7/29 (火)
220人の学生に対し3人の教官で行う試験監督。たちっぱなしで疲れた。厳しく 目をひからせながら、頭の中で周期軌道展開と大自由度性の論旨の整理をし、 ボルツマンの補正の論旨の整理をし、Langevin 階層移行に伴う FDT的 関係探索について考える。
いっこ嫌になる書類があって放棄したのはあるが、それを除いて、各種準備や 書類を全てこなした。川崎さんと周期軌道展開の議論をし、現在の状況を確実 におさえた。で、最近の最大の論点である「Langevin 階層移行に伴うFDT的関係」 のアイデアがおりてきたので、速攻で計算する。ううう----- む? 先週の結果 と矛盾するなぁ.... ということを林さんと議論し、とりあえず矛盾ではない ことを抑える。でも、サポートもしない。今週中にすっきりさせないと気分が 悪いので、明日もこれに全力投球することにした。
7/28 (月)
夜中に蚊に数回かまれた。いつも秋口にやられるのに、涼しいせいかな。おかげで、 中途半端なときに目が醒めて、昨日の計算で気になった計算を枕元でして、だめ おしの数値積分をする。その時点でまだ6時すぎ。朝の試験監督をこなして、 午後は全部議論にまわす。夕方になってばててきたので、帰宅して寝ることにする。
その午後の議論で、大自由度性と周期軌道展開に関する論旨整理をするが、 色々とわからない。全体像を正しくつかむための宿題をいくつか設定する。 (明日の早朝かな。明日も試験監督だし。今学期は4コマある。)
11月のとある研究会の招待講演依頼の返事の〆切がちかづいているので、手帳や 依頼文をみながら考えて、7:3で断るかな、、と最終判断を留保し、試験監督に むかったところ、たまたま世話人の方とお会いし、研究会の話になった。結局、 逆転でひきうけることになった。ひきうけたからには、頑張って準備しよう。
7/24 (木) 〜 7/27 (日)
金曜日に名工大の研究会にでかけていって、90分講演をする。I. Introduction, II Driven Lattice gas, III. Heat conduction (experiment) IV. Heat Conduction (Molecular dynamics) という構成だった。名古屋行の新幹線の中である計算を はじめてそれがおわってなかったので、頭の切替えがスムーズにいかず、 ちょっとテンションがひくかったかもしれない。 Thermal osmosis との相違;不可逆性の視点が何処にいっているか; 理想接触を めぐる普遍性 ... などの高度な質問がでた。とくに、「非平衡定常系の化学 ポテンシャルにそこまで拘るのだったら、温度だってそうではないか」という 指摘は重要だと思う。全くそのとおりで、僕等もバランスの悪さを気にするとき もある。
金君におしえてもらった Muller のreview を名古屋につく直前によんで、 杉山さんのコメントに備える。引用しなかったのは知らなかったからです... と正直に答える。ただ、Muller にしろ、Jou にしろ、形式論で楽しんでいるだけ にしかみえず、Sasa-Tasaki のように、「形式の有無をぎりぎり問いつめる」という 真剣さはないように思える、、ということは伝えた。杉山さんはマイルドな方らしく 、そうかもしれないですね、でおわってしまった。
1昨年の集中講義にこられていた さいたさんが、講演を聞きにきていて、 講演終了後、さいたさんが最近考えられているブラックホール熱力学との関係を 少し議論した。着眼が面白そうだったので、今度ゆっくり聞きたいものだ。 磯部さんは、いまいちMD にのってくれそうにない。まずは、伏木さんとともに、 非平衡定常系を先にとって希薄極限をとったときにボルツマンに補正がつくこと をおさえることにしよう。
その新幹線の中で計算していたのは、Langevein 定常系の新しい FDT 的な関係式 の証拠あつめの例題だった。前日の木曜日、夜遅くまで数値積分していたのだが、 色々と面倒があって、強引に手計算することした。高度な技巧は全くいらないの だが、勘違いをたくさんするし、計算もうまくやらないと膨大になるしで、結局、 終ったのは日曜の夕方だった。う----む。知見は得たが、(我々が提案したい 新しい)FDT のサポートにはならないなぁ。この簡単な例題で得た知見は、 先に非平衡定常にしてある種の階層移行を行うのと平衡極限をとるのは順序が 交換できない....ということである。BBGKYの希薄極限を非平衡定常系で 真面目に行うことは至難の技であるが、簡単な例題から、階層移行の問題を 考えるとき、平衡が如何に特殊であるかを学べるとは思う。
