8/30 (金)
朝から複数の事務仕事の並列作業を頑張った。終了したのもあるが、さ来週の 水曜日までは色々とあるなぁ。
事務仕事のあいまに、たくさんのデータを系統的にとれるようなプログラムを書いた。 とりあえず、テストとしてとばしておく。
帰る間際に院生室によったら、Cover-Thomas のセミナーをやっていた。シャノンの 公理系からの導出を練習問題としてやっていたが、むむ、おかしいぞ。ええと、 その場で考えたが、その公理系からの導出はちゃんと手を動かしていなかった せいもあって、方針を即答できない。家に帰って目だけでよむ。少なくとも 補題を二つくらい先にしめしたあとで、主要部の証明をするが、結構な手数だ。
8/29 (木)
driven lattice gasの数値実験の論文構成を真剣に考え始める。「公開グラフ」の presentation の仕方を論文の構成と併せて考える。それにあわせて、投稿用の データをとればよい。(圧縮率の値でみて)平衡からもっとも遠い、周期境界/熱浴法/ 強外場/half-filled の場合は、熱力学極限の考察も含めて、かなり説得力のある データが(林さんとともに)蓄積されてきたので、安心できる状態に近付いてきた。 しかし、すくなくとも、外場の強さや密度を系統的にかえたときのデータも とっておこう。[強外場 や half-filled の特殊性がちょっと気になりはじめた。]
定常状態における熱力学関数の存在を自然であたりまえと思うか、信じがたいと 思うか、人によって随分と違うだろうが、信じがたいと思う人をふりむかせたい のだら、数値の精度やグラフのプレゼンにこだわろう。
外場に関する凸性の問題は、driven lattice gas のような玩具で考えるべき 問題でない、というのが正しいと思う。エントロピーの統計的/エネルギー論 的解釈は、driven lattice gas で欲しいところだが、まるっきりみえてこない。
8/27 (火)
佐野研で東北の早川さんのセミナーがあったが、仕事が終らないのでいけない。 夕方、やっとひと段落したので、残りは明日にまわすことにして、研究にもどる。
数値実験で当面問題になっているのは、圧力がらみのデータの整理なので、 数字の列をぼーと眺める。熱力学極限での収束をはやくする工夫が問題なの だが、こういうのも大事だ。とりあえず、サイズを1.5倍にしてデータをとる。
さてと、エントロピー問題を考えるか...
8/26 (月)
朝の5時半におきて書類仕事をやっつけようと思ったが、はかどらない。てきぱき やれば研究の合間にできることだろうが、しんどいなぁ、と少しでも思うと、 書類はたまるばかりだ。
帰る間際に田中君がきて、衝突実験の最近の進展を聞く。
8/25 (日)
Hatano-Sasa により、全発熱から詳細つりあいを破る力のする仕事をひいたものを Oono-Paninociのいう過剰熱とすれば、第2法則の拡張がなりたち、エントロピーは シャノンになる。だから、エントロピーがシャノンなら、エネルギー論の対応も ばっちりになる。ところで、driven lattice gas でいまやっているのは、圧力と 化学ポテンシャルを操作的にきめて、積分可能条件をチェックし熱力学関数を つくる、という Sasa-Tasaki 流なので、そこから決まるエントロピーがシャノン になるかどうかは全く自明でない。Sasa-Tasaki 流のエントロピーがシャノンと 一致する条件を書き下してみたのだが、そんな条件が成り立つとは思えない。 実際、強外場摂動論でごりごり計算すれば偶然一致しているかもしれないが、 もうちょっと関係を見極めないとペンを動かす気になれない。というので、 ふわふわした一日をおくる。
8/24(土)
恐竜博にいく。1臆年前の地球の姿に思いをはせ、進化のありようを感慨深くみる.. という気分になれない人波で、なんでこんなに人がくるのか、という社会学的な 疑問が先にきてしまった。次女は歩くのを放棄するし、非常に疲れたので、帰宅後 はほとんど横になる。
ときどきおきて、ちょこちょこと計算を走らせる。 来週中には公にできそうなのが だいぶでそろうだろう。しかし、エントロピーの方は厳しいなぁ。強外場の摂動論 で求めた結果をみていると、まともな統計があるように見えないし、 エネルギー的な解釈があるような気がしない。
8/23(金)
とりあえず、外場固定のもとでの、熱力学関数の有意味性を考える。例えば、driven lattice gas world で実現する相転移に対して(外場固定の)クライペイロンは いえる。ただし、そこでの非平衡エントロピーは非平衡自由エネルギー経由で 決まったもので、そのエネルギー的解釈や統計的解釈は未定のままである。 とすると、それらを探索するのがすぐにやるべき課題であろう。すぐに思い付く 予想があったが、帰りの電車でつぶれた。風呂にはいりながら、 今日の第一候補を絞り込んだが、さてどうなることか。
予定していた書類書きはすすまず。精密測定は少しづつ。
8/22 (木)
