my daily study (October 2002)

日々の研究

日々の研究(リスト)

10/31 (木)

おかしい。ハミルトン系+境界熱浴で、まともそうな熱伝導状態が実現して、 温度勾配も密度勾配もあるのに、圧力が空間的に一定にならない。計算している 式がおかしいのかと検算をした。運動量連続の式から得られる運動量流速の ミクロな式をビリアル定理風に書き直したものを測定しているのだが、これは 連続体力学のレポート課題の核心部分でもある。式変形のひとつひとつ丁寧に おってあっていることは確かめた。プログラムのバグもまだみつからない。 うーぬ。

10/30 (水)

朝5時半におきて、朝食前に熱伝導系での圧力測定プログラムを書く。 モデルを色々といじっていると、本体の総入れかえをしたくなってきて、昨日の モデルをあっさり捨てる。(FIO-motor も捨てる。) 今日のモデルで、力学特性や 緩和特性や熱浴特性やらすべて最初からやりなおしをする。うーむ、あっちを たてればこっちがたたずか。みたいものを簡単に議論できる題材を確保するのが 目的なので、ちょっと汚いのは我慢するか、、という妥協の産物ができつつある。

Hayashi-Sasa 論文草稿をいじっていると、introduction の総入れかえをしたく なって、8割程かえてしまう。まだまだ落ち着きが悪い。

Wada-Sasa 論文草稿は(英語チェックを除いて)最後のいじりの予定。

10/29 (火)

6時おき。朝の電車の中で「SSTの次の課題」をぼーと考える。 学位審査会の後、今日は基本的に研究日にする。

昔昔、第2法則の拡張は不思議だったが、わかってみれば算数的には既知のことで、 エネルギー対応は自然なことだった。ちょい昔、(自由エネルギーを与える)積分可能 条件の拡張は不思議だったが、わかってみれば、ほぼ自明なことだった。次の問題は、 「接触」と「凸性」である。DLGでは(おそらく)だめで、ハミルトン系に移行する しかない。この一ヶ月、そのデザインに悩んでいたのだが、 朝の電車でふんぎりをつけた。

FIOの存在、および、その定量的関係の検証(or 反証)が可能なはずだ。10/7の田崎 さんとの議論ででたことを応用して、"FIO をつかって動くモーター", FIO-motor でもみせれば、ぱっとみも派手でいいだろう。(FIOがあればだが...)

というので、FIO-motor をつくるべく、地道にハミルトン系や熱浴の基本測定を 行う。。。のが賢いのだろうし、長い目でみたら得なのだろうが、性格上、 最初に FIO-motor のプログラムを書いてしまう。.... わけがわからんので、 妥協してFIO からみることにする。.... ええと、やはり、状態方程式からか。

10/28 (月)

午後、田崎さんと格子ガスやSSTについての雑談。格子ガスとSSTの凸性の相性の 悪さを克服する道がないものか、、というところで、林さんが昨年提案していた 斜め格子が一瞬よいと思ったが、そう簡単ではなかった。

連続体講義がおわったあとで、97年の大学院講義ノートの質問を大槻君から うける。「○○は容易である」と書いてある本当の意味は「○○はやっていない」 という酷いノートであることがばれてしまう。自分でも怪しさに気づいている箇所 でもあるが、改訂をしていない。とっさの議論では完全にクリアーにならなかった。 いかんなぁ。落ち着いて改訂版をつくらないといけないのだが。。。

10/27 (日)

月曜日の連続体力学の準備。先週だしたレポート問題は、金曜日に林さんが白板で 解いているのを横でみていたから、自分ではもうやらない。

論文いじり。

10/26 (土)

次女、七五三。夜、論文いじり。

10/25 (金)

昨日、松尾みき氏の学位授与が正式にきまった。

熱力学極限をとってから線形応答をみるのと、線形応答をみてから熱力学極限をとる のは同じかどうか、という問いは、極限順序に関する数学的に細かい問題でなく、 物理として大事な点を含んでいるのでないか、ということを、院生のとき同学年 院生だった河野と突発的に長時間の議論をして納得し、研究計画ノートまで書いた。 が、両者の一致を問うだけなら、formal にすぎるし、刺激も足りないなぁ、 というので、つめないまま現在にいたっている。

