日々の研究

11/26(日)

オンサーガー理論の解説。ここ数年の幾人かの知見と知人たちとの会話が随所に 使われる。教訓:「エネルギー論を現象による検証抜きで展開するなら、エネルギー 的に閉じたところまで戻らないといけない。」 そりゃそうだが、芯からわかってな かった。関連して、田崎さんの最近の論文を部分的に借用。関本さんがいっている 「記述の階層による「熱」の違い」も明示的に触れる。ただし、技術的には、 仕事と熱の差を導入する際に、「仮定」が必要で、この仮定が発生する物理的 状況の理解が不十分。時間スケールの差だけではだめなんだろうな。(この 解説では、「仮定」としてすすむが、課題として考えるべきだな。)

オンサーガー理論の基盤は、(i) マクロ/ミクロの時間スケールの差 と (ii)平衡 揺らぎの詳細つりあい の2点であるが、これらの揺らぎに関する性質に、 「エネルギーバランスの式」という物理的なことを組み合わせないと、測定と関係 する量に到達しないのは明らかだった。それゆえに混乱した。(前のノートの時には、 理解していなかった。) これに関連して、定常状態熱力学を再考すべきだ。

11/25(土)

水曜日に止まった線形非平衡論の解説。あきらめて別の章にいこうと思い始めたが、 やっと見えてきた。というか、思い出して来た。昔、ノート作ったときに、もっと 考察していたはずなのに、記録は不完全だし、頭にない。頭からは消えていく一方 だから、きちんと記録は残さないといけない。

11/24(金)

酵母がグルタミン酸を消費していくときの遺伝子発現の時間変化をDNA tip で解析 する、という話をきく。単純に勉強になったので面白かった。何か問題設定できな いか、と思ったが、何もうかばす。(こういうのは頭にどんどん「積んどく」とい つか何か思うもんだと楽観す。)

11/23(木)

早川のはねかえり係数の論文(cond-mat/ )に関連して、熱力学や統計力学 からの帰結の整理。(来年からの熱力学のレポート課題がひとつ増えた。) ついでに、線形非平衡論からの帰結を、、、と、あ、そうか、ちょうどいま ひっかかっているんだった。

11/22(水)

解説「カオスと非平衡論」。線形非平衡論入門のあたり。背景の考え方とそれを ずばり表現する本質的な式だけを書く方針にしよう。要するに、オンサーガーの 考えたことを現代風にアレンジし、いわゆる線形応答理論などは全部とばして、 90年代後半のフロントにつなげる。例題は、古典荷電粒子系の玩具。 楽勝。。。と思いきや、混迷状態に。いかんな、理解不十分だ。

11/21(火)

粉の静力学。計算ミスっていたのはまた僕だった。直したら一致した。よって、 石谷君の昨日の結果を宣言してもよいだろう。「エネルギーをめいっぱい解放する ようにピラミッドを詰むとせよ。そのときに、そして、そのときに限り、no-dip stateになる。そうでない積み方をして、途中でエネルギーをためこんでひっかかれ ば、どのように積んでも、ほとんど全ての場合に、dip state になる。」エネルギー 最小状態は、エネルギー的に実現しやすいから、その最小状態であるno-dip stateは実 現しやすいが、実は、no-dip state は、最小状態以外にほとんどない。一方、 dip stateは準安定状態でエネルギー的に損だが、無限のvariationがあるので、そ の分実現されやすい。 (エネルギー vs エントロピーで温度をいれれば....と 安易に思ってしまうが、ぐっとこらえて)、この証拠をどれだけ説得力ある形で 呈示し、主張の数理的な表現を考え、深い理論化に向けてスタートすることが、 次の目標になる。

11/20(月)

粉の静力学。卒研の石谷君の進展を聞く。僕の計算と微妙に違う。いずれに せよ、実験家(e.g. Clement)を「おっ」といわせるくらいの整理には到達しそう。

豊田君(化学実験の元気なM1)に教えてもらった複製する膜の論文を数篇複写。 理論モデルもあるのか。検討しよう。

解説。普通に書くと分量オーバー。

11/19(日)

粉の静力学。ざっとスキャンした限りにおいて、エネルギー最小状態はno-dipの ようだ。(1週間前のはbug。しかも、bug固定すると、ランドスケープは単純。) しかぁし、力の絵をみていると、dip stateには、最小状態とは違う美しい規則が あるようにもみえるので、エネルギーではない何か重要な縦軸があるんだろうな。 何だろう。要アイデア。

解説。よーし、エンジン全開。

11/18(土)