driven lattice gas での SST等式の成立、つまり、非平衡外場を引数とする 非平衡自由エネルギーの存在は、サイズスケーリングの検討段階にはいっているが、 まだ等式成立を疑うデータはまだでていない。しかし、FIOの符合が反対にでること からもわかるように、その非平衡自由エネルギーは正しい凸性をもっていない。 これは、非平衡オーダーパラメータΨを引数とする非平衡自由エネルギーを つくれないことを意味する。等式検証を終えたら、自由エネルギーの形を数値的に 書いてみる予定だが、今までのデータから「凸性の破れ」の感じをつかんでみる。
ふむ。外場がある臨界値をこえたところで、凸性が破れるような気がする。この破れと 物理現象が関係していたら面白いのだが、そういう風にはみえない。外場に関して 2次までの領域に限定すると、Ψを引数とする非平衡自由エネルギーをつくれるが、 それだと迫力不足だな。。しかし、driven lattice gas model の外場依存性を まじめに考えると色々なところに外場依存性があらわれるはずだから、(外場固定 の現象は不変なままで)凸性を回復するようにそれらの寄与を与えることはできるな。。 などなど、むにゃむにゃと不毛な一日を過ごしてしまった。
まぁ、揺らぎの関係式と熱力学関係式の成立だけで十分非自明だと思うので、 その部分だけで論文書くのが妥当であろう。。。と自分自身を納得させる一日 という位置付けだな。
8/21 (水)
朝、昨夜とばした精密versionの結果をみて、昨日のアイデアでいけることを確信 する。(これでこけていたら泣くぞ。) 揺らぎの関係式に焦点をあてた論文を途中 まで書いていたが、非平衡定常状態における熱力学関数の存在をmainにした内容に 変更しよう。揺らぎの関係式はそのおまけにする。論文投稿用データをとりながら、 論文書きだ。
午後は、事務的な仕事を数件処理しないといけないので、研究は夜からになる。
8/14(水) 〜 8/20 (火) [休暇」
8/19まではペンをもたず、タイプをせず、論文を読まずに過ごす。8/19の 昼から徳島から東京へ船で移動する。台風の強風圏内をぎりぎり避けながらの運航 だったので、激しく揺れる。酔いどめ薬のおかげで吐き気を感じないが、 内蔵がよじれた気分になってきたので、ひたすら寝る。 寝ながら頭の中で状況整理をする。
8月上旬のアイデアは悪い気がしない。強外場摂動論の解析ではSST等式がきちんと 成立する。しかし、一方、driven lattice gas の数値実験では、僅かだが有意に ずれている。両方の結果を整合的に解釈できる可能性はないのか? .... こじつけ気味 だが、ないこともない。とりあえずその解釈を認めて、もとのアイデアの本質を残した まま、数値的に正しく捉える可能性はないのか? .. おお、ある。こっちが より簡単で自然だ。なぜ、こっちに気づかなかったのだ。その考えは熱伝導系に 適用できるのか? ..おお、それでよいではないか。.... で眠ってしまう。
8/20、地上におりてもまだ揺れているが、船のなかで考えたことをノートにかき ながら思いだそうとする。部屋の整理や休憩や昼寝をしながらの作業で、全てを思い 出したのは夕方だった。速攻でプログラムを書き、テストランを走らせる。よし! データの精度をあげたら僅かなずれが見えてきた過去の歴史があるので、 まだ喜べないが、8月上旬の数値実験と同じような精度のでかただとすると、 非常に期待を持てる結果だ。
ただし、摂動論にしても数値実験にしても、FIOの符合は反対にでる。この解釈 は依然としてわからない。平衡を特異点にして辻褄をあわせる、という強引な やりかたで折り合いをつけることはできるかもしれないが、形式的に進むのは 危険な気もする。Kawasaki-Gunton や 長距離相関の存在と対になって折り合いを つけれたら美しいのだが。 これはぼちぼちと考えるが、driven lattice gas で 必死に考えるより、ここいらでハミルトン力学系+非平衡に移行 すべきかもしれない。(モデルの設定は頭ではできている。)
8/13 (火)
夏休みの間に、driven lattice gasの揺らぎ関係式だけで論文を書いておくはず だったのに、強外場摂動論の余波で、数値実験でのSST等式成立の芽がでてきて、 一瞬もりあがって、結局、再び迷走モードになってしまった。(強外場摂動論 での成立は間違いないが、摂動論を組めるようなモデルに恣意的に選んでいるのが 気に入らない。) 明日から、1週間の夏休みなので、今日は実質なにもせずに、 のたうっていた。8月後半は結構な量の(研究でない)仕事があるのでしんどいなぁ。
8/12 (月)
重力場中の平衡気体では密度分布が非一様になる。密度分布を求めるには、 圧力と重力のつりあいの式にその気体の状態方程式を適用すればよい。 初歩的な問題であり、悩むべきところはない。
ところで、この問題に対する別解がある。 熱力学的には、粒子流がないように つりあうのだから、重力も含めた化学ポテンシャル(つまり、化学ポテンシャル と単位物質量あたりの重力ポテンシャルの和)が一定になるように、密度分布が きまると考えてもよい。