みき氏の学位論文のもっとも大きな主張は、ガラス状態においてはこの順序の交換 が成り立たない、ということを、ある(特殊な)モデルで明確に示したことにある。 (ちなみに、気体/液体状態では順序の交換は成り立つ。) その結果、C-K の ガラス における FDR は、線形応答をみてから熱力学極限をとったものでしか成立せず、 その応答がみえる外場の範囲は熱力学極限でゼロになる。つまり、 順序のとりかたが非現実的になっているのである。熱力学極限を とってから線形応答をみるならC-KのFDR はみえない。研究の出発点になった準静的 過程で有限にのこる不可逆仕事だけでも面白いが、 C-KのFDRとの数値実験による格闘をへて、より明確な主張に至ったのはよかった。

欲をいえば、そういうある種の構造不安定性を踏まえたうえで、そこに法則やら 構造をみいだせれば楽しい。履歴依存だの構造不安定だのと普通でないことが、 ばしばしおこる系なので、いきなり一般的なことを目標にするのは難解すぎるので、 まずは具体的な問題設定からだろうけど。

10/24 (木)

KISS: 福島さんの「温度カオスとスピングラスの記憶実験の解釈について」。 解釈は(だいたい)理解できたが、完全に納得できず、といったところか。 お茶かいは、その延長戦みたいな感じではじまり、粉や泥で対応する実験 ができないか、というところをだらだらと話をする。

10/23 (水)

昨日の談話会に関して、清水さんからこれをよめ、というmailがおくられて きた。(諸般の事情により明日印刷してよむ。) 昨日の談話会には清水さんは いなかった。

忘れないうちに、履歴依存破壊の中原実験に関する昨夜の試行をノートに書く。 どこまでが自明なことなのかもまだはっきりしない。

金曜日の講義の準備をして、書類草稿をかいて、"DLGに熱力学 (SST)があるぞ"という Hayashi-Sasa 論文に手をいれるが、集中力がきれてきた。今日中に連続体の レポート問題を自分でも解いておくつもりだったが、週末に延期だな。

10/22 (火)

朝の電車:Wada-Sasaの論文草稿チェック。正しい計算がおわると同時に論文草稿が できているという素晴らしい状態なので、あとは、言葉や表現をいじくるのみで ある。来週あたりに何人かにみてもらって、順調にいけば、11月上旬に投稿だろう。

朝、たまっていた書類をかなり処理する。全部処理したと思ったが、e-mail の 返事忘れがあった。昼、SSTに関連した実験をやってくれるかもしれない学部生に、 長距離相関や非平衡圧力の話しをする。話しをしながら、和田君との話しの熱伝導 バージョンをつくっておくことは実験との対応をみる上では大事だ、、とは思ったが、 しんどさは半端でない。

午後、ハミルトン系+非平衡の問題を設定から再考していると気分が悪くなって きたので、履歴依存破壊に関する中原実験を念頭においた大槻モデルで遊ぶ。 ときどき、大槻君と話しをしながら、あれこれと試す。帰宅して続きをやったら、 おぉ、ある条件である操作を行うと明らかにある特定の性質をもった状態に おいこめている。すさまじく単純な系なので、その現象を算数で理解してみよう。

夕方、物理談話会で、鳥居さんの BEC 実験の話し。 number state にある(だろう)ふたつのBEC を接触させたときに干渉がおこる ことについて、不思議な気がして質問していたが、質問しながら量子力学って そういうものか、、と頭の隅でしてきた。測定の仕方を明示した上で量子力学 に忠実に考えればいい、、というので尽きている、と納得していいのか? 超流動状態にある物質のはいったふたつの箱をパイプでつないだときのカレントは 如何に? というアンダーソンの思考実験の答えはどうなんだろう? (カレントをどう測定するか、ということを指定しないと答えが決まらないの でないか、、、と能天気な発言をしてしまったが。)