7/23 (水)
終日格闘。
7/22 (火)
tilted periodic potential 中のブラウン運動の拡散係数の (H-S の) exact expression と直接数値計算の比較が完了し、 見事に一致したようだ。めでたいので、Reiman たちの 'exact expression' の数値評価を速攻でやってみる。 あれれれれれ? 彼らも exact なようだ。怪しそうな高温領域もみてみたが、 ふたつの exact expression の数値は同じものをはじく。表式のみためは随分 と違うのだが、僕が気がついていない関係式をつかって変形できるのか? ちょっと信じがたいな。(みためは彼らの方が簡潔で、数値計算上はこちらが 効率がよいかな。) 彼らの証明と称するものはいかにも怪しげだったので さっさと捨てたが、判断を間違ったな。
拡散係数のexact expression は60年代頃にきっと導出されている、と思っていた ので、ダメージはないが、ちょっとびっくり。ともかく根性をいれて FDR をみる 話をつめることを考える。昨日の議論は多少うさんくさい部分があるので、技巧 なしの素朴な枠組でFDR をみる路線で計算をすすめる。うげぇ----。そっちだと 微妙にうまくいかない気がする。不吉だ。
7/21 (月)
世間的には3連休だったようだが、土曜の朝に所用ででかけた以外は、ずっと家 に籠って仕事をしていた。散発的にたまっていた諸仕事も無事にこなし、ほぼ 予定どうりおわった。伏木さんの宿題がまだで、まだ夜の時間が残っているが、 分子運動論の気分がたちあがってこない。金君が関連する考察をすすめているので、 京都にいくまでには何としてもやっつけたいが。
先週金曜日にふれた tilted periodic potential 中の(非平衡定常)ブラウン運動 を遠くからみたときの散逸、ゆらぎ、駆動力がどうみえるのか、という問いに対 する摂動論的考察もうまくいっているように見える。技術的には、先週水曜日の 林さんの trick がここでも威力を発揮して、ほぼ予想どうりの結果を得た。 やはり、(拡散係数とdrift速度だけみていたのではみえない) FDT があるようだ。 しかし、感覚としてまだしっくりこない部分もあるので、そのあたりのイメージ づくりで夜を過ごすことにしよう。
7/20 (日)
名工大研究会の準備。下書きをおわった段階で眺めると、やっぱり多すぎだった。 たしか90分の時間をもらっていたはずだから、80分におさまるようにスリム化 し、原始的な手書きトラペをつくる。日付変更線を越えたが、なんとか予定分は できた。火曜日にグラフやらデータやらを挿入して、木曜日に微調整すれば いいだろう。今回の Hayashi-Sasa I --> Sasa - Tasaki という説明は、初めての 試みである。歴史に逆行しているが、逆に、Sasa-Tasaki の 意義もよくわかってなかなかよいのでは、と(自分では)思う。 単に疲れているせいかもしれないけれど。
7/19 (土)
名工大研究会の準備。諸般の事情でまったくはかどらないが、 大きな構成は みえてきた。SST という言葉は一回も使わない。近年の実験研究や、MDによる研究、 過去の非平衡統計の研究をしっかりreviewしながら、 「新しい普遍的関係をみいだす」ことの重要性を Introduction の山場 にもってくる。(過去の研究のreviewで、熱力学の拡張の話はいっさいしない。) 自分らの研究は、driven lattice gas (H-S I) からはいっていき、 限定的では あるが、新しい関係が実際にあることをアピールし、その潜在的重要性を説明する なかで、熱力学関数の拡張にふれる。それを真面目に「実験で」捉える 手段として熱伝導系を考え、Sasa-Tasaki に展開し、FIO や転移点シフト にふれ、これらを実験でつかまえることが如何に大事であるかを説明する。 また、MD の研究では、現象の再現のためのMD でなく、量の関係を探索するためのMD という方針がありえることを強調し、みなさんの協力を頂戴できれば嬉しい.... という感じかな。僕の勘違いでなければ、MD の研究会(講演者3人)らしいし、 この構成は今の僕が理解しているSSTの自然な位置付けでもある。