「解説」やっと短い「序」ができた。あとは、殴り書きで、刷り上がり50 ページ予定の草稿にむけて邁進か。

11/17(金)

うぎゃ。

11/16(木)

時間の合間に解説を書こうとするもあかん。「カオス」と「非平衡」への各々への 序でなく、その交わり部分への序を書こうとしたのだが、泥沼状態に。夜、自分の 動機を振り返ってみると....昔の色々なことが懐かしく思い出され、完全に別の モードに。

11/15(水)

午前、粉の静力学の可視化作戦。やろうと思ったことはできたが、センスなし。 自由位置で値を与える灰色スケール表示が欲しい。誰かに教えてもらおう。 午後、日本語解説「カオスと非平衡」の執筆開始。解説の全体像もみえず、ペース掴 めないまま時間が過ぎる。

11/14(火)

(学部)卒研をやっている石谷君が僕の単純ミスを発見。(符号がひとつ間違って いた。) 石谷君はそれを訂正し、「履歴」が(物理)空間で均一な場合の底圧 分布の違いの(ラフな)相図も作ってきた。(4つの相があるのか。面白い。) それに、日曜日のアイデアの「エネルギー」を重ね会わせれば、マクロな量に 関する履歴依存性について、第一段階的な説明はできるかな。電車の中で、物 理空間での履歴の情報をHDP空間にどのように埋め込むか、を考えていた。まず は、均一からの長距離変調くらいの部分に焦点をあてればいいかな。バグ固定 すると、ガラス転移がどうのこうのでなく、極めて簡単なオーダーパラメター 記述ができそうに思えてきた。とにかく、色々とやりなおす。(「鉄不足かな。」)

11/13(月)

「履歴依存パラメータ空間」(今後、HDP空間)に(まっとうな?)ハミルトニアン と温度がはいったので、統計力学の問題と(形式上)等価になった。砂山の上 から力をくわえることは、外場として書ける。未確認だが、高温から低温に いくにしたがって、ある種の「ガラス転移」のようなものがおこっていると 想像。無味乾燥だった広いHDP空間の「顔」が見えてきた。もっとクリアー な顔をみるために、次はオーダーパラメータの導入。。すぐにはわからない が、これができると、「第1章 粉体の静力学」のゴールは近い。(第2章は、 「ゆっくりした粉体の運動」。)

11/12(日)

朝、うまくいかんので、粉の動力学を考え始めた。CA? あかん。CML? あかん。 うーむ、DEMか? これは難しいので、やはり、静力学に踏みとどまろう。 昼、瞑想...瞑想。よし、「履歴依存パラメータ空間」にランドスケープの導入だ。 昨日、いきあたりばったりでやってたことは、そこでのアニーリングとして甦る。 例えば、ゆっくり砂山を積んでいったらそのランドスケープの下の方までいって、 どさっと崩落するように落したら、ランドスケープの上の方にいるとかは、いかにも ありそう。それが、実験で観測されている底圧の no-dip/dip 転移と結び付けば いいのかな。 ちょこちょこ調べてみると...... お、ふむ。緩和は1/tか。 (t: annealing のvirtual time)。landscape のruggednessと関係するかな。 しかも、dipはno-dipより「エネルギー」が低い。今週の夜鍋課題かな。

11/11(土)

履歴パラメータ空間上の「動力学」を玩具モデルとして導入。ひとつ間違うと、 こういう方向が危ないのは百も承知の一方、うまくいく場合の、こういう方向 の有効性も百も承知。結果が全て。さて、どうなるか。うーむ、と頭を 抱えていてもはじまらないし。

11/10(金)

そうだ。

11/9(木)

うーむ。

11/8(水)

早川に教えてもらった論文、Wittmer et al., Stress Propagation ,,,, in Static Sandpiles, J. Phys. I France 7 39-80 (1997)をよむ。状況整理は明確。特解の 構成も(やや不満な部分もあるが)よい。しかし、特解の構成、という路線からは、 問題の核心部分にはいっていけない、と予想。履歴に依存する部分を全て数値と して表現し(=それを履歴依存パラメータとよんでいる)、履歴依存性と応力の関係 に関する何らかの法則を見出そう、とする問題設定は(愚直だが)自然だと思うの だが、そういう方向の研究はないのかな。先行研究は段々わかってくるだろう。 まずは、履歴依存パラメータ空間をせばめよう。くりこみ群的なアプローチが 頭をよぎってしか たないが、その前にもうひとつbreak-throughの「手」がいるので、そこを見究める。 長考にはいるか。

11/7(火)