10/21 (月)

連続体講義のレポート問題: 運動量保存の式で運動量流速テンソルの形を議論する。 微小領域を考えて、そこでのミクロな運動量移動の式を書き下すと、平均流がはこぶ 運動量流速以外の寄与がある。これは物理的に圧力の形をしているように見えるが、 本当にそうだろうか。平衡状態の場合、この式が統計力学によってきまる圧力 (= 壁をおす力としての圧力)と一致することを示せ。

講義では、運動量移動の式を完璧に表現するのをやめたために、次元がくるった おかしなことになってしまった。直感でわかりやすいように、と思って、内部と か外部とか境界とか書いたのがいけなかった。領域内の全運動量のミクロな表現を θ関数をつかって書き、それの時間変化を考えて、運動量流速テンソルのミクロな 形を求めてください。講義で書きたかったことの正しい表現をえます。レポート 問題は、この表現を書き下したのち、平衡状態の場合に圧力と一致することを示す ことになります。(* 日記を読んでない学生で、解こうとしている学生がいれば、 日記を読んだ学生から連絡をしといてください。)

朝、田崎さんの講義に今日もでる。講義で具体的に説明するより先に評価してやる、、 と集中したが、パーコレーションへの反応はやはり遅かった。評価の方針を聞いた あとでは、まずまず反応できたが、どの程度のラフさでどの程度の結果が示せるか、、 ということに関する「感じ」はまったくもってない。というので、しばらく講義に でてみることにする。

10/20 (日)

朝、明日の連続体の講義の準備。当面のゴールを具体的な問題の中で明確にし、 連続体の基本的な考え方を数式として順次表現していく作業を2週間かけて おこなう予定。(色々な分科の学生がいるので)数理的にはなるべくやさしい 議論ですむようにこころがけるが、夏に僕のセミナーで安定性の論文輪講を した学生たちの顔を思い浮かべながら、(本来はまじめに考えるべき)本質的 でやや骨の折れるレポート問題をひとつだすことにする。

10/19 (土)

朝、数値積分のバグをみつけ修正する。和田君の答えと無事に一致したのでおしまい。

午後、具体的には一ヵ月前の和田ノートからはじまった結果の意義とそれとまっこう から対立する数値実験の結果についてどうコメントするか、という考えを整理する。

10/18 (金)

統計力学講義:大数の法則を実感するために、たくさんのコインを1回投げたときの 表と裏の数のレポートせよ、という課題を毎年だしているのだが、今年は数名の解答 があった。銀行で1000枚の10円玉に両替して実験した人や500円玉を 100枚なげた人や投げる枚数をかえて数回にわたる実験をした人などがいて、 面白かった。先にスターリングの公式をつかってしまうと味気ないが... おかげで、疲れていたのを忘れるくらい楽しく講義ができた。

夕方、林さんと論文にのせるデータの状況を整理する。 既に説得力のあるデータになっているのだが、ここまできたらやけくそで、 もう半月くらい計算機に頑張ってもらって、圧縮率、ゆらぎ、化学ポテンシャル のみっつのデータが外場の強さや密度をかえてもピターと一直線にのることを みせたい。(つまり、driven lattice gas で熱力学関係式や揺らぎの関係式が 成立するという数値実験の証拠。)

夜、和田君と数値積分の結果を比べるとあわない。検討をはじめるが眠くなって 途中でダウン。

10/17 (木)

KISS:数自由度系におけるトーラスの壊れかた(?)について。 お茶かい、佐藤さんの結晶成長の話。kinteic regimeでの相変化や不安定性 が関わる話なので、相図をだす、という大きな目標をおいといても、うまく 設定すれば面白い問題がありそうだけど、すぐにはわからない。恒常的な 刺激が大事なのでお茶かいでトラペなしで3時間きいておくのはよい機会だった。

10/16 (水)