7/18 (金)
1週間後に名工大であるシンポジウムのようなもので喋る内容をそろそろ考えない といけない。(最初は、磯部さんとこに議論にいくつもりが、セミナーになって、 さらに大きくなって... なんか様子が違ってきた。そういえば、MD のことはすっかり わすれていた。ふしきさんの宿題も(金君とあう)あと2週間で解かないといけない。 とりあえず、来週の講演は、"SST motivated な MD は意味がありまっせ" というのりでまとめるか...。
と、白い紙にむかって構成を書きはじめたが、気持がのらず、15分後には tilted periodic potential 中のブラウン運動の拡散係数のexact expression の値を評価するプログラムを書いていた。日付がかわるまえには、とりあえず できた。平衡近傍での FDT の成立や、ポテンシャルをかたむけて粒子がどさー と流れるところでの拡散係数の増大(ピーク)はみえているから、大きな間違い はないようだ。Reimann たちの表式や直接数値実験との比較はそのうちにできる だろう。
これらは研究というより作業に近い。そもそも H-S III a では、tilted periodic potential 中の(非平衡定常)ブラウン運動を遠くからみたときに、散逸、ゆらぎ、 駆動力がどうみえるのかを問いたかった。たとえば、拡散係数とドリフト速度の exact expression をグラフに書かしても、FDT らしき関係は(平衡近傍をのぞいて) まったくみえない。(易動度を微分ではかっても同じ。)しかし、ある操作である量 を議論することにより、FDT と呼べるものが成立する---- と予想している。 この予想をうらずける摂動論や数値実験をするのが問題である。 大雑把な考察ではいけそうだと思っていたが、摂動論によるもっともまじめな 考察のとっかかりの部分だけ林さんと真面目に議論して見ると、そう簡単に 成り立つものでない気がしてきた。早急に抑えないといけない。
7/17 (木)
KISS前半: adaptive muation の論文紹介。(褒められたことではないが)、最近、 Nature, Science をよまなくなったので、この場でのこういう論文紹介は大変 ありがたい。
KISS後半:反応拡散系で分子の離散性がきくことと Kuramoto length との関係 について。大学院在学中、Kuramoto length について、蔵本さんと一度も話を したことがなかったが、局所平衡の限界/妥当性に関する考察で、昔読んだときから、 ずっとひっかかっていた。そのせいもあって、 数年前の講義(4年+院)でその話 をとりあげたのだった。今日の発表者の富樫君は、その講義を聞いた4年生だった ので、なんとなく嬉しかった。
H-S III a: 式の表現を簡単にする、という創造性のかけらもない作業をねちねち する。部分積分したり、関係式をうまくつかったりして、だいぶスリムになって きた。
7/16 (水)
昨日、布団にはいって白板の議論を頭の中でスキャンしていると、おかしいところ があることに気付く。真っ青になって紙をとりだし、速攻で計算する。やっぱり おかしい。そこをなおすと、折角うまくいったキャンセルができない。夢の中でも 計算し、朝おきて計算し、やっぱりこの路線でもだめだなぁ、、といったん あきらめて、林さんに mail をおくっておく。
初心にかえって、摂動の枠組を丁寧に書く。う---。どれでやっても面倒だし、 全然みえてこない。疲れがでたのかうとうとしはじめた頃、林さんから電話が ある。(僕が思いもしなかった)巧みな式操作で、万事解決しそうだ、、との事。 半信半疑でその方針でやると、嘘のようにうまくいき、拡散係数まで到達する。
念のために、細かい話しや平衡極限をチェックする。いまのところ矛盾はない ようだ。間違ってなければ、tilted periodic potential 中のブラウン運動の 拡散係数の "exact expression" だが、もうちょっとコンパクトな表現 にしないと、うんざりする形になっている。
7/15 (火)
朝、ソファーの上で、H-S III a の摂動論の正しい設定がわかった。昨日の議論の 終りごろに林さんがぶつぶついっていた路線で解決できるぞ...。まだ計算 が残っていた白板にちょこちょことつけたして、林さんに説明しながら、ちゃんと 閉じた形で計算できることを確認する。