どちらも自然な考え方で、同じ結果を与えるが、ふたつが同じであることは決して 自明ではない。[同じ結果になることの証明を(理想気体に限定せずに)書き下そう。] そこを納得して、2番目の考え方をじーとみると、それは平衡化学ポテンシャルの 測定法を与えることに気づく。
さて、この問題を熱伝導にやきなおす。熱伝導中の定常状態気体では密度分布が 非一様になり、圧力のつりあいの式にその気体の(定常状態における)状態方程式 を適用することにより、密度分布を求めることができる。例えば、ボルツマン方程式の 熱伝導解では、このようにして密度分布を具体的にもとめることができる。 とすると、この考え方に対応する2番目のアプローチはどうなるのか? 密度分布は、 (定常状態)化学ポテンシャル+「何とか」=一定という形でもとまらないのか? 今の場合、「何とか」はいらないのでないか? それなら、それを使って 化学ポテンシャルが直接測定できるのでないか?..... あれれ??というのが 8/10(土)からの混乱だった。
最初の一歩を大きくはずす方向に考えはじめてしまったので、混乱をとくのに時間が かかってしまった。大きな誤解はなくなったと思うが、定常系の化学ポテンシャルの 操作的定義がデリケートであることを再認識して、ため息をつくことにもなった。 いけると思っていた最新の数値実験測定法も、本当にいいのかどうかわから なくなった。
8/11 (日)
SST等式の僅かなずれが本物かどうかを時間をかけて丁寧にみようとするが、 どうも本物っぽい。関連する別件(熱伝導)の方はもっと混乱している。
8/10 (土)
最近のアイデアは、定常系と平衡系を局所詳細つりあいをたもったままつなぐ、 という5月に採用した基本方針を受け継ぐものだが、外場をいじらずに周期境界を たもったままできるように工夫しているのが新しい。一発目はよかったのだが、 データが整備されるにつて、SST等式からわずかに(有意に)ずれそうな気配である。 グラフで眼でみただけだと区別がつかないくらいのずれだが、統計上有意な差が でてしまえば、結果を受け入れないといけない。うーむ。
関連して、同じアイデアを熱伝導ボルツマンに適用しようとして、 混乱してしまった。寝たら解決すると思い早々に寝る。
8/9 (金)
つめ:初歩的なミスの連発でなかなかすすまない。Netscape の機嫌も悪くどうも 不安定なようだし、file の up load も思うようにできない。
帰りの電車は中村君の提起した問題を考えていた。僕もまだ納得していない 問題だし、最近の理解の進歩をふまえて自分の考えを整理しよう。
8/8 (木)
火曜日の結果のつめ:系の大きさや測定に関するパラメータを少しづつかえて 詳細なデータをとろうとする。細かい詰めは苦手だが、成立圏内にあるデータを 成立濃厚レベルまでもってこれたら楽しい。(強外場摂動論で解析したモデルでは 成立するのだから、成立したって驚くことではない。)
似たようなアイデアでボルツマン方程式の熱伝導解に対して非平衡化学ポテンシャルの 定義ができる気がするので歩きながら考える。
8/6 (火)
昨日、やや強引に机に向かって作業をしたが、実際上は停止していた。今日は、 時間がたつにつれ、次第に頭がまわってくるようになった。とりあえず、 強外場極限の摂動論の考察で得た操作的化学ポテンシャルの測定プログラム を書く。小さいサイズのテストは上々である。熱浴法/周期境界/強外場で、はじめて SST等式の成立圏内にはいった。4月からずっとみたかった 平衡2.3, 非平衡1.9 という数字がみえた。(林さんにしかわからない数字だが....) これがこのまま 残れば、圧力測定、ゆらぎ測定、化学ポテンシャル測定からきまるみっつの量 が同じ数字をはじくことになる。
強外場極限の摂動論の計算ミスをみつける。SST等式は成立に変化はないが、 FIO は全ての密度領域で逆にでるようだ。
8/2 (金)
僕の場合、朝おきてすぐに考えることがその日の研究の方向性をきめることも多い。 前日につまったことの解決の方向性や次の手の模索やまったく違うテーマのこと やらが朝いちばんにざざーと頭をながれる。2日間停止していたが、今朝は普通に きた。地道なことではあるが、今日はこれをやろう。(何もできずにおわった。)
8/1 (木)
弔辞: 半年まえの京都で楽しい議論をした。現象として楽しく、学問的な可能性が ありそうな題材を教えてくれた。「通説以外の効果があるんじゃないかなぁ。」と さりげなくいった顔は今でも印象に残っている。東京での最初の研究テーマになるはず だった。僕はそれに理論側から参加するつもりで、1年後をめどにアプローチを模索 していた。面白いものは面白いので、いつの日か、そのテーマに取り組むときが くるかもしれない。そのときには密かに力をかしてくれ。
式のあと昼食から夕食へとひたすら続く。それぞれの人の中にあるいろいろな想いが 錯綜する。だすことを全部だし、明日に残さないのがいい。夜、帰宅してからもひた すら妻と喋る。僕は社会や人間のことにおそろしく幼稚なままである。それでも生活 できている今の環境に感謝したい。言葉にすると平凡なことを実感する機会はそう多 くない。