妻にいわせると、最近頑張っているように見えるらしい。家で研究するときも、 部屋の中をウロウロと歩きまわったり、寝っころがって瞑想することも多く、 そういう風景に見慣れていると、最近のひたすら計算し、ノートを書いているのは、 何かおかしくみえるのだろう。(明らかに睡眠も少いけど。)

別に頑張っているわけではない。たまたま、最近、「詰めろ」がかかった問題に 関わっているので、集中しているだけである。漠然とした方向性しかなかった アイデアを具体化できそうだ、と和田ノートを見た瞬間から思っていたが、いざ きちんと処理しだすと色々な問題がふきでてきて、それを片端から和田君と つぶしている。大きな山場は3連休で越したと思うが、こういうのはいっきに やった方がいいし。

「詰めろ」モードは、楽しい作業ではあるが、研究という感じはしない。 もうゴールに到達することは確信しているから、いかにそこにもっていくか、 ということを懸命に考える。孔がでてくれば上手につぶす。(といっても、 今回のも下手をしたら、途中で孔を防ぎきれずに、ぶっとんでた可能性もあった。 かなりの偶然が作用して運がよかった。) 僕にとっての9割以上の研究時間は、 そんなことをしていない。

研究初期:例えば、最近の中原実験の理論化がそう。とりあえず手を動かし、文献を よみ、あれこれ考えるが、まったく何も見えてない。しかし、やれることはたくさん あるし、幼稚なレベルの理解の進歩でも嬉しいので楽しい時期である。

研究中期:例えば、6月頃のdriven lattice gas のSST探索がそう。思いつくありと あらゆる試行錯誤は全部やったのに、筋がとおらない。精神的にも苦しくなって くる。今までの経験では、この時期がもっとも研究らしいと思う。基本的なレベルは 全て抑えた上で、理解したいと思ったことに到達できないとき、とにかくあの手 この手を考える。99%だめでも考える。で、、そのまま静かに撤退することもある。

この研究中期に撤退して、論文がゼロになっても、あの手この手で考え抜いたこと は、皮膚に焼き付く。今「詰めろ」モードの研究も6月終りに偶然獲得したアイデア が基盤になっているし、DLGの熱力学が肯定的な結果になったのもそのときあがいたから だと自分では思う。研究後期の「詰めろ」は、おまけみたいなもので、、、と いってはいけない。昔ならそういっていたかもしれないけど、やはり、 きちんと詰めて、他人にも理解してくれるところまでもっていかないと。。。

10/15 (火)

午前、事務仕事。林さんと少し話しをしたあと、和田君と各種論点のつめの確認を する。まだ計算間違いがあった....。僕も和田君と独立に計算しているつもりだが、 ノートに目を通しているせいか、符合とかは無意識的にそこにひきずられているの かもしれない。符合のミスがあっても大きな影響はないが。

10/14 (月)

この3連休で、ずり系での長距離相関と圧力の非解析性の問題をほぼ完全におさえ た、と思う。和田君からくる計算ノートを画面でみながら、自分でも(少しだけ違う 方法で)計算し、全体の論旨構成を考え、定量的なこともつめた。[おっと数値積分が ひとつ残っている。] ずり系の実験でこの効果をみるには、(ニュートリノを観測す るよりは簡単だが、)途方もないので、実際に実験をするには適当な題材ではない だろう。しかし、関係する物理量が、物理的根拠のはっきりしたモデルで、根拠の はっきりした近似だけをつかって、閉じた形で明示的に計算できるので、学問的な 理解を深めるには重要な例題研究だと思う。

結論:輸送スケールが系の大きさより長ければ、長距離相関は系全体にひろがり、 (わずかだが)圧力は示強性を失う。系の大きさが輸送スケールより大きければ、 長距離相関は輸送スケールで抑制され、圧力は示強性を回復する。この代償として、 圧力の非平衡度に関する解析性を失い、Kawasaki-Gunton を得る。

個人的には、非解析性がどうしたより、熱力学量が長距離相関と共存しているのが 喜ばしい。 このモデルで共存がなければ、SSTどころでない。共存する理由が明示的なのもいい。