気が重いことばかり続くとよくないので、少しでも前にいけると嬉しい。
と思ったら、夕方、林さんが「朝のアイデアではやっぱりうまくいかん」という。 あれれ? 白板で丁寧にやってもらうと、たしかにあかん。H-S II の微妙な差と いい、何かにたたられているのかな、、とつぶやく。しかし、 やたら元気な林さんが、考えられる摂動枠組をかたぱっしからつぶしていって、 ちょっと繁雑だけどこれで最後かな、、というのを丁寧に計算すると、 「おお、物理的にあってはならない項たちが綺麗にキャンセルする!」念のため、 計算間違いを丁寧にみなおして、今度こそ間違いない。
tilted periodic potential 中のブラウン運動の拡散係数など既知のことだろう から、先の研究のための準備問題といちづけていたのだが、Reimann らの PRL 2001 によると、閉じた式はないらしい。(ほんまかな?と疑うが、Reimann というのは膨大な文献を網羅したreview を書いた人なので、彼の知識にない、 ということは本当に知られていないのだろう。) Reimannらは そのPRL 論文で 拡散係数の"exact expression" というのを出しているが、 低温の近似式のようにみえる。林さんが夕方に到達した "exact expression"と みかけは随分と違う。"exact expression" がふたつあってはいけないので、 両者の関係を調べて直接数値実験による確認をすることになる。
H-S IIの微妙なずれに結構めげてしまった部分もあったし、明らかに「流れ」 が逃げている気がしていたが、これで「よい流れ」にのれるといいな。
7/14 (月)
H-S III a: simple ratchet の非平衡定常状態における拡散係数の計算を 林さんが丁寧に白板でする。以前に僕が計算したときも途中で ? がつい たのだが、同じところで停滞する。どうも摂動論の設定がおかしいようだが、 解決策がみつからず。
H-S II : なんのこっちゃ。。。。というところ。
7/12 (土) 〜 13 (日)
H-S II: 3月下旬から4月上旬に悩んでいて、間違ったふんぎりをつけていたことを ほぼ確実に理解した。3月に成り立つと考えていた式の証明の間違いに4月 に気づいたことがあった。それが間違いのままだと、どうもおかしい事態に なってきたのだが、ちゃんと別の正しい証明があった。 論理的な理解の不十分な部分がことごとく晴れてくるにつれ、逃げ場がなく なってしまい、H-S II が厳密に成立するかどうかの判定が下されることになった。
ほんの僅かだが有意にずれる。(いくつかの例題のうちもっともきつい条件でも 0.1 % のずれでしかない。) 土/日のあいだに色々あったが、とりあえず、 結果だけしるしておこう。しかし、もしかりにこれが厳密に成り立つ式だとしても、 物理としては不十分な面があった。これでいよいよ物理的な意味を見出さないと、 わけのわからん(非常に精度のいい)近似関係式という、なんとも位置付けが 面倒なものになってしまった。
7/11 (金)
講義終了! カオス講義は、かなりの労力を使ったが、まだ講義の体裁をなして いない。来年は、(チャンスがあるなら)、もうちょっとましにしたい。 熱力学講義は、どの回の講義のどの説明が不十分だったかを完全に自覚できる 程度に進化してきた。来年はもっといい講義をするでしょう。
H-S III b: 朝、昨夜の可能性を手中におさめるための方針をドトールで考える。 うまくいっているような感じもあるが、まだ全体の整合性がとれない。
7/10 (木)
「今晩やっとく」「週末にやっとく」このふたつのフレーズを何回つかったこと やら。。。
田崎さんから H-S II が瀕死状態だ、というニュアンスの指摘がくる。その路線 でのやばい空気は感じていたが、別路線との整合性に納得していないので、 「そうですね」とはいわない。夜、状況を瞑想する。よし、みえた。週末に確認して、 月曜日に田崎さんの驚く顔を楽しみにしよう。(こんなことを書いて田崎さんの いうとおり H-S 絶望だったら、赤面ものだが...。しかし、そもそもそうなったら 赤面ではすまないのだ。)
H-S III b: 実験に近いところまでモデルを一旦おろして可能性を考える。 林さんの「こうすりゃ、びしばしになっているでないか」という指摘を うけて、食後に確認する。よし、復活の気配が十分になってきた。