夜、粉の静力学。「恣意的に選ぶ」の反対は「ランダムに選ぶ」だから、履歴依存 パラメータの値を(明らかな矛盾がない範囲で)ランダムに選んでみる。10000回 やったって、静止解にかすりもしない。(当然?不思議?;おおざっぱな評価をして みる。なるほど、絶望の度合がわかった。) 静止している粉は、動力学の結果として 静止したのだから、履歴依存パラメータの値は、動力学の結果として決まるはず。 もちろん、どうやって堆積させたか、なんて無限のやりかたがあるのだから、そこを case by case で考えるのでは、科学にならない。さて、勝負どころなので、寝る。

11/6(月)

夜、昨日の計算をチェックし、間違いを修正。膨大な次元の「履歴依存パラメータ 空間」の中から恣意的に1次元切片をきりだし、そこでパラメータ(ほんの少し)変 化させると、底の圧力分布は、no-dip から dip へと(大きく)変化する。もちろん、 これは、「物理的な想像」を入力にしているので、やっている計算がうまくいって いることの確認にすぎず、「何がどのように記憶されるのか」を物理的に議論する ために出発点のつもりだった。が、これは、「デモ」として、使えるだけでなく、 この転移は、適当な極限で特異っぽくなる気がする。(これは、想像外。) で、 400段のピラミッドにして、このあたりで「えい」と底の圧力分布を計算すると、 (note パソコンの計算で)1秒で、おおお、見事な! (ちょっと面白いな。)

11/5(日)

とりあえず計算してみる。うーむ。計算間違いか? 考え方の間違いか? 今日はここまでにして、後日、ゆっくり検討しよう。

11/4(土)

よくあることだが、昨日の方針は、先走りすぎ。だらだらやって、(i)がなんとか 形になってきた。(粉の個数に比例して増える「履歴依存部分パラメータ」を inputとして与えると、底の圧力分布がoutputとしてでる算数にはなっている。) しかし、(ii)にとりかかると、そう単純なことではない、ことが(すぐに)わかる。 そのかわりに、「物理的に」すぐにできることがあることもわかるので、その あたりを先に検討する方針に変更。やっているうちに、何をすればいいのか、 自然にみえてくるだろう。

11/3(金)

粉の近静力学 (i) 粒子数の増加とともに増える不定パラメータを(物理的に)う まくcoding しておく。(ii) そのパラメータ空間と(外からの作用)との関係が わかればよいのだが、そのままでは、埓があかない。不定パラメータは、物理 的にはミクロ詳細に起源するものなので、その中でマクロ的にrelevantそうな ものをひろいたい。そのためには、問題設定的にも、数式表現的にも、、みる からに「繰り込んでくれ」といっている問題なので、繰り込み群をつくる。 (iii) (うまくcodeされた)不定パラメータ空間中の繰り込み群のflowで、固定 点あたりの様子をみて、それを物理に変換すればいい。(iv) すると...お。す ばらしい。。。 (となる予定。) 月並な方針だが、そのあたりが、最初にできる ことかな。

11/2(木)

夜、粉の静力学開始。月曜までに筋をつくる(予定)。(早川/稲垣さん..覚悟!)

11/1(水)

電車、Gardier-Zoller, Quantum Noise, (Springer, 2000). 量子ランジュバンに入門。

10/31(火)

昼、パリティー原稿の改訂。 電車、量子揺らぎによる第2法則の破れを主張するPRL論文。 夜、田崎さんのノート。(強いstatementがでてきた。)

10/30(月)

午前、粘菌の文献の複写依頼する。昼、複製する膜の化学合成の実験を詳細に聞く。 量子揺らぎによる第2法則の破れを主張するPRL論文の印刷。 夜、複製する膜の論文。

10/27(金)

6月に書いた論文(nlin.CD/0006042) は、technically sound でwell-written らしいが、'too technical' ということで、PR E へ、というjudge。(3人の reviewerに断られた後にjudgeにしては、やや意外。凡庸なのか?)長さオーバー らしいので、段落をひとつ削って、PR Eに再投稿。夕方、複製する膜の実験の 最新結果を聞き、考える。

10/26(木)

波多野君が論文投稿 (cond-mat/0010405)。夜、Blank, 'Discretness and continuity in problems of chaotic dynamics', (AMS, 1997). 理解したいが、簡単ではない。

10/25(水)

午後、論文の最終チェック。

10/24(火)

電車の中、粘菌の走化性のモデルの考察。大きな揺らぎを時間軸上で統合する ことか?

10/23(月)

大野さんらの定常状態熱力学のLangevin dynamicsによる構成に 関する論文の表現の検討を波多野君と議論。投稿までもうすこし。