日記をみると、6/26に問題提起をして、9/15に断念宣言して、9/20 の和田ノートで 復活したようだ。6/26の問題提起は、driven lattice gas の数値実験のとある結果 の解釈からはじまったのだった。しまった、DLGは、論文投稿用データをとっていた のだが、確認するのを忘れていた。そろそろ、新しい jobをいれる頃だった。

10/13 (日)

日中は、高価な服を買い、贅沢な昼食をし、娘たちと遊ぶ。早朝と夜中は、 ごりごり計算する。

10/12 (土)

Lutsko-Dufty ('85)を読む。地味だが確実な研究は、何年たっても役にたつ典型例 のような論文だ。欲しかった情報のかなりの部分が議論されており大いに助かる。 相関関数の計算技巧を自分に気持のいいように構成しなおすと、イリノイRGの「のり」 と同じになった。

10/11 (金)

統計力学講義。一般的導入のあと、式の導入もちらっと。来年からしばらく統計力学 の講義から離れるので、最後のチャレンジで、熱力学から入らない工夫をしてみる。

会議:いよいよ独法化がはじまるので色々と事務的な仕事もふえそうだ。学位審査 報告終了。あとは忘れずに書類を提出するだけ。

10/10 (木)

朝、fluctuating hydrodynamics 関係の大量の論文をdown-load する。うーむ。

午後、KISS:中江君の蛇行は、蛇行しないしなぁ。お茶かいは、中原実験について。 ふくしまさんがとびこみ参加され、スピングラスでの記憶実験の話しを丁寧に聞く。 同じような問題ではあるのだが、記憶はスピングラスの実験の方が派手だなぁ。

10/9 (水)

中原実験の大槻モデルをいじくったり、和田ノートをいじくったり。夜は 疲れがたまっていたので早々に寝る。

10/8 (火)

Granickの論文 Science, 295 , 663 (2002) をdown-load する。こういうのをみ てしまうと small scale での 非平衡性 を議論する難しさを感じてしまう。 わけあって、Forster-Neslon-Stephan (1977) を棚からとりだして、16年ぶりに 眺める。

大槻君、中村君と中原実験の話しをする。大槻君のモデルで本質的によいなら非常に 不思議な気がしてきたので、夜に没頭して考える。 ランダムな凍結をつくったり、 エネルギー最小状態に凍結させるのはできるが、実験が示唆しているような状態へ の凍結は簡単にできないと思うので、実際にやってみる。ならないぞーー。

10/7 (月)

ちょうどいいタイミングで時間があいたので田崎さんの講義を覗いてみる。 導入だけでなく、一回目から式を書いた導入も用意してあって、最後の10分 で次回に繋げたのに感心する。なるほど、パーコレーションからはいるのか。

午後は、田崎さんやSST絡みの実験をやってくるかもしれない学部生と議論 をしながら、途中、自分の連続体力学の講義にいく。式を使わずに喋りつづ ける。そういう(頭の中での)準備しかしていなかったので、予定どうりなん だが、朝きいた講義との差を感じてしまった。

10/6 (日)

朝、書類書き。午後、買物のあと公園で遊ぶ。疲れたのか夕方寝てしまう。

明日から冬学期の講義がはじまる。月曜日が連続体力学、金曜日が統計力学。 とりあえず、明日の講義の構成を歩きながら考える。

10/5 (土)

終日、和田ノートの論旨整理と格闘。昨夜の混乱は理解できたつもりだが、 技術的な問題がまだ少し残っている。

10/4 (金)

教務、ガイダンス、学部進学内定者歓迎会。

林さんのこれからの研究計画をきく。今までやってきたことの延長とはいえ、 摂動計算や数値計算の可能性を自分で次々と提案するのはよいことだ。自分が 知りたいことは何かというのを常に問い、それを知ろうと本気であがいているうちに、 研究力はついてくると思う。楽観的な言いようではあるが、簡単なことではない。 何が知りたかったのか見失ったり、あがいているうちに単なる中毒になって しまったりするのは、自分の短い研究人生でも何度もあった。

