答領域での 多体系のEinstein 関係式は既知事項で、Spohn の text にも証明が書かれているが、 ごちゃごちゃしていて読む気がしない。基本的に簡単な話しのはずである。)
11/24 (月)
KPZ の練習問題:すぐに技巧に走りそうになるが、物理としてわからん問題を 解くのではないのだから、できるだけ初等的に考えれるように、講義の準備の つもりで丁寧におさえていく。もうすこしで第一段階終了というところで 混乱したまま終了。
11/23 (日)
僕が草稿案をかくことになっていた H-S III a の regular paper を 年内に 投稿すべく、 まだ白紙だった Introduction をかく。 論文の内容は、レター 版の技術的詳細だが、試行錯誤の末、Introduction(案) は Einstein 色が 強くなった。(またか...ではない。タイトルに Einstein がはいる H-S III 多体系の論文も 今の案では、Introduction ではそんなに強調していないし、 H-S III a のレターでは全くふれていない。) 「計算技術」のみに興味が ある専門家も多いようであるし、さっさと書いてしまおう。時間がたつと 投稿する気力がなくなりそうだしな。
11/22 (土)
KPZ の練習問題: この手の問題が、(広い意味の)特異摂動問題になっていること は誰もが知っているが、そう表現したところで何も利点はなく、closure をつくった り、動的くりこみ群をつかったりして、物理的に知りたいこと(いまの場合は、拡散 係数の異常性)を導いてきた。しかし、どういう状況の近似なのかあいまいだし、 定量的にも異常性の前因子はあうはずもない。(実際あわない。) こういう不満を もっていても、そういう問題をきちんと考えたい動機も新しいアイデアもなかった ので放置していた。今、H-S III a 多体系版にもとづくアイデアがあるし、近将来的 には過冷却液体の理論化につなげたい動機もある。まさにこれを再考するタイミング なので、練習問題としてとりあげた。
今日は、準備として、考えようとしている摂動的枠組が実際に特異的になっている ことの確認までおこなう。ここまではどんな摂動枠組をくもうと同じである。 ここからが問題なので、ひと呼吸おいて問題を眺める。さぁてと。
11/21 (金)
学部3年セミナー:ゆっくりとEinstein 関係式に到達。(読む深さを鍛えるセミナー なので、はやくすすむことに価値を見出していない。) 最近お世話になっているし、 如何に重要な意味をもつものか演説してしまう。(我々の次の論文のタイトルは、 "An extended Einsten relation at steady states far from equilibrium in one dimensional driven lattice gas" になりそう。今年中にはだす。ここでの Einstein relation は 多体系のやつ。)
昼、外を歩いていたら、ふくしまさんと遭遇し、aging dynamics のことを雑談する。 昨夜のと関連する他の文献をおしえてもらう。うーむ、色々あって、混迷が深まる ばかり。"同僚" というのは、偶然あう確率が大きいというだけの意味かも しれないが、その意味は非常に大きい。清水さんや池上さんともちょくちょくあうし。 例えば、(同僚でない)田崎さんと偶然遭遇する確率は限りなくゼロだもんな。
渋谷駅構内で "Let it be ... naked" を派手に宣伝していたので、つい買って しまった。レジには(僕もふくめて)中年のおっさんたちがならんでいた。帰宅 してから聞く。get back からはじまって、across the universe, let it be でおわる構成もいいし、(元アルバムと違って)しゃんとした雰囲気もいい。 懐かしさもあるのだろうが、みぶるいした。(CD になってからは、アルバム let it be は ほとんどきいていなかった。) 高校生のとき、試験前に across the universe をくりかえし聞いて集中していたのも思い出した。
深夜、昨日深夜に設定した問題を攻略にかかる。まだ始運転状態。
11/20 (木)
夜、aging dynamics の初歩。まずは大学1、2年生でもわかることからはじめる。 といってもなんだかおかしい。火曜日にわかった知見と微妙に似ているのは、 3月 preprint で先月出版された論文にでていたようだ。(全く同じではない。) その論文をみても、混迷は深まるばかりで、正しい理解にはほど遠い。