H-S III a: simple ratchet での先行研究をたたくための摂動計算の整理。 他の研究に紛れてスローペース気味だな。
川崎さんから、月曜日の話の続きを教えてもらう。
KISS: 石原君の「ノイズによる化学反応経路の多重化と選択について」。 KISS 後、町田さんと伊藤研の修士の学生がきて、雑談。
7/9 (水)
H-S III: 昨夜のたうっている間に、方針はできたので、早速朝から計算する。 "force map" となづけたものを、レーザーの動かしかたとトラッピングポテン シャルからつくるだけだが、「僕等が期待しているうまい機構を示す」 ものができない。レーザーのポテンシャルについて、原田君に膨大な情報を 教えてもらうものの僕の消化不良も感じる。じかに話を聞きたいところだ。
H-S I: referee report への返事。基本的に林さんの原案にちょこちょこ手を いれる程度なので時間はくわない。ひとりのreferee が、褒められて嬉しい部分 をべたぼめしてくれている。人間だから理解して欲しい部分を理解されたら嬉し いし、理解されなかったら悔しい。しかし、「褒められて喜ぶことがないように、 自分で自分の研究を納得したい」。言葉は微妙に違うかもしれないが、僕は 津田さんからこれを聞いた。
7/8 (火)
H-S II: 今までの計算を桁違いに精密し、田崎さんの話やDLSが論文で書いている 話との関係も議論できるような計算方法にいきついた。何で、最初にこっちを 計算しなかったのだ、、、というのはわかったからいえる話しだとしておこう。 計算は今週中にやろう。
H-S III: えらいこっちゃ。原田実験に動機づけられたモデルは、次々と楽しいこと をもたらしていた。しかし、何か違和感を覚えて、実験との対応を丁寧に再考する と、どうもモデルで使ったパラメータは、「どうやっても物理的に実現できない」 ところにあるようだ。夜中のホテルでのたうつ。実験と関係ないモデル研究だと開 きなおっても、学問的に意味のある部分は残るが、そういう側面は H-S III a で 議論するので、H-S III-b は実験との対応にこだわろう。
7/7 (月)
川崎さんの「大自由度系における周期軌道展開」:確かにモデルが簡単すぎる かな、、という気もするが、「大自由度系における周期軌道展開」、あるいは、 「大自由度系における典型的な時空パタン」という考えは、まだ誰も手を つけていない領域なので、学問的価値はある、と信じる。自分で手を動かして 確認したいこともできたので、早速やろう... と思ったのだが、後述のように 今日は宿題だらけ。とにかく、「1本の周期軌道で乱流統計を再現する」 ということをシェルモデルでみつけた山田道夫さんとこに(川崎さん と一緒に)8/1に議論にいくことが決定。
大槻君の修論中間発表:履歴依存破壊の機構選択のための新しい実験の提案 という、もっとも恰好いい部分が駆け足になってしまったのがもったいない。
H-S II:田崎さんのつくった H-S II に似た関係式を聞く。相変わらずの見事な 式操作で意味ありげなのをだしている。H-S II とあまりにも似ているので、こりゃ 数値計算の精度をあげれば、H-S II がやばいのでないか、、、と真っ青になる。 時間とともにやばさ意識が大きくなってきて、家にかえってから、田崎さんの やったことを再現する。途中まで記憶と完全に一致するのだが、最後の最後が 違うのでは.... ? H-S IIとそれほどにていない気がする。 ビール飲んで計算 したから勘違いかもしれないが。(と、その後、深夜になって、mail のやりとり 。。。論点はわかった。)
H-S II: 林さんの H-S II の物理的解釈(の可能性)を聞く。おお、それは Hatano-Sasa をだす直前に、僕が考えていたものに近い。今のモデルでは ベタに議論できるだろうし、綺麗に示せたらそれで視野はひろがるだろう。
H-S III-b: 原田実験のモデルでの林さんの試み(素朴なFDTがないところでFDTをみる) を聞く。もうちょい。夜、原田君からのmail がきて、考えることもあるのだが、 容量の限界なので、明日にまわしてもらう。
7/6 (日)
具体的な研究課題は横におき、研究生活に関係する「ある事項」を考えぬく。 だいぶ考えは整理できたが、まだ行動に直結する部分が明確でない。例えば、 研究のすすめかたのように、研究にとってメタな部分を考えても仕方ない、 という意見があるかもしれない。しかし、自分が本当にしたいことは、 日常生活に埋没すると、自分でもわからなくなりがちで、時期をみて 考え抜くことにより、結構それがみえてくると思っている。
そっちの考えが煮詰まったころ、田崎さんの日記をみる。げぇ。H-S II 予想に 関係した算数で、逆演算子を求めなくて計算できるらしい。日記をヒントにして 手を動かすのも何だが、逆を求めなくてすむとしたら、こうするのかな.. ぱたぱた.. でないなぁ。 「頭が腐ってるんかいな。」とつぶやく。娘に「冷蔵庫にいれたら。」と いわれたが、冷蔵庫にいれるのは腐る前でないとだめなんだが。。
7/5 (土)
H-S II (密度ゆらぎと拡張された第2法則): 学会直前の夜に30分でおわると 思っていた練習問題(その0)がなぜかずっとできなくて、4月上旬以降、ノート に書かずに放置していたのだが、今日やるとあっさりできた。一体何を勘違い していたのだろうか。あのころどうも頭が弱っていた感じはしていたが。 練習問題(その0)をふまえて、H-S II を算数的に出すことを考えるが、 これはまるっきりわからない。田崎さんがやっても、自明に導出できるような ものではない感じなので、数値計算(=単なる2重積分)の試行錯誤で見つけた かいがあったと思えるかな (林さんの貢献の方が大きいけれど)。
原田実験のモデルに関するノートを書いて原田君におくる。ついでに、実験との 定量的対応のギャップを埋めるべく、ちょこちょこと試行錯誤してみるが、 すぐにうまくいく代物ではない。無理にあわそうとすると大変かもしれない。 ひょっとしたら、現象が似ていても、機構が全然違うのかもしれない。
7/4 (金)
熱力学講義:講義の途中でアンケートをとったので、講義時間の見積りに少し ミスがあり、時間がかなりあまりそうになった。途中で雑談をたくさんいれて、 許してもらえそうな時間におわった。今年度も空席がほとんどない状態をずっと 維持して、最終週のひとつまえまでこれた。アンケートの結果がどうのこうの より、この空席率が講義の成功のひとつの目安だと思う。(そういう意味では、 3年くらいまでは失敗か...)
カオス講義:シャノンの説明の準備のつめが甘くおたおたする。どうも情報理論 は、皮膚感覚的に馴染んでいないなぁ。
7/3 (木)
原田実験をちゃんと説明してなかったので、(その1)だけ簡潔に説明しておく。 レーザーの高速走査で歯車的ポテンシャル中のブラウン粒子の運動を設定 しようとする。レーザーを動かす速度と拡散時間との兼ね合いで、 断熱的に歯車ポテンシャルができている、と第一近似的には想定される。 が、この状態での拡散係数と外場を加えたときの易動度をはかると、 20倍もの差が生じてしまう、、、、のが、実験結果(その1)である。 [(その2)は略。学会発表でも修論でも、実験の主眼は(その2)の方にある。]
実験結果(その1)を記述できる数理モデルの選択についてあれこれ試行錯誤 をしてきたが、なんとか見通しがたった。「20倍」に近い数字もだせる。 ただし、実験設定との定量的対応はまだ直接的ではない部分があるし、 「20倍」の起源についてはまだわからない。さらに、そういう異常な 状態においてでも、正しいFDTが残ると期待しているもっとも野心的な 部分についてもこれからである。
7/2 (水)
カオス講義は残すところあと2回らしい。時系列の「平均的な不規則さ」を定量化 するものとして、Kolmogorov-Sinai エントロピーを導入し、「予測不可能性」を 定量化するものとして、Lyapunov 指数を導入し、両者の関係を議論する。これを 2回分におさめる。物理的なモデルの解析では「きちんとした議論」を 行うことに限界があるので、あきらめて1次元写像に限定し、高次元化の拡張への 雰囲気がわかるような構成にする。(本当は、高次元の場合は、条件がつきまくって、 詳細は異常にしんどいのだが。)
さぁ、原田実験だ。。。今日でダメなら、しばらくはダメでしょうな。
7/1 (火)
朝の電車で Chris に送るノートに手をいれて、まだ6月のアメリカにおくる。 6月中におくる、という約束を果たせて自己満足。不思議な関係式だが、 成り立っているのだから仕方ない。 論文草稿は近いうちに林さんが書きはじめるだろう。
原田実験の理論化の山場。おかしぃ。