電車の中で TWBCL を熟読するも最後の非自明な部分の機構が頭にはいってこない。

夜、和田ノートの論旨整理。何度目かの混乱に陥り、寝るのが遅くなる。

10/3 (木)

朝、事務仕事。午後、セミナー。夕方、会議。

正午前に、大槻君と中原実験の議論をする。大槻君はレオロジー的に無理の ない範囲の簡単なモデルから出発しようとしている。叩き台としてはありえる ひとつの道である。第0段階の振舞を整理していると、微妙に僕と主張が違う。 操作と記憶のされかたについて僕が誤解していたようだ。

中原実験の問題を叙情的に言えば次のようになる。「誰かが系に何かをした。 見掛け上の痕跡は残っていないのに、あとで何をしたのかばれてしまう。今のところ、 したこととばれたことの因果関係は(中原さんがみつけた)経験則でしかなく、 しかもその経験則は不思議としかいいようがない。[よくぞみつけた!] この経験則を「定量的な対応関係」までつきつめよ。」

抽象的にいえば、「(ポテンシャルが一般にはない)多重安定系に対して、ある クラスの操作とあるクラスの解に「定量的な対応関係」が存在していそうなので それを明らかにせよ。」ということになる。

関連した研究はないこともない。中原実験の現象とモデル化とありえる描像を 考えていると、TWBCL (1987)の匂いがプンプンしてきた。この論文、僕が M2のとき、 研究室の昼食会でちょっと眺めて、ほう、面白い、、と印象に残ったのだが、 論文を熟読することもなかった。著者の一人、P. Bak 氏は、この論文のアイデアを さらに宣伝化(大衆化?)し、self-organized ciriticality (SOC)にいってしまった。

中原実験のもっとも本質的な部分が TWBCL (1987)で尽きているなら、もうひとつ 盛り上がりに欠ける。が、機構の詳細は頭にのこっていないので、何ともいえない。 それでは話にならないので、down-loadして、(電車の中で)熟読することに する。[どうでもいいが、昔見たpreprintと絵がちがっている。なんでこんな しょうもない情報だけは頭に残っているのだ? その昼食会でこのpreprint に関して、ボスの蔵本さんと交わした会話も覚えているし。記憶というのは不思議 なものだ。]

10/2 (水)

和田ノートの積分評価:初等的なミスを繰り返しながら、複数のノートを和田君 に送りつづけ、電話でミスを指摘してもらい、やっと安定してきた。

誰もが知っているモデルの簡単な解析で、明快かつ非自明な結果になったと思う。 (ほとんどが和田君の計算で、僕はεオーダーしか寄与していないが。) 結果の鮮やかさだけでなく、その簡単な解析の次にくる理論が非常にそそる。 ハードなので今すぐやるものではないが。

昨日、1昨日と、並列作業の日だったが、今日はこれ一本に集中した。 深呼吸してもう一度丁寧に論旨構成を確認する必要があるが、週末かな。

10/1 (火)

ハミルトン系+非平衡:まだ緩和特性の理解と格闘中。バグかいなと色々と確認 するもバグではない。夜中に考え直すと、力学系的には面白いことが起こっている ようで、これはこれで楽しいかもしれないが、本論からはずれるので、作戦を 練り直さないといけない。

と悩みつつ、レオロジー履歴の中原実験に対するモデルIIの叩き台を実装する。 夜中にバグをとり、とりあえず、中原さんがやったのと同じように、操作を 加えてみる。ゆーくりゆすると、おお、実験と同じ傾向にはなっているが、 なんか、しょぼいなぁ。シャープな現象にしないと思考がすすまない。まぁ、 これからだ。

朝の電車と夜中、揺らぎの長距離相関と熱力学量の共存に関する和田ノートの 積分評価と格闘する。おお、いけそうかな、、というあたりで、丁寧な計算は 明日にまわして、和田君にメモをおくる。(狂っていた。やりなおし。)

先月の日々研究