深夜、有効温度関連の次の練習問題を設定する。例えば、1次元 KPZ equation の 拡散係数は、Lの0.5 乗で発散することが知られている。 理論的には、 80年代に (1970年前後に確立した) MCT や動的くりこみ群で解析 されており、今さら何を... というモデルではある。それをまったく別の思想と 計算方法で導出することができる気がする。この導出方法を鍛え上げれば、 過冷却液体にもきっていけるのでないか、と予想する。(MCT は、何もないときに とりあえず計算する方法であって、最後には違うものにかわるはず。)
11/19 (水)
月曜日の議論を tex 化し、論旨をきちんと整える。ひとつの問題はあきらめて、 (適当なフレームでみた)密度応答の χ-C FDT plot から 有効温度を定義すると、 定常状態まわりの微分易動度が平衡の場合と同じ形でかける、という一点にしぼる。 FDT plot から測定される有効温度をもちだすことにより、輸送に関する関係式が とりだせただけでよし、としよう。この問題でだらだらしたくないので、 このあたりがおとしどころであろう。(数値計算の結果はまずまずのところで、 まだ確定的ではないが、fluctuation hydroynamics の解析はより万全になったし、 これでこけることはないはず....。これでこけたら林さんは失踪するらしいし。) 核心は、「適当なフレームでみた」にあるのだが、その本当の意味はまだ よくわからない。1次元系の特殊性があるかもしれない。
11/18 (火)
昨夜寝るときから今朝の電車の途中まで、Cates らのreview を読んでいた。 なるほど.. 新しい実験的予言を最短でおこなう見本みたいないきかただ。 さてと...宮崎さんと山本さんらの論文も含めて、たしかに「何か」あるのは 間違いない気がする。loop 展開でもfitting 的現象論でもない「理論」を 見出すにはどうすればいいか、ということを考えていて、漠然とひとつの方向が みえそうになったところで駅をおりた。本当だったら面白いぞ。何から手を つけようか。
諸用が重なっておよそ一ヵ月間放置してあった Aging dynamics をさわる。 低温相で FDT violation factor が ほぼ 2T_g になる(おそらくもっとも簡単な) モデルは手にしたが、どうもうそくさい気がする。もうちょっとさぐってみない と信頼できないし、「モデルみつけた!」では話にならず、(同じ興味をもつ人 ならすでにみつけているだろうし)、よっしゃーーというところまでいきたいな。
H-S III a 多体系のいくすえは明日の結果まちらしい。このまま収束してくれる と嬉しい。朝、何がもっとも大事だったか、再整理する。そしてその知見の一般 性が問題で、それを追求するための課題は...(つづく).
11/17 (月)
H-S III a 多体系: 金曜の林ノートを第3者が醒めて読むと、 11/11(火) に書いた「いけそうだ」というのも含めて何もかもこわれている ... という否定的な結論にならざるをえない、ということを土曜日のmailで 書いた。週末に、僕は前向きのアイデアもでなかったので、こりゃゼロから やりなおしかな...と暗い気分で、林さんの話を聞いた。ふーむ。復活できるかな ... というところまでは戻した気になった。が、今までのこともあるから、 うかれずに、もうしばらく様子をみた方がいいだろうな。家にかえってビール を飲むと、疑問もわいてきたし。
11/16 (日)
ある本の原稿に関するコメントを書く。読む時間をたっぷりいただき、出版までの 予定を教えていただいたうえで、事前にコメントできるかどうかの問い合わせが あって、僕はコメントしたいと返事をしたので、約束を守らないわけにはいかない。 「すっと読めて、すぐに忘れてしまう、電車の友のような本とは対極に位置し、 見事なまでに今の時代にそぐわない「よい本」だと思う。」というような でだしではじまる感想文を書いた。はっきりいって難解な本で、なかなか 頭にはいってこない。(算数の問題ではない。) あるクラスの物理現象を丁寧に ほりさげていくのだが、丁寧に掘り下げればほりさげるほど、算数技術とは 違う難しい側面がうかびあがってくる。 おもに表現の問題などきのついたこと を並べると結構な量になったが、まだ、全てをコメントしきれていない。 しかし、時間ぎれが近いので、いったん著者におくる。
11/15 (土)
疲れがたまっていたので休養にする。デジタルカメラでとった写真をword に とりこんで文字とともに印刷する、、という僕にしては精一杯の作業を達成 する。これで今年の年賀状はそういう方式でつくれる。
あとは、林ノートにコメントをおくったり、データをぼーと眺めたり、 mail を書いたり。
11/14 (金)
1日目は気分を研究会にあわせるために、意図的に集中した。時間がなくて できなかったものはあったが、基本的に全ての講演に対する質問とコメント をもっていた。2日目の午後あたりからあきてきて、夕方には完全にあきた。 自分の中につくったにせものの「盛り上がり」はかくしてきえた。
