まず、この論文は、カオス研究としては意味がない、量子化の議論としては意味が ない、場の理論としては意味がないので、この論文を読んで何か勉強になることは 絶対にない。(Parisi-Wuの量子化をあるカオスのモデルでつくることもできるが、 そんなのはつまらない話だし、また、この論文でそういうことを使っているわけで もない。)
この論文でやっているのは、「数字遊び」に過ぎない。あるCMLモデルがきめる数 字と標準モデルパラメータの間に(論理も物理もなく)ひたすら対応を探していく作 業をやっているだけである。しかし、もし仮に、あるモデルで弾きだされた25個 の数字が全て1:1に標準モデルのパラメータと対応するなら、「何かある」と思 うだろう。。。
だから、問題の焦点は、どれくらい強い対応関係があるのか? ということと、仮に 強い対応があるとして、「いんちき」があるかどうか? である。2番目の点につい ては、数値計算の実証性は第三者が追試するより他なく、理論的な部分は専門家が チェックするか、ゆっくり検討するしかない。ここでは、第一の点について、簡単 に整理しておこう。
CMLが決める実数の組みは2つにわけることができる。第一の組みは、隣接格子との 相関関数のゼロ点(with 負の勾配)をである。6個のCMLに対して全部で9個ある。 この9個の実数値には、全て「関与する粒子からきまるエネルギーでの相互作用定数 の大きさ」を対応させることができる。ここで、「関与する粒子からきまるエネル ギー」は、「公式」として仮定する。ただし、粒子の種類の選択は、試行錯誤であ うようにきめる。また、いくつかの場合は、ふたつの相互作用定数の足し算も許す。 このような対応関係を見出すことができるのは素朴に驚く。
第2の組みは、相互作用がないときの写像のポテンシャルに対応する量(=自己 エネルギーとよばれている)の極小点である。これは、可算無限個ある。このうち うまいものをひろってくると、いろいろあわせることができる。とくに、(プランク マスとの比を介して)素粒子の質量に対応する極小点の系列をもってくることがで きる。適当な解釈をいれると、そこから、Higgsやニュートリノの質量の対応を 示唆させることができる。。。。しかし、第2の組みに対する議論は、あまりにも ズサンであり、悪のりしている感がある。
何かあるかもしれないが、山師の世界である。第2の組みに相当するものを自分で 考えて、あれこれためす、、、というのもひとつの楽しみ方かもしれない。逆に いうと、現時点では、そういう楽しみ方しかない。