個別的には、面白いことはいくつもあったし、勉強になったこともある。 とくに、岡君のポスター発表に関連して、強引に僕らの研究との接点を もとめて、いろいろ議論してもらったのはよかった。
帰宅すると、林さんから「数値実験のデータから正しい拡張グリーン=久保 を抽出する方法に関する考察ノート」がとどいていた。ノートをみながら、 枕もとであれこれ数字をいじりながら、寝る。
11/12 (水)
電話がダイヤル式で、電話線が壁にうめこまれているホテルにとまる。 パソコンがつなげない。8月中旬にいつも京都で泊まっているとこは すでになかったから、基研に依頼したのだが、すごいところを斡旋するなぁ。
11/11 (火)
事務仕事をして、研究会のトラペをしあげて、会議にでたら夜中ではないか.....。
H-S III a 多体系: 新関係式のひとつは綺麗にいけそうだ... とのこと。 もうひとつの方は、依然、手がかりなし。
11/10 (月)
朝、眼科にいって、さんりゅう種からばくりゅう種に変態したもの(* 医学的には間違いだろう)を切る。ずっと眼帯していたので白板にもかきにくいし、 ワープロもうちにくい。
午後、佐野研セミナーで林さんが最後にみせた数値実験の結果を捨てることにする。 数値精度は高くなってきたのだが、一般性のない偶発的な結果とみなし、 きっと近くに潜んでいるであろう正しい関係式を探すことにする。 こういう決断のしどころが難しい。(この判断は林さんにまかせている。何をするか、 というのが研究者にとっていちばん大きな選択だしなぁ。)
夜、それにむけての試行錯誤のひとつで勘違いをみつける。
11/9 (日)
H-S III a 多体系:朝3時にめがさめて、ふとうかんだアイデアを枕もとで 計算し少し前進したつもりだったが、それもふくめて間違い。理解がふかまる につれ、苦しくなる一方だが、「これがこわれたら何もかも捨てて撤退」 という関係式だけは、今のところいけそうなことを林さんから mail で教えてもらい、ほっとする。(FH で示せる式なので、面白みはないが、 FH そのものにも不信感がある状況だったので、 数値的にちゃんと確保できるだけでも意味がある。) これがある限り、ボツということはない。が、拡張 Green-Kubo の理解は遠い。
11/8 (土)
H-S III a 多体系:FH 世界でもっとも簡単なにいえることを格子気体系で 数値的にみる路線で、僕の担当分を真剣にみる。以前にざっとやったときは ? の列で沈んだ。 こっちはこっちで数値的には面倒なのか... ということを 時間をかけて大体理解した。完全にはまだよくわからない。 "hydrodynamic regime" というのは、ミクロから時間・空間のうまい スケーリングでとりだせるもので、そのとりだしかたが簡単にできるのと 面倒なのがあるのだな。 形式論としては漠然と理解していたが、 全然わかってなかった。自分自身への教育としては有意義だった。
形式論でない非平衡統計の本が必要だとせつに感じる。例えば、Langevin 多体系, 格子気体系, Hamiltonian 多体系 を具体的にさわるなかで、非平衡統計の論理で 完成されたものや未完成なものを具体的にみる... という路線はどうであろう。 (来年の講義にあわせて書こうかな。。まぁ、体力的に無理かな。)
来週の研究会の準備。内容をさらに削る。
11/7 (金)
H-S III a 多体系:問題点を色々あらったがなかなかみえず、手詰り状態に なってきたので、夕方、林さんと話をして、真っ暗状態からは脱出した。昨日 発覚した矛盾はおそらく解消可能であろう。が、それにともない、 新しい関係の「積極的な提案」は難しくなった気がする。FH の範囲で、 考えていたのと類似の「拡張グリーン=久保」を示せるが、 どうもそれ自体は exciting でない。我々が見出した数値実験の結果は、 ある精度で成り立っているが、どうも FHの考察とのギャップが大きく、 (いまのところ)未来へのつながりを感じない。 贅沢なんだろうが。
風呂で、面白くはないが、もっとも合理的なまとめかたを考えていた。 風呂あがりに、(気合いのはいらないまま)念のためにとばした計算結果 がでていた。ぬぬぬ。また、意味ありげな数字がでているなぁ。
11/6 (木)
H-S III a 多体系: DLGの数値実験の結果、FHの理論解析、未証明な理論予想 を分離しながら、いまあるデータを整理する。明らかな矛盾がある。この矛盾を 解消せずして、未証明な理論予想を論文として提示することはできない。つまり、 この5週間の作業は消える。解消の仕方はまだわからないが、ひとつの可能性では、 「DLGの数値実験の結果をFHの理論解析で手厚くフォローして、それでも到達 できない部分に関して、自然な予想を提示することができ、その予想は 数値実験できちんとみえる..」という筋があるにはある。これが残ることを祈る のみ。
ちなみに、1次元DLGの5つの測定量にふたつの新しい関係式があることを主張 したいのだが、その関係式にでてくる数係数はたったひとつで、1-1/3+1/5-1/7... と 1-1/√3+1/√5-1/√7... の比だけである。(前者は有名な級数和だが、 後者は誰かしっていたら教えてください。今は数値的にもとめている。公式集を みればいいのだろうけど、上の事情により余裕がないのです。) 「fitting parameter がない関係式の有無を問う」勝負なので、苦しい面はある。そういうのが好きなの だが。
11/5 (水)
Broomhead 氏のセミナー。化学反応ネットにランダム摂動を加えたときに Iterated Functional System (IFS) で記述できる特異な分布が生じる。 それを embedding で捉えたり、ネットワークとの絡みを議論したり。 IFS をこういう風に使うのは知らなかったのでおもしろかったし、 embedding をネットワークにおける刺激・応答との関係でみていこうとする 視点は大変共感できる問題設定だった。Broomhead 氏は 若いときに 京大(富田研)に滞在していたらしい。
H-S III a 多体系: 帰宅してからごそごそ計算。うーむ。うーむ。 綺麗な部分も多いのう....
11/4 (火)
H-S III a 多体系: 数値実験の結果が全く非自明であることをやっと理解 する。(FH の解析で説明できる、、、というのは早とちりで、微妙な極限 操作をえいやぁとやっていた。この部分を丁寧にかくと、非常に変な関係 が成り立つことを示している。寝るまえは、数値実験の結果は単なる偶然 でないのか?という懐疑の方が強くなってきた。
11/3 (月)
30分ドラマの構成いじり。しかし、この話しは3年間とまっているが、 構成をいじっていると考えたくなってきたので、ついでに復活させよう。
Kawasaki さんらの non-linear response theory と Zubarev-Maclennan の nonequilibirum measure は、相互に引用はないが、同じことをいっていると みなしてよい。これらの30年以上前の話しは、線形非平衡に限定されずに 正しい命題だが、形式的すぎて使えない。それでも、Kawasaki さんらは そこから測定量までひっぱってきているから、一歩上をいっているのだろう。 しかし、測定量までおりてくると、(線形非平衡にない)定常状態+線形摂動 というとらえかたができるはずで、しかしこの場合には、未摂動状態の定常 状態を別に特徴付けておかないといけない。[Wada-Sasa による K-G の結果 の簡単な再現はそのもっとも単純な例。] そういう流れをもっと明示的に するために、non-linear response theory と H-S III a 多体系版を直接 つなぐことをぼーと考える。ここをつなぐことができると、H-S III a を本格的に 発展させる道がみえる気もする。夢の中では何かみえそうだが....。
数値実験の整理に関しては、少し混乱するところもある。FH の解析と 数値実験の対応を完璧にしないといけない。
11/2 (日)
左肩に痛みが走るのでワープロをうちにくい。(ひょっとして40肩?) これは僕等にとっては致命的で、作業ペースが著しくおちる。 気分転換をかねて、千葉大祭にいく。物理の実験をみせてもらったが.... 思わず指導をしそうになった。ポツンと放置されていた、マイクロ加工 された粉の集まりが面白かった。みためがかなり液体に近い。粉体の 研究でも、そういう中間的なもの -- 粉体と液体と連続的につなぐ -- というセンスがあってもいいのでないか。(計算技術としてでなく、 現象の切りだしかたとして。) 理学部物理の建物に入ったのははじめてだが、 ここに勤務できるなら、徒歩数分か....。
30分ドラマ: プロットをつくったが、詳細を書き込んでいくともう ちょっと削らないといけないかなぁ。
11/1 (土)
さんりゅう種が悪化してきたので眼科にいく。H-S III a 多体系の技術的な宿題を 頭の中で考えたあとで、研究会の発表の構成を考えはじめる。統計力学の基礎に ついて、カオスと大自由度性の絡みの論点をきちんと整理し、力学系としての 研究の方向性を明示し、具体的な予想と展望をんのべる.....30分で? 結局、 今日考えた構成案は全てボツにする。何もかもおしこんだら何も伝わらないので、 30分ドラマの脚本を書くつもりで最初から練